この記事の要約サマリー
- フキハラの正体:なぜ「不機嫌」が暴力と同じくらいパートナーを追い詰めるのか?
- 夫の心理プロセス:「なんとなく変」から「離婚決意」に至るまでの7つの段階
- 無自覚な理由:ぜ妻は自分のハラスメント行為に気づけないのか?(心理的背景)
- 修復への道筋:離婚を回避するために「謝る」よりも先にやるべき4つのステップ
不機嫌で家族を支配する連鎖を止め、本当のパートナーシップを取り戻すためのヒントがここにあります。
導入:妻の不機嫌ハラスメントで心が削られた夫へ
妻の不機嫌ハラスメントで心が削られた夫へ。離婚を切り出された意味と、連鎖を止めるためにできること
「もう気分で振り回すのはヤメてくれ」「気分屋はもうコリゴリ」「俺(私)は関係ないでしょ……」
離婚・修復相談や夫婦カウンセリングをしていると、こんな言葉を本当にたくさん耳にします。
最近の離婚問題の中でじわじわ増えているのが、フキハラ(不機嫌ハラスメント) が原因になっているケースです。
ここで言う不機嫌ハラスメントは、
- 夫婦の問題や喧嘩が原因ではなく
- そのときの「自分の気分」だけで
- パートナーを振り回し、家の空気を支配してしまう
そんな形の「妻の不機嫌ハラスメント」 を指します。(もちろん夫側がフキハラ加害者のケースもありますが、僕のクライアントでは妻側が不機嫌を振りかざしている例が多いので、この記事では主語を「妻」にして話しています)
殴られるような露骨な暴力があるわけではない。
毎日のように罵倒されているわけでもない。
それでも、理由も分からないままきつい言葉をぶつけられたり、「どうしたの?」と聞いただけで理不尽に声を荒らげられたり、ときには理由も分からず物に当たられることもある。
そんな日々が続く中で、
- 家にいると休まらない
- 常に地雷を避けながら生活している
- 「もう一緒にいるのは無理だ」と、離婚を考えるところまで追い詰められている
という状態になってしまっている方が、とても多いのです。そんな「不機嫌ハラスメント 妻/夫 しんどい」状態の人が、今本当に増えています。
この記事では、
- 妻の不機嫌ハラスメント(フキハラ)の具体的なパターン
- 「ただ機嫌が悪いだけ」との決定的な違い
- 振り回され続けた夫の心が、どう削られていき、離婚請求に至るのか
- なぜ気分屋の妻は、自分のフキハラに気づけないのか
- 「離婚したい」と言われた、その言葉に込められた本当の意味
- フキハラをやめ、連鎖を自分の代で終わらせるために、謝る前にやるべきこと
まで、順番にお話ししていきます。
気分屋はもうコリゴリ…妻の「不機嫌ハラスメント」の典型パターン

まずは、「不機嫌ハラスメント 妻」と検索したくなるような、気分屋の妻の典型パターンを言葉にしていきます。日常の“当たり前”の中に、フキハラがどのように紛れ込んでいるのかを見てみましょう。
夫婦の問題と関係なく“その時の気分”で振り回されるとは?
そもそも、ここで言う 不機嫌ハラスメント(フキハラ) とは何か。僕が扱っているケースでは、こんな特徴があります。
- 夫婦喧嘩や具体的なトラブルがあったから機嫌が悪い、わけではない
- 仕事のストレス、体調不良、過去の出来事など、夫婦とは直接関係のない要因 で不機嫌になる
- そして、その不機嫌を「説明もせずに」パートナーにぶつける
たとえば、こんな日常シーンです。
夫が仕事から帰ってくる。リビングに入ると、妻が明らかに険しい表情でスマホをいじっている。
夫:「ただいま」
妻:「……(無言)」
夫:「え、どうしたの? 何かあった?」
妻:「別に。何もない」
でも、顔も声も明らかに機嫌が悪い。ため息、舌打ち、物を置く音がいちいち大きい。
夫:「(え、俺なんかしたかな……)」と不安になって、さらに聞いてみる。
夫:「俺、何かまずいことした? 気に触ること言った?」
妻:「だから、何もないって言ってるじゃん!」
その直後、食器を乱暴に置いたり、ドアを強く閉めたり。ひどいときには、物を投げる人もいます。
そして――何かのきっかけで、急に機嫌が戻る。さっきまでの不機嫌は何だったんだ?というくらい、普通のテンションで話しかけてくる。
妻:「ねえねえ、週末どこ行く?」
夫:「(は??)」
もちろん、人間ですから、誰だって機嫌の浮き沈みはあります。体調が悪い日もあれば、仕事でクタクタの日もある。それ自体が悪いわけではありません。
問題なのは、自分のそのときの気分の悪さを、説明もせずに、事情もわからないパートナーに無言で押し付けてくることなんです。
「俺(私)は関係ないでしょ」ということまで、不機嫌という形でぶつけられる。これが、不機嫌ハラスメントのスタート地点です。
フキハラの「3つの特徴」
ここまでを整理すると、フキハラにはだいたい次の3つの特徴があります。
- 長く続く(持続性)
- その場の一瞬ではなく、数時間〜数日、ダラダラと不機嫌が続きやすい。
- 理由を教えない(理不尽性)
- 「どうしたの?」と聞いても、「別に」「自分で考えて」とだけ返し、察すること を相手に要求する。
- 相手を支配する(支配性)
- 不機嫌になることで、相手がオロオロし、機嫌をとり、行動を変える。その結果、家全体がその人の機嫌次第で動くようになる。
「気分が悪い」だけなら誰にでもあります。でも、この3つがそろってくると、それはもう「ただの機嫌の問題」ではなく、「不機嫌を使った支配=フキハラ」と考えていいタイミングです。
「ただの機嫌の悪さ」と「フキハラ的な不機嫌」の違い

分かりやすくするために、「ただの機嫌の悪さ」と「フキハラ的な不機嫌」を簡単に比べてみます。
| ただの機嫌の悪さ | フキハラ的な不機嫌 | |
| 理由の説明 | 「頭が痛い」「仕事でミスした」など、理由をある程度話す | 理由は言わず「別に」「察して」で済ませる |
| 続く時間 | 一時的。休んだり話したりするとおさまることが多い | 数時間〜数日、ダラダラと続くことが多い |
| 巻き込まれる人 | できるだけ人を巻き込まないようにする | パートナーや子どもを巻き込んで家全体の空気が変わる |
| 相手へのメッセージ | 「今日はちょっとしんどいから、そっとしてほしい」 | 「なんで分からないの」「言わせないでよ」 |
| 本当の目的 | 休みたい・立て直したい | 相手をコントロールしたい/罰したい・試したい |
この表を見て、「うちのはどっちかな?」と一度立ち止まって考えてみるだけでも、だいぶ見え方が変わってきます。
「機嫌が悪い日がある」こと自体は、誰にでもあります。ただ、そこに 「説明のなさ」と「支配の意図」 が混ざり始めると、それは 不機嫌ハラスメント(フキハラ) に近づいていきます。
「気分で振り回される」と夫はどう削られていくのか ― 7つのステップ

こうした妻の不機嫌ハラスメントに長年さらされている夫は、心の中でどんなプロセスをたどるのか。
実際の離婚カウンセリングの現場でよく見えるパターンを、あえて7つのステップにしてみると、だいたいこの流れになります。
振り回されて
最初は「なんか機嫌悪いな」くらいです。理由も分からないから、「今日は疲れてるのかな」とか「生理前かな?」くらいに思う。
でも、それが頻度高く・理由なく・突然起きるようになると、違和感が強くなってきます。
とにかく機嫌をとって、顔色を伺って
どうにか空気を良くしようと、夫はがんばります。
- 好きそうなものを買って帰る
- 家事を多めに引き受ける
- 妻の好きなテレビ番組に合わせる
でも、理由も教えてもらえないままなので、「何が正解か」が全くわからない。
そのうち、「地雷を踏まないように行動する」のが日常になっていきます。
何が地雷かが分からない感情になって
ここから、じわじわとメンタルにきます。
- 自分の言動が全部間違っているような気がする
- どこまでがOKで、どこからがNGなのか分からない
- 「何やってもダメなんじゃないか」と自己否定感が強くなる
夫はだんだん、「妻 不機嫌 モラハラ」「不機嫌ハラスメント 夫 しんどい」みたいな言葉で検索し始めます。
でも、はっきり「これだ」と言い切れる情報にはなかなか出会えず、「自分の我慢が足りないだけなのか?」と、さらに自分を責める方向へいきがちです。
次第に心が疲弊していって
この状態が長く続くと、家庭内ストレスが蓄積します。
- 家に帰っても休まらない
- 常に緊張している
- 休日も、「機嫌を損ねないように」予定を組む
- 友人関係や趣味も、妻の機嫌優先で制限される
身体症状として、眠れない・頭痛・胃痛などが出てくる人も少なくありません。
安心だと思える空間・環境を失って
本来、家庭は「一番安心できる場所」であるはずです。
でも、不機嫌ハラスメントが続くと、家が戦場・地雷原のように感じられてきます。- ため息ひとつでビクッとする
- 物音に敏感になる
- 妻の顔色で一日のコンディションが決まる
こうなると、もう安心できる居場所ではなくなっているんですね。
「もう無理だ」と限界まで耐えて
それでも、多くの人はすぐに離婚とは言いません。
- 子どものため
- 経済的な不安
- 親への目
- 「結婚した以上、最後まで頑張らないと」という思い
いろんなものが絡み合って、「もう無理だ」と思いながらも耐え続けます。
爆発して、離婚請求!
そして、ある日突然、「もう無理です。離婚してください」が、口をついて出てしまう。
妻側からすると、「え? いきなり何?」「そんな大げさな」と感じるかもしれません。でも夫側の心の中では、何年もかけて少しずつ溜まり続けてきたものが、一気にあふれ出した瞬間なんです。
かんたんセルフチェック
ここまで読んで、「もしかして、自分もかなり削られてきているのかも」と感じた方に、簡単なセルフチェックを置いておきます。
- 帰宅前に、玄関の前で深呼吸しないと家に入れない
- 妻(夫)の足音や物音で、その日の機嫌がだいたい分かる
- 家にいるのに、「休めた」という感覚がほとんどない
- 「自分さえ我慢すれば」と心の中で何度もつぶやいている
- 休日の予定を決めるとき、真っ先に相手の機嫌を思い浮かべる
当てはまる数が多いほど、心がかなり疲れているサインです。
一度、自分の状態を「客観的に見る」という意味で、こうしたチェックを使ってみてください。
不機嫌で家の空気を支配する構造と、モラハラとの関係

ここからは、妻の不機嫌ハラスメントが、どのように家庭内の空気を支配し、モラハラ的な構造を作っていくのかを見ていきます。「不機嫌だから許される」は、実はかなり危険な考え方です。
家全体が「自然災害の前線基地」になるとき ― 家庭内の空気支配
クライアントの方の表現を借りると、「妻は、いつ噴火するかわからない火山みたいだ」という声をよく聞きます。
機嫌がいいときは、とても優しい。でも、どこでスイッチが入るか分からない。
- 何かを思い出したように急に不機嫌になる
- 過去の出来事を蒸し返して、黙り込む
- 子どものちょっとした言動に過剰反応して、家の空気が一気に凍る
「自然災害の前線基地で暮らしているようだ」と表現する人もいます。職場や友人関係で「気分屋の人」がいても、ある程度距離をとったり、関わり方を選んだりできます。
でも、相手が「妻」「夫」「パートナー」となると話は別です。
- 同じ家で暮らしている
- 生活の基盤も、お金も、子育ても、未来のプランもつながっている
だから、逃げ場がない。
こうして、
- 妻(夫)の機嫌=家庭内の天気
- 家族全員が、その人の感情に振り回される
という状態ができあがります。
これが、家庭内 不穏な空気 ストレスの正体です。本来、家は「ホッとできる場所」のはずなのに、いつ怒るか分からない人と一緒にいることで、安心よりも緊張が勝ってしまう「家庭内モラハラ環境」になっていくんです。
日本の「察して文化」とフキハラの関係
ここには、日本特有の文化も少し影響しています。
日本には、
- 「言わなくても分かってほしい」
- 「空気を読むのが思いやり」
という考え方がとても強くあります。それ自体は悪いことではありません。ただ、行きすぎると、こうなります。
「言わせた時点で、あなたの負け」
つまり、
- 「私が言葉にしなくても、夫(妻)なら察するべき」
- 「察してくれないのは、愛情が足りないからだ」
というルールが、いつの間にか夫婦の中にできてしまう。
そうなると、
- 不機嫌になる
- 言わなくても相手が察して動いてくれる
- 「やっぱり、分かってくれて当然だよね」と感じる
という「察してちゃんループ」が回り出します。
その結果、不機嫌は、「自分のつらさを伝える手段」ではなく、「相手を試す・動かすための武器」になってしまうんです。
もちろん、こうした「察してほしい」「言わなくても分かってほしい」という期待は、日本だけのものではありません。どこの国でも、夫婦のあいだで似たようなすれ違いは起こり得ます。
ただ、日本語のコミュニケーションはもともと「行間で読む」「曖昧さを残す」スタイルが強く、はっきり言葉にしないことが美徳とされてきた面もあります。
さらに、今は共働きや長時間労働、子育ての負担、SNSによるストレスなどで、心に余裕がなくなりやすい時代です。「ちゃんと話し合う時間」は減っているのに、「分かってほしい気持ち」だけは昔より強くなっている――そんな背景もあって、不機嫌という形で相手に気持ちをぶつけてしまいやすいのかもしれません。
なぜ気分屋は自分のフキハラに気づかないのか ― 依存とゆがんだ成功体験

ここで、よくある疑問が出てきます。
「それだけ周りを振り回してるのに、なんで本人は気づかないんですか?」
この「気づけなさ」には、いくつかの背景があります。
① ゆがんだ成功体験
子どもの頃から、
- 不機嫌になると親が機嫌をとってくれた
- 黙り込むと周りが気を遣ってくれた
- すねると欲しいものが手に入った
そんな環境で育つと、心の奥にこんな方程式ができやすくなります。
不機嫌になる = 愛情を確かめる手段
不機嫌になる = 相手が動いてくれる魔法
大人になってからも、無意識にこの 「ゆがんだ成功体験」 を繰り返してしまいます。
- 妻(夫)が黙り込む
- 夫(妻)が心配して、気を遣って、必死に機嫌をとる
- 「やっぱり、私は大事にされている」と感じる
これを何度も何度も繰り返しているうちに、不機嫌で人を動かすコミュニケーションが、その人の中で「普通」になってしまうんですね。
② 原家族(生まれ育った家族)の影響(フキハラの世代間連鎖)
もう一つ大きいのが、原家族(生まれ育った家庭)からの影響です。
- 親がいつも機嫌が悪く、家族がそれに振り回されていた
- 父親(母親)が無視・だんまり・ため息で家族をコントロールしていた
こういった家庭で育つと、
- 「家の空気は誰か一人の機嫌で決まるのが普通」
- 「不機嫌で相手を黙らせるのがコミュニケーション」
本人はそれが「おかしい」とは思っていません。自分の中では“これが普通の夫婦”だからです。だからこそ、「自分が不機嫌ハラスメント加害者かもしれない」なんて発想に、そもそもたどり着かないのです。
③ パートナーへの依存と、「察してほしい」という期待
もう一つ、根っこにあるのは依存です。
- 私の機嫌をとってくれるのが愛情
- 言わなくても察してくれるのが運命の相手
- 不機嫌な私も含めて全部受け止めてくれるのが夫婦
こういう前提を持っていると、パートナーはいつの間にか、「自分の機嫌を管理してくれる人」になってしまいます。
本人の主観は、「ただつらかっただけ」「ただ分かってほしかっただけ」というだけです。
だから、
- 無視していた
- 物に当たっていた
- 子どもや夫をビクビクさせていた
その結果について、ほとんど考えていないことが多いわけです。そして、いよいよ離婚請求を受けて初めて、「え、そんなにひどいことしてたの?」とショックを受ける。
でも、被害側からすると、「いや、それをずっと言ってきたけど聞いてくれなかったよね?」という感覚のズレがあるわけです。
「結婚したんだから大丈夫」の落とし穴 ― パートナー像を問い直す内省ワーク

ここからが、かなり大事なところです。フキハラをやめたい人、離婚請求を受けて「人生を立て直したい」と思っている人には、ぜひ一度立ち止まって考えてほしい質問があります。
それは、「自分は、結婚やパートナーという存在をどう捉えていたか?」ということです。
よく出てくるのは、こんな前提です。
- 結婚したんだから、多少のわがままは受け止めてくれるはず
- パートナーは、世界で一番自分を分かってくれる存在であるべき
- 機嫌が悪い自分も全部受け入れてくれないと、結婚した意味がない
- 夫婦なんだから、いちいち説明しなくても察してくれて当然
これらは一見「ロマンチック」に聞こえますが、裏側にはこんなメッセージが隠れています。
「私は自分で自分の機嫌をとる気はあまりありません。あなたが全部やってね」
つまり、パートナーを、「自分の感情を処理してくれる存在」「心のゴミ箱」「メンテナンス係」のように扱ってしまっているのです。
一度、こんな質問を自分に投げてみてください。
- 結婚前、パートナーにどんな役割を期待していましたか?
- 「安心できる夫婦関係」って、あなたの中ではどんな状態でしたか?
- その安心感は、「相手が自分の機嫌を全部受け止めてくれること」とイコールになっていなかったですか?
- あなたはパートナーを、「自分とは違う一人の他者」として扱えていましたか?
それとも、「自分の感情を受け止める前提の人」として見ていませんでしたか?
夫婦関係は、絶対ではありません。
「結婚したから、もう安心」「結婚したんだから、多少は許される」
ではなくて、「結婚したからこそ、目の前のパートナーは“自分とは違う一人の人間だ”という理解が必要」なわけです。
この前提が変わらない限り、不機嫌ハラスメントは形を変えながら、何度でも繰り返されてしまいます。
あと、ここで一度、「自分はどんな気持ちでこの人と結婚したんだろう?」という原点に立ち返ってみてほしいんです。
結婚したときは、「この人と一緒に生きていきたい」「支え合いたい」と思っていたはずなのに、いつの間にか、相手を「自分の機嫌をとってくれる人」「分かってくれて当然の人」として扱ってしまうことがあります。
夫婦の関係は、子どもが生まれたり、仕事や環境が変わったりしながら、ダイナミックに変化していきます。
だからこそ、節目ごとに「そもそも、なぜこの人と結婚したのか」「あの頃、相手のどんなところを大切だと思っていたのか」を思い出してみることは、とても大きな意味があります。
自分の機嫌を誰かにとってもらうために結婚したわけではない――その原点を少しでも思い出せると、相手を責める前に「自分はどうだっただろう」と振り返る視点が、生まれてきやすくなりますよ。
「離婚したい」と言われた意味と、フキハラをやめるための“向き合う順番”

ここからは、「離婚したい」と言われた側の視点に立っていきます。離婚請求は、ある日突然の思いつきではありません。フキハラをやめ、関係を修復したいなら、謝る前にやるべき大事なステップがあります。
離婚請求は“ある日突然の思いつき”ではなく、怒りを超えた“恨み”の段階
フキハラ加害側(気分屋の妻・夫)にとって、最初の大きな衝撃は「離婚したい」と言われた瞬間かもしれません。
- 「そんなつもりじゃなかった」
- 「ただ分かってほしかっただけなのに」
- 「まさか離婚まで考えてるとは思わなかった」
でも、離婚請求をした側(振り回されてきた側)からすると、それは“いきなり思いついた言葉”ではありません。
さっきの7ステップを思い出してください。
- 振り回されて
- 機嫌をとって顔色を伺って
- 何が地雷か分からなくなって
- 心が疲弊して
- 安心できる空間を失って
- 「もう無理だ」と限界まで耐えて
- それでもダメで、最後に「離婚請求」
このプロセスを経ているので、離婚したい側の思いは、ただの「怒り」ではなく、ほとんど“恨み”に近いレベルになっていることが多いわけです。
別居後、話し合いの場を持とうとしても、
- 会うのもつらい
- 話すのもつらい
- LINEを開くのも嫌だ
という状態の人がたくさんいます。それは、「この人と向き合うと、また同じように振り回される」という深い恐怖と、長年我慢してきた心の傷があるからです。
だからこそ、離婚請求は、“関係を立て直すためのきっかけ”というより、「もうこれ以上ここにはいられない」という最終通告として出てくることが多い、ということを知っておく必要があります。
謝ればいい・修復したいより先にやること ― 自分と向き合う4ステップ

離婚請求を受けた側の典型的な反応も、はっきりパターンがあります。
- 突然、謝り倒す
- 長文の謝罪LINEや手紙を何通も送る
- 「本当に反省している」「これから変わるから」と約束する
- 「やり直したい」「家族を守りたい」「もう一度チャンスをください」と泣きながら訴える
気持ちは痛いほど分かります。でも、これを間違った順番でやってしまうと、相手からはこう見えます。
「自分の問題と向き合わずに、ただ“失いたくない”気持ちだけでしがみついてくる人」
つまり、執着してくる怖い人に見えてしまうんです。
離婚請求後に「絶対やってはいけない」NG行動

ここで、フキハラをしてしまった側が、離婚請求を受けたあとによくやってしまう 「やってはいけない行動」 を、いくつか挙げておきます。
どれも共通しているのは、「自分の不安や寂しさをどうにかしたい」という気持ちが先に立っていて、相手をさらに追い詰めてしまうということです。中には、実際に警察を呼ばれてしまったり、法的なトラブル一歩手前まで行ってしまうケースもあります。
ここでお伝えしたいのは、「法律的にどうか」という話よりも、「もし本当に修復を望むのであれば、ここまでやってしまうと望みを自分で潰してしまう」という視点です。
① アポなしで会社や自宅に押しかける
僕のクライアントでも、かなり多いのがこのパターンです。
- 別居後、相手の会社にアポイントなしで押しかける
- 仕事が終わるのを待ち伏せして、無理やり話し合いをしようとする
- 新居や実家を突き止めて、突然インターホンを鳴らす
やっている本人からすると、「ちゃんと向き合って話したいだけ」「このままだと落ち着かないから、今すぐ決着をつけたい」という感覚だったりします。
でも、相手からすると、「職場にまで来られた」「逃げ場がない」「この人、本気で怖い」と感じやすく、ストーカー・DV的な恐怖感を一気に高めてしまいます。
実際に、職場に押しかけたことで警察を呼ばれたり、「今後は弁護士を通してしか連絡を取らないでください」と言われてしまうケースもあります。
② 電話やLINE・SNSでの“連続攻撃”
これも本当に多いものです。
- 電話を何十回も続けてかける
- 出てもらえないと、LINEで長文を何通も送る
- 「既読」がつかない/ついても返信がないと、さらに追いLINE
- SNSで、相手に向けたような投稿を連発する
やっている側の心の中では、「返事がないのが不安でたまらない」「既読スルーされると、自分が否定された気になる」という恐怖が渦巻いています。
でも、相手はたいてい、「もうこれ以上関わるのがしんどいから、距離をとっている」状態です。
そこへノックどころかドアをガンガン叩き続けるような行動をしてしまうと、「話し合いたい人」ではなく、「追い詰めてくる怖い人」として見られてしまいます。
もう一つ、現場でよく聞くのが「返信ループ」の話です。
こちら(フキハラ側)が長文や追いメッセージを送ってしまう。相手が気を遣って、ちょっと柔らかい言葉で返してくれる。すると、その“たった一通”の返信でこちらが一喜一憂してしまって、また不安になって送ってしまう。
でも、相手からするとね、これが本当に苦しい。「何を返しても地雷になるかもしれない」って思い始めると、返したくても返せなくなるんです。で、返せなくなると、こちらはさらに不安になる。だからまた送ってしまう――このループです。
ここにもし、「死ぬといって、命を盾にする言葉」や「自分を傷つけることをほのめかす言葉」が混ざってくると、相手の中では心配より先に「怖い」が立ちやすくなります。相手は助けたい気持ちがあっても、返事ひとつで波が大きくなることをもう知っているから、余計に動けなくなるんですよね。
だからこそ、修復を考えるなら、ここは逆方向に舵を切った方がいい。相手の返信で安心を取ろうとしない。相手を縛らない。それよりも、「今、自分は不安でいっぱいなんだな」と認めて、まずは自分の中で気持ちを落ち着かせる練習に切り替えてみてください。
どうしても危ないときは、パートナーにぶつけるんじゃなくて、身近な相談先や専門家、公的な窓口を使う。修復を本気で考えるなら、そこは踏みとどまるポイントだと思うのです。
③ 子どもや親・共通の友人を使って説得しようとする
- 子どもに「ママ(パパ)と離れたくないって言ってね」と言う
- 親や義両親に頼んで、相手を説得してもらおうとする
- 共通の友人に「なんとか説得して」「連絡して」とプレッシャーをかける
やっている側としては、「一人で言っても伝わらないから、誰かに間に入ってもらおう」「家族なんだから、協力してくれてもいいじゃないか」という気持ちかもしれません。
でも、相手からすると、「自分の親や子どもまで巻き込まれて、逃げ場が完全になくなった」「味方を根こそぎ奪われるような感覚」になりやすく、心の安全地帯を一つ一つつぶされていき、周囲を固められているような恐怖を感じます。
④ プレゼント攻撃・サプライズ・記念日の突撃訪問
- 高価なプレゼントや花束を突然送りつける
- 相手の誕生日や記念日に、サプライズで会いに行く
- 思い出の場所やレストランに呼び出そうとする
ドラマだと「感動のやり直しシーン」ですが、現実の離婚局面では、ほぼ逆効果になります。
相手の中では、「とにかく距離をとりたい」「考える時間と安全な場所が欲しい」という状態なのに、そこへ相手の気持ちを無視した“ロマンチックな押しかけ”をすると、「自分の世界観だけで押し切ってくる、危ない人」として受け取られてしまいます。
⑤ 警察沙汰になるまでエスカレートさせてしまう
上の①〜④が積み重なっていくと、ある時点で相手は、「もう自分だけでは対処できない」と感じ、警察に相談したり、自治体のDV相談窓口や弁護士に助けを求めることがあります。
本人としては、「ただ話したかっただけなのに」「そこまで大げさにされるとは思わなかった」とショックを受けることが多いのですが、相手にとっては、「これ以上一人で耐えるのは危険だ」というレベルにまで来ている、ということです。
いずれにしても、一つ言えるのは、「修復したくてやっていた行動が、結果として修復の可能性を限りなくゼロに近づけてしまう」という、とてもつらい現実があるということです。
なぜ理性的な判断がきかなくなるのか
ここまで読むと、「なんでそこまでやっちゃうんだろう?」と思う方もいるかもしれません。
フキハラ傾向のある人は、心のクセとして、「自分の内側で気持ちを扱う」のが苦手で、代わりに「外側」に答えや安心を求めがちという特徴があります。
ここでいう「外側」とは、
- 相手の反応(会ってくれるか/返事をくれるか)
- 相手の言葉(許してくれるか/やり直すと言ってくれるか)
- 状況(別居が解消されるか/離婚話が止まるか)
といった、「自分の外にあるもの」です。
離婚請求をされて、別居になり、一人になったとき――
- 急に、心の奥底から 「見捨てられる怖さ」 があふれてくる
- 「このまま本当に一人になるのでは」という恐怖で頭がいっぱいになる
- 自分の内側でその感情を抱える力が弱いので、
「今すぐ会って確認したい」「返事が欲しい」「はっきり否定してほしい」と、外側に必死でしがみつく
その結果、本来なら「そこまでしてはいけない」と分かるはずのラインも、感情の洪水の中で見えなくなってしまうということが起こります。
いわば、
- 理性的なブレーキ(これはやったらまずいよ)が外れたまま
- 不安と恐怖だけでアクセルを踏み込んでしまう
そして、警察を呼ばれたり、完全に遮断されたあとで、少し時間が経ってからようやく、「自分は何をやってしまったんだろう…」と後悔に襲われる方が、とても多いのです。
ただしそれも、「相手が出て行ってしまった」「離婚請求を受けた」「完全に一人になってしまうかもしれない」という段階になって、ようやく出てくる後悔だったりします。
だからこそ、さきほどのフレーズがここでも生きてきます。
あなたがしなければならないことは、相手を怖がらせることではないはずです・・というフレーズです。
「怖がらせてはいけない」と頭で分かっていても、不安と恐怖でいっぱいになると、人はどうしても外側にしがみつく行動を取りがちです。
だからこそ、
- すぐに相手のところへ行く
- すぐに電話やLINEを連打する
のではなく、一旦立ち止まって、さっきの「自分と向き合う4ステップ」に戻る。
ここからやり直すことが、フキハラの連鎖を止めるための、地味だけれど一番大事な一歩になります。
じゃあ、どういう順番で向き合えばいいのか。僕がいつもクライアントにお伝えしているのは、この4ステップです。
① 自分の問題を見る
まず最初にやるべきは、「自分はどんなフキハラをしていたのか」を、具体的に見ることです。
- 黙り込んで相手を不安にさせた場面
- 「別に」「何もない」と突き放した場面
- 過去のことを蒸し返して、空気を凍らせた場面
- 物に当たったり、威圧的な態度で家族をビクビクさせた場面
これらを、思い出せる範囲で紙に書き出してみてください。かなりしんどい作業ですが、ここを避けて通ると、いつまでたっても「謝ればOK」の発想から抜けられません。
② 相手の気持ちを理解しようと尽くす
次にやるのは、「相手がどんな気持ちだったのか」を想像することです。
- あなたの不機嫌に振り回されていたとき、相手はどんな表情をしていましたか?
- どんな言葉をかけてきてくれていましたか?
- その言葉を、あなたはどう受け取っていましたか?
ここで大事なのは、「自分はそんなつもりじゃなかった」という言い訳を一旦横に置くことです。あなたがどう思っていたかよりも相手がどう感じていたかを、丁寧にイメージしてみてください。
③ 自分の態度が相手の何を奪ってしまったかを見つめる
3つ目のステップが、実は一番重たいところです。不機嫌ハラスメントやモラハラ的な態度は、相手からいろんなものを奪います。
- 家で安心して呼吸できる感覚
- 自分の意見を自由に言える感覚
- 何をしても怒られない「安全地帯」
- 自分は尊重されている、という自己肯定感
あなたの不機嫌・気分屋な態度は、相手からどんなものを奪ってしまったでしょうか。
ここを正面から見るのは、本当に苦しいです。でも、ここから目をそらしたまま「やり直したい」と言い続ける姿は、相手からすると、ただの執着にしか見えません。
④ そのうえで、自分が何をすべきかを考える
そして最後に、「じゃあ、これから自分はどう変わるのか」を考えます。
ここで初めて、
- 謝罪の気持ち
- 反省の言葉
- 「やり直したい」という希望
を相手に伝える準備が整います。この順番をすっ飛ばして、いきなり「ごめん」「やり直したい」と言ってしまうと、相手にはこう映ります。
「自分の不機嫌ハラスメントがどれだけのダメージを与えてきたかは見ていないけど、でも離婚はイヤだから、なんとか許してもらおうとしている人」だから怖いし、だから距離を取りたくなるんです。
あなたがしなければならないことは、相手を怖がらせることではないはずです。
離婚を回避したい気持ちも、家族を守りたい気持ちも、全部大事です。でも、いちばん最初に向き合うべきなのは、「相手が、あなたの不機嫌からどれだけ自分を守ろうとしているか」という事実なんです。そのためには、「謝る」ことよりも前に、自分と向き合うことが必要になります。
まとめ:不機嫌で人を動かす生き方を、ここで終わりにする

ここまで、かなり踏み込んだ話をしてきました。最後に、ポイントをぎゅっとまとめます。
- 夫婦の問題と関係ない「そのときの気分」でパートナーを振り回すのは、立派な不機嫌ハラスメント(フキハラ)
- 妻の不機嫌ハラスメントにさらされ続けた夫は、
- 振り回され
- 機嫌をとり
- 地雷が分からなくなり
- 心が疲弊し
- 家で安心できなくなり
- 「もう無理だ」と限界まで耐え
- 最後に「離婚請求」に至る
- 離婚したい側の思いは、ただの怒りではなく、長年の積み重ねの末の“恨みに近い感情”になっていることが多い
- 気分屋の妻・夫が自分のフキハラに気づきにくいのは、
- 不機嫌で人を動かせたゆがんだ成功体験
- 「不機嫌で家族を支配するのが普通」だった原家族の影響
- 「結婚したんだから受け止めてくれるはず」という依存的な結婚観が背景にあるから
- フキハラをやめ、連鎖を自分の代で止めたいなら、
- 自分の問題を見る
- 相手の気持ちを理解しようと尽くす
- 自分の態度が相手の何を奪ってしまったかを見る
- そのうえで、自分が何をすべきかを考える
という順番で、まず自分と向き合う必要がある
- 「謝ればいい」「修復したい」ばかりにエネルギーを注ぐと、相手からは“しがみつき・執着してくる怖い人”にしか見えなくなってしまう
フキハラを受けている側のあなたへ
フキハラを受けている側のあなたは、もう十分すぎるほど頑張ってきました。
「不機嫌な相手の機嫌をとるために、自分の人生があるわけではない」ということを、どうか忘れないでください。
家庭は、本来あなたが深呼吸できる場所のはずです。その安心を取り戻すために、距離をとることも、専門家に相談することも、あなたの立派な権利です。フキハラを受けている側のあなたは、もう十分すぎるほど頑張ってきました。
「不機嫌な相手の機嫌をとるために、自分の人生があるわけではない」ということを、どうか忘れないでください。
家庭は、本来あなたが深呼吸できる場所のはずです。その安心を取り戻すために、距離をとることも、専門家に相談することも、あなたの立派な権利です。
フキハラをしてしまっていた側のあなたへ
そして、もし今「自分のことを言われている気がする」と感じたなら、それは悪いことではありません。気づけた今この瞬間が、人生を変えるチャンスです。
感情は、相手にぶつけるものではなく、自分で扱うものです。
「自分の機嫌は自分でとる」
それが、大人として・パートナーとしてのスタートラインだと考えてみてください。不機嫌で相手を動かす生き方は、短期的には「うまくいく」ように見えるかもしれません。
- 不機嫌になれば、相手が譲歩してくれる
- 黙り込めば、相手が謝ってくる
- 機嫌をとってもらえることで、「愛されている」と錯覚できる
でも、その裏で確実に失っていくものがあります。
- 家族の安心感
- パートナーからの信頼
- 子どもの「大人になったら結婚したい」という感覚
- 自分自身の誇り
あなたがもし、「もうこのやり方で大事な人を失いたくない」と思うなら、不機嫌で人を動かす生き方を、自分の代で終わらせると決めることが、最初の一歩です。
それは、パートナーのためだけではなく、あなた自身の人生と、もし子どもがいるならその子どもの未来を守るためでもあります。
ここまで読んでくれたあなたは、もうすでに「何かを変えたい側」に立っています。この記事が、あなたと、あなたの大切な人たちにとって、不機嫌ハラスメントの連鎖を止める小さなきっかけになれば嬉しいです。
この記事の結論:感情の自立が、関係修復の唯一の鍵
フキハラの根本原因は、「自分の機嫌をパートナーに取らせようとする依存心」にあります。
離婚請求という危機は、実は「自分の感情は自分で扱う」という、大人として当たり前のスキルを身につけるための人生からの宿題かもしれません。
相手を変えようとするのではなく、まずは自分自身の「不機嫌の扱い方」を変えること。それが、壊れかけた信頼を取り戻すための、遠回りに見えて最短のルートです。
不機嫌ハラスメント(フキハラ)に関するよくあるFAQ
Q1. 自分がフキハラをしているかどうかの判断基準はありますか?
A. 「理由を言わずに不機嫌になる」「相手が気を使って機嫌を取ってくるのを待つ」「数時間〜数日その態度を続ける」の3つが揃っている場合、それは単なる機嫌の悪さではなくフキハラの可能性が高いです。特に、パートナーがあなたの顔色を見てビクビクしたり、行動を制限し始めたりしているなら、すでに支配関係が生まれています。
Q2. 生理前や体調不良でイライラするのもフキハラになりますか?
A. 体調不良そのものは仕方のないことです。重要なのは「伝え方」です。「今日は生理前で体調が悪いから、そっとしておいてほしい」と言葉で伝えれば、それは適切なコミュニケーションです。しかし、理由も言わずにドアを乱暴に閉めたり、無視したりして「察すること」を強要する場合、それはフキハラに該当します。
Q3. 夫から離婚したいと言われました。今から謝れば許してもらえますか?
A. 正直に申し上げると、すぐに許してもらうのは難しい段階にあります。離婚を切り出した時点で、夫の心には「恐怖」と「諦め」が蓄積しています。ここで焦って謝り倒したり、すがりついたりすると、「自分の保身しか考えていない」と逆効果になりかねません。まずは別居などで相手に安心できる距離を与え、記事内で紹介した「自分と向き合う4ステップ」を徹底することが最優先です。
Q4. フキハラは治りますか?
A. はい、本人が自覚し「変わりたい」と強く望めば改善可能です。フキハラは性格というより、幼少期からの「誤った成功体験(不機嫌になれば愛される・思い通りになる)」による「癖」に近いものです。自分の感情を言語化するトレーニングや、アンガーマネジメント、カウンセリングなどを通じて、「不機嫌以外でコミュニケーションを取る方法」を学び直すことで変わることができます。
Q5. 逆に夫がフキハラをしてきます。どう対処すればいいですか?
A. 夫側のフキハラも同様に深刻です。対処法としては、相手の不機嫌に「反応しない(機嫌を取らない)」ことが第一歩です。機嫌を取ると「これは効く」と学習させてしまいます。「機嫌が直ったら話しましょう」と毅然と距離を置き、自分の精神的・物理的な安全を確保してください。改善が見られない場合は、専門家への相談をお勧めします。
参照元
- The Gottman Institute: “The Four Horsemen: Stonewalling”
- 概要:著名な夫婦関係研究機関であるゴットマン研究所による、離婚に至る4つの危険因子の一つ「Stonewalling(石のように黙り込むこと/無視)」に関する解説。フキハラの「無視」「だんまり」がいかに有害かを裏付ける資料。
- Psychology Today: “Walking on Eggshells: What It Means and How to Cope”
- 概要:「卵の殻の上を歩く(Walking on Eggshells)」という表現で、パートナーの爆発を恐れて生活する心理状態を解説。フキハラ被害者の心理と完全に一致します。
- Healthline: “The Silent Treatment: Is It Abuse?”
- 概要:「サイレント・トリートメント(無視)」が単なる喧嘩の延長ではなく、感情的虐待(Emotional Abuse)の一種であることを医学・心理学的観点から解説した記事。
- Stark, E. (2007). Coercive Control: How Men Entrap Women in Personal Life (and relevant applied studies on mood control)
- 概要:本来はDVの文脈で使われる「威圧的支配(Coercive Control)」の概念ですが、近年では不機嫌による家庭内支配(Mood-based control)の文脈でも引用されます。家庭内の自由を奪う構造の理解に役立ちます。
- Verywell Mind: “Signs of Emotional Immaturity in Adults”
- 概要:感情のコントロールができず、不機嫌を撒き散らす行動を「感情的未熟さ(Emotional Immaturity)」として解説。フキハラ加害者がなぜそのような行動をとるのかの背景理解に繋がります。














