Q15.離婚調停と婚姻費用の同時に申し立ては良い結論を導けるのでしょうか?

結論から言えば、必ずしも正しいとは言えないというのが当職の考えです。あくまで、正しく無いこともある、という理解で捉えてください。他のQ(クエスチョン)でも触れているところですが、弁護士さんは、離婚調停と婚姻費用の調停を同時に申し立てる方が多いようには思います。そして、それは決して間違いとは言いません。ですが、正しいこともあれば、逆にに相手方が激高してしまい、争いが激化するという懸念もあります。
たとえばですが、
- 相手方のDVやモラハラ等が激しく、そもそもなるべくこれ以上は揉めないようにという方向が無い場合
- さんざん事前に話をしてきたという実績があって、それでも相手方の気持ちが頑なであるような場合
- こちらからの離婚請求に対して、全く反応せず、だんまりを決め込んでいるような場合
- 最初から離婚訴訟を目的に調停を申し立てるような場合
その他にもあるでしょうが、少なくとも、上記に該当するような場合には、離婚調停と婚姻費用の調停を同時に申し立てる意味はあると思います。
ですが、上記に該当しないような場合には、時として同時の申し立ては望ましくないことがあります。すべての弁護士さんの話ではありませんが、それでも中には、調停は通過点であって、訴訟で進めたいと考えている弁護士さんもおられるのは事実だと思います。それが有効な場合もありますし、裁判をしている期間中も婚姻費用は取得できますので、相手方が二重生活のようになり経済的に詰まり、結果として訴訟上の和解離婚へと導けるケースもあるかと思います。
とはいえ、 最終的には、婚姻費用分担の調停を申し立てる必要があるとしても、その申し立てをするタイミングというのは、どのタイミングであれば、相手方がなるべく怒りを持たないタイミングなのか、または、その申し立ては「致し方ない」と思われるタイミングなのか等を考えて動いた方がよいのではないでしょうか。
多くの方は、なるべくなら早めに決着をつけたいと思っていたり、費用をあまり掛けたく無いと考えていると思います。そして、裁判はできるだけ避けたいと考えているはずです。だからこそ、進めていくための順序や、何をいつのタイミングでアプローチすればよいか等、そうしたことを考えた戦略が必要だと思いますよ。
ちなみにではありますが、まずは円満調停を申立てて、その中で話を進めていくのも、一つの方法かと思います。特に、お子さんがおられる方の場合には、面会交流についても話をしていかなければならにでしょうから、そういうもの含めて、円満調停から進めるのもよいかと思います。あくまでケースバイケースですので、悩ましい場合にはご相談ください。別の方法論等もあるかもしれませんよ。
※ 円満・離婚調停のQ&A一覧 ← 以下の概要を早く知りたい方はクリックしてください。
Q2.調停(離婚・円満)の場では、相手方と対面して話し合うの?
Q3.離婚調停・円満調停の申立ては近くの家庭裁判所でよいの?
Q5.離婚調停で話(決着・合意)が付かなかったらどうなるの?
Q6.離婚調停で話が付いた(合意がついた)場合はどうなるの?
Q7.夫(妻)の浮気相手に慰謝料を請求する場合も調停はできる?
Q8.離婚調停が不成立に終わった後に審判があるって聞いたんだけど?
Q9.調停の各申立書等(離婚、円満、婚姻費用など)は、家庭裁判所で貰ってくるの?提出は郵送でも可能ですか?
Q11.離婚調停は時間が掛かりそうです。避けた方が良いのでしょうか?
Q12.不貞(浮気)をした側からは、調停を申立てることはできないのでしょうか?
Q13.離婚・円満調停で有利、不利という考え方はあるのでしょうか?
Q14.家庭裁判所での調停(離婚・円満等)に相手方が出席して来ないことはありますか?
Q15.離婚調停と婚姻費用を同時に申し立てることで良い結論を導けるのでしょうか(正しいやり方ですか)?