離婚を切り出された方へ-その苦しい夜は、修復への合図。「夫婦」は時間をかけて「なっていく」チームのようなもの

離婚を切り出された苦しい夜から夫婦がチームとして歩み直すことを象徴するイメージ
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この記事の要約サマリー

友人とは違う「重さ」の意味と、危機から始まるチームの作り方

「離婚したい」と告げられたその日から、夜にベットに入ってから、特に一人になった時、いたたまれない程に辛いのではないでしょうか?けれど、その痛みは、実は夫婦が「他人同士」から「本当のチーム」へと生まれ変わるために必要な気付きのための心の痛みなのかもしれません。

本記事では、眠れないほどの不安の正体を心理学の視点から紐解きながら、小手先のテクニックではない「関係修復の本質」をお伝えします。

  • なぜ「公平さ」を求めると関係が壊れてしまうのか?
  • なぜ修復において「元に戻る」ことを目指してはいけないのか?
  • パートナーの「孤独」に気づいたとき、関係はどう変わるのか?

読み終える頃には、鉛のように重かった心が少し軽くなり、パートナーへの愛しさが静かに戻ってくる——そんな「読むカウンセリング」をお届けします。

「離婚したい」と言われた夜に押し寄せる不安と“検索のループ”

離婚を切り出され不安な夜にスマホで修復方法を検索する人のイメージ

「離婚したい」とパートナーに告げられた瞬間は「冷静だった」とお聞きことは多いものです。ただおそらくですが、その時にはまだ現実感がなかったり、あなた自身も相手への不満が募っていて、「こんな状況なら離婚も・・」と考えていたからではないでしょうか?

けれど、そんな冷静さは、すぐに焦りと不安に変わっていくと思います。それまでは多少は空想的というか、現実感が無かったり、どうにかなると思っていたりもするものです。ただ、その後の相手の態度、行動を見ていると、次第に現実感が増してきて、本当の現実を突きつけられるわけです。

そして、ようやく時が動き出して、突然の衝撃に襲われたような感覚に陥っていくことかと思います。胸の奥が凍りつき、頭が真っ白になる、理路整然と物事を整理して考えることができなくなります。

その後にやってくるのは、夜も眠れないほどの重苦しい時間です。日中は何とか仕事や日常で気を紛らわせても、夜の静寂が訪れると現実が容赦なく押し寄せてきます。心をえぐるような不安と孤独感に、同じ思考が何度も何度も巡る「終わりのない夜」を過ごしていませんか。布団の中でスマホで修復の方法(特効薬)を探す手が止まらなくなる、youtubeのような動画サイトで修復方法巡りを続けてしまう。けれど、観ればみるほどに解決方が分からずに苦しさばかりがのしかかってくるわけです。

対話:検索窓の向こう側にあるもの

相談者ケンジさん

「まさにその通りなんです。夜になると不安でたまらなくなって、スマホで『離婚したくない』『夫婦 修復 方法』って検索ばかりしてしまって……。
でも、出てくるのは『笑顔で挨拶しましょう』『感謝を伝えましょう』みたいなことばかりで。そんな余裕、今の私にはないんです。」

松浦カウンセラー

「溺れそうになっているときに、“正しい泳ぎ方”の教科書だけ渡されるような感じですよね。頭では『こうすればいい』って分かるけれど、心のほうは真っ暗なまま。テクニックでは埋まらない、そんな悠長な事をしている時間は無いんだ・・というような“ぽっかり空いた穴”みたいな感覚はありませんか。」

相談者ケンジさん

「あります。『その通りだな』とは思うんですけど、心がついてこない。やり方じゃなくて、“この痛みをどうしたらいいか”が知りたいのに、それがどこにも書いていない気がして……。」

松浦カウンセラー

「だから今日は、“やり方”より先に、その痛みそのものの意味から一緒に見ていきましょう。
今はただ苦しいだけの時間に見えているかもしれませんが、実はそこに、あなたと夫婦の物語(問題)が動き出すヒントが隠れています。」

あなたは必死に「夫婦関係の修復方法」を探し、「どうすればいいのか」と 検索 したかもしれません。
僕のクライアントの方も、ここに来るまでは「離婚 したくない 辛い」「夫婦 修復 方法」といったキーワードで情報を求めてばかりいて、だけど出てくるのは表面的なコミュニケーション術や一般論ばかり…。テクニックだけではどうにもならない心の空虚さに、途方に暮れているのです 。

その辛さや苦しさから解放されたい気持ちにばかりとらわれて、「占いにどっぷりとハマってしまって・・・」という話もよくお聞きします

だからこそ、この記事では、いわゆる小手先の会話術やハウツーはお伝えしません。
代わりに、あなたが今感じているその胸の 鉛のように重い痛み の意味が読み終える頃には変わり、パートナーへの見方が劇的に変化していることを目指しています。それは、「本当の夫婦(チーム)」になるための大切な気付きの時間だからです。今は苦しいかもしれません。しかし、この苦しみ自体が修復への合図です。こう言うと、慰め、に思えるかもしれませんよね。ただ、その痛みがなかったら、夫婦の問題がここまで大きくなっていることに気付けたでしょうか。ポジティブに考えてとは言いませんが、それでも、乗り越えるべき通過儀礼なのだとしたら――そう考えれば、少し視界が開けてくるはずです。一緒に、その理由と乗り越え方を考えていきましょう 。

第1章:悲しみを抱えた夜に、ひとりで耐えているあなたへ

離婚を告げられた夜の重さに耐えながら一人で涙をこらえる人のイメージ

離婚なんてしたくない――そう願うあなたにとって、「離婚したい」と切り出された夜の精神的苦痛は計り知れないものですよね。
第1章では、毎晩心を押しつぶすその重みの正体に向き合います。終わりの見えない辛い夜に、なぜここまで心が重くなるのか、そしてその痛みが実はあなたが夫婦関係を諦めていない証拠であることを、僕と一緒に見つめていきましょう 。

1-1:なぜ、これほどまでに心が「重い」のか-終わらない夜の重さ

相談者ケンジさん

「夜になると、同じ不安ばかりぐるぐるして、寝ようとすればするほど目が冴えてしまうんです。『考えても仕方ない』って分かっていても、止められなくて。」

松浦カウンセラー

「止めたいのに止まらない、ですよね。頭ではブレーキを踏んでいるのに、心はアクセルを踏み続けているような感覚かもしれません。」

相談者ケンジさん

「そうです。“もう考えるのやめよう”と思えば思うほど、『離婚』『捨てられる』って言葉ばかりが浮かんできてしまって…。自分でも情けなくて、『いつまでこんなこと考えてるんだろう』って。」

松浦カウンセラー

「情けないどころか、それだけ大切なものを失いそうなんですから、心が全力で反応しているだけなんですよ。この重さは弱さの証拠ではなく、それだけ大事にしてきた関係の“重さ”でもあります。まずはそこを、少しだけ違う意味で眺め直してみてもいいかもしれません。」

夜、ベッドで「離婚?」「捨てられる?」といった不安な考えが頭上を渦巻き、胸に精神的な重圧を感じて眠れずにいる女性のイラスト。

夜、布団に入っても心がざわついて眠れない…。日中は仕事や家事で紛れていた気持ちが、夜の静けさの中で一気に襲ってくることがあります。頭では「考えても仕方ない」と分かっていても、心は勝手に不安を増幅させ、同じ考えがぐるぐると無限ループする。「このまま離婚してしまうのか」「自分は捨てられるのではないか」といった恐怖が何度も胸をよぎり、終わりの見えない夜を過ごしているのではないでしょうか 。

それほどまでに心が重く沈んでしまうのは、紛れもなく精神的な苦痛を抱えているからです。パートナーに「離婚したい」と言われたショックは、あなたの人生観や将来への安心感を根底から揺るがします。それと同時に、自分の過去を振り返って、自分が相手にしてしまったことへの反省と後悔、取り返しのつかないことばかりが頭をよぎり、そして問題への答えが見つからない苦しさも付きまといますよね。まるで心に重りをぶら下げて生活しているかのような消耗感で、一日中、24時間常に心のエネルギーを奪われてしまう。問題が起きて初めて、「自分はどれほどパートナーとの関係に支えられていたのか」「その絆が断たれることが自分にとってどれだけ痛いことなのか」を思い知るのです 。

僕のカウンセリングに来られる方も「あー、帰りたくない。もっと居てもいいですか。松浦さんと話をしていると整理もできるし、居心地がいいんです」と言われることがあります。
仮に別居をしていれば、それだけ一人の自宅に帰るのが辛いのでしょう。相手に出ていかれてしまえば、普段は狭いと思っていた自宅が「こんなに広かったのか」と思うわけです。そしてより苦しくなっていくのです。

心理のポイント
  • 夜になると同じ考えが何度も頭をぐるぐる回り続けてしまう状態は、心理学では「反芻(はんすう)思考」と呼ばれます。これは「危機を理解しよう」「何とか整理しよう」とする心の正常な働きでもあり、無理に止めようとするとかえって苦しくなることがあります 。
  • 脳科学の研究では、パートナーからの拒絶や別れの示唆などの「社会的な痛み」は、火傷や打撲などの身体的な痛みと同じ脳の領域が反応することが分かっています。胸の圧迫感や息苦しさは、単なる比喩ではなく「身体レベルの痛み」として本当に起きている反応です 。

つまり今の苦しさは、「自分が弱いから」ではなく、それだけ大切な関係の危機を、心と身体が全力で受け止めているサインです。「よくここまで耐えている」と、自分の心身の頑張りを認めてあげることが大切になります 。

1-2:その痛みは、あなたが「夫婦」を諦めていない証拠-痛みの深さは、愛の深さ

相談者ケンジさん

「でも、相手から『もう無理だ』と言われたのは事実で…。
ここまで苦しむのって、私が未練たらしくしがみついているだけなんじゃないかって。潔く身を引くのが正解なんじゃないか、って思うと余計に惨めになります。」

松浦カウンセラー

「その“惨めさ”は、どれだけ本気だったかの裏返しでもあります。もし相手がただの友人だったら、ここまで心がえぐられるような痛みにはならなかったと思いませんか。」

相談者ケンジさん

「確かに。友人になら『あわないなら仕方ないか』って、ここまで引きずらないかもしれません。これからの人生もずっと、あの人と一緒に歳をとっていくんだと信じていたから……。」

松浦カウンセラー

「そうですよね。10年先、20年先まで一緒にいる前提で、時間もエネルギーも未来の計画も預けてきた。その“未来への投資”が大きかったからこそ、今“失う怖さ”がここまで痛みに変わっている。この痛みは執着というより、『本当は諦めたくない』というあなたの魂の叫び、と言ってもいいくらいなんです。」
ただし、離婚を切り出したパートナーも、もともとは同じように、将来を考えていたという、その気持ちは忘れないでください。

胸が締め付けられるように苦しいのは、あなたが心から「離婚したくない」と願っている証拠でもあります。もし相手がただの友人で、「もう会いたくない」と言われたならどうでしょう。
「嫌なら離れればいいだけ」と割り切れたかもしれません。しかし今あなたが感じているこの深い苦しみは、相手と これから先の未来も一緒にいたい と強く願っているからこそ生まれるものなのです。10年先も20年先も、共に歩んでいたい相手だからこそ、「失いたくない」「諦めたくない」と魂が叫んでいるのでしょう 。

言い換えれば、あなたはそれだけ真剣に、人生をかけてパートナーを愛してきたのです。大切だからこそ傷つくし、本気だからこそ苦しい。「こんなに辛いのは、自分が本気で夫婦関係を守りたいと思っているからなんだ」と、まずはその事実をどうか自分で認めてあげてください。

おそらく、「そうは言っても、自分が相手にしてきたこと(モラハラ、否定、マウント、愛情不足等)を考えれば、自分が相手を大切に思っていたことだけを考えるなんて無理なんですよ」と言われるかもしれません。それも正しいと思います。けれど、修復を願うならば、自分の辛さに縛られていて疲弊している姿が続けば、修復は遠ざかるとも思うのです。多くの事を考えるのではなく、ただ今は、あなたの感じている痛みは、愛と真剣さの裏返しだと捉えてください。深く愛せるあなただからこそ、今こんなにも心が悲鳴を上げているのです 。

心理のポイント
  • 心理学では、関係を失うときの苦しさの大きさは、その関係にどれだけ「時間・エネルギー・感情・将来への期待」を投資してきたか、そしてどれだけ強くコミットしていたかに比例すると言われます 。
  • だからこそ、「ここまで苦しい」のは、あなたがその分だけ真剣に、この夫婦関係を大事にしようとしてきた証でもあります。痛みは罰ではなく、あなたの愛情と覚悟の深さの裏返しだと捉え直すことができます 。
  • この視点を持つことで、「自分を責め続けるモード」から、「自分の愛し方・関わり方をどう整え直すかを考えるモード」へと、心のギアを少しずつ切り替えていきやすくなります 。
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第2章:友人関係とは違う。「夫婦」という関係の正体

友人とは違う期待やエゴを抱えすれ違っている夫婦のイメージ

第2章では、今一度夫婦関係を見直し、友人関係とは異なる「夫婦」という関係の正体について考えてみましょう。夫婦生活では、相手に期待しすぎたり、自分のエゴをぶつけてしまったりして、「なんでわかってくれないの?」という不満が生まれがちですよね。しかし、それは決して関係の失敗ではなく、最初から夫婦に折り込み済みの試練なのです。本章を通じて、衝突や失望を経てこそ絆が深まるという夫婦のあり方に気づき、夫婦というチームを時間とともに築いていく視点を一緒に見つけていきましょう 。

2-1:期待もエゴも「折り込み済み」であるという視点

夫婦関係について、ここで少し視点を変えてみましょう。長年連れ添った友人に対して、あなたは過度な期待を抱いたり自分のエゴをぶつけたりすることは少ないでしょう。友人同士であれば、意見の相違があっても「この人とは合わないなら距離を置こう」と思えるし、嫌なことがあれば関係を解消することもできます。しかし 夫婦のあり方 は友人関係とは根本的に異なります。生活を共にし、家族として責任や役割を分かち合う夫婦だからこそ、「察してほしい」という甘えや「なんでわかってくれないの!」という苛立ちが生まれがちです 。

対話:なぜ「わかってくれない」とこんなに腹が立つのか

相談者ケンジさん

「振り返ってみると、確かに甘えていたのかもしれません。
『言わなくてもわかるでしょ』『夫婦なんだからこれくらいしてよ』って、心のどこかで当然だと思っていて…。でも、それってそんなに悪いことなんですか? 家族なんだから、お互い様じゃないかって。」

松浦カウンセラー

「その感覚自体は、とても自然なものですよ。“家族だからこそ”出てくる期待ですし、『お互い様』という感覚があるからやってこられた部分もたくさんあるはずです。」けれど、その「お互い様」のバランスが崩れいたのは確かかもしれません。

相談者ケンジさん

「確かにそうですね。なのに、期待が裏切られたみたいに感じて、『どうして分かってくれないの?』って怒りが爆発して…。自分でも止められなくなっていました。」

松浦カウンセラー

「夫婦になると、私たちは無意識のうちに“見えない契約書”を交わしてしまうんです。『私の期待は、言わなくても察して満たしてくれるはずだ』という、目に見えない心理的契約。その契約が破られたと感じたとき、『こんなはずじゃなかった』『自分ばかり我慢している』という怒りや悲しみが湧きやすくなる。
大事なのは、期待をゼロにすることではなくて、“夫婦というパッケージには、そもそも摩擦やすれ違いがセットで含まれている”という前提に立ち直すことなんです。」

覚えておいてください。決して関係の失敗ではありません。むしろ夫婦である以上、そうした期待やすれ違いは最初から 「折り込み済み(セット)」 としてパッケージされているものなのです。言い換えれば、 夫婦関係を見直す際には「お互いに過度な期待やエゴを抱えてしまうのは当たり前」という前提に立つことが大切です。相手に期待してしまうのは愛しているからこそであり、エゴをぶつけてしまうのも心を許している関係だから起こるのです。

もちろん、ある意味では対立的なもののバランスを考えることができていなかったことは問題だったかもしれません。僕はクライアントの方によく言うことがあります。それは、「我々は、準備をすることしかできない。最高の状態を維持するのも、最悪な状態になった時にそれを乗り越えるためにできるのは事前の準備なんです」ということです。そしてそれは、苦しさを抱えている今でも必要なことだと考えています。


今修復のためにできる努力の一つは、「こんなはずじゃなかった」「自分たちは失敗だ」と思い込んでしまうことを少しだけ手放してみることです。夫婦の関係には摩擦がつきものだという視点を得たのであれば、今あなたがすべきことをしていく必要があります。。

心理のポイント
  • 夫婦になると、多くの人は無意識のうちに「言わなくても分かってほしい」「察してくれて当然」という、目に見えない約束=心理的契約を相手に結んでしまいます 。
  • その契約が裏切られたと感じると、「こんなはずじゃなかった」「自分ばかり我慢している」といった怒りや失望が生まれます。これは関係の失敗ではなく、密接な関係では誰にでも起こりうる、ごく自然な心理反応です 。
  • 夫婦研究では、二人のあいだの問題の多くは「完全には解決されない、価値観や性格の違いに由来する永続的な問題」だとされています。大切なのは「問題をゼロにすること」ではなく、「違いを抱えたまま、どうチームとしてやっていけるか」を一緒に模索する視点です 。

2-2:夫婦は「完成品」ではなく、時間をかけて「なっていく」もの-夫婦は“途中経過”であるという視点

相談者ケンジさん

「結婚したら、もっと自然に“夫婦らしく”なれるものだと思っていました。こんなに迷って、ぶつかって…って、どこか失敗しているみたいで。」

松浦カウンセラー

「“ちゃんとした夫婦は、もっとスムーズなはずだ”というイメージがあったんですね。」

相談者ケンジさん

「はい。他の家を見ると、みんな普通にやっているように見えて……。
うちだけおかしいのかなって。」

松浦カウンセラー

「私たちは、外から見える“完成品のように見える夫婦”と、自分たちの“途中経過”を比べてしまいがちなんです。
でも本当は、多くの夫婦が幻滅したりぶつかったりしながら、“夫婦になっていく途中”にいる。今のお二人も、“終わり”ではなく、その長い道のりの一地点に立っているだけ、という見方もできそうですよ。」

結婚した瞬間から理想的な夫婦が完成する…そんな魔法は存在しません。 最初から完璧なチームなどどこにもいないのです。多くの夫婦は、結婚生活の中で何度も衝突し、互いに失望し、それでも乗り越えるプロセスを経て初めて「本当の夫婦」になっていきます。最初は他人同士だった二人が、試行錯誤しながらチームワークを培っていく――その長い道のりこそが夫婦という関係のリアルな姿です 。

ですから、今回の離婚危機も関係の終わりではなく、新しい関係へと 進化するための通過儀礼 なのかもしれません。今までの関係が「友人関係の延長」のような浅い繋がりだったとすれば、この危機をきっかけに二人は 運命共同体という、本当の意味でのチームへと生まれ変わるチャンスでもあるのではないでしょうか。
「夫婦は時間をかけて夫婦になっていくもの」という言葉通り、今回の困難もまた二人を本当の夫婦へ近づける貴重なステップだと捉えてみてください 。

心理のポイント
  • 多くのカップルは、新婚期のロマンスが落ち着いた後、「こんな人だとは思わなかった」という幻滅や主導権争いが起きるパワーストラグル期を経験すると言われています。これは「失敗」ではなく、ごく一般的な発達段階です 。
  • ある心理学者は、結婚を「高温の中で自分と向き合わざるをえない“るつぼ”」と表現しました。相手との摩擦を通して、自分の依存心や未熟さ、怖れなどに直面させられる場でもあるからです 。
  • 「夫婦」というのは肩書きではなく、時間をかけて少しずつ「なっていく動詞のようなもの」と考えられます。そう捉えられると、今の危機も「終わり」ではなく、この関係が成長していくための長いプロセスの一部分として位置づけやすくなります 。
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第3章:修復のきっかけは「パートナーの孤独」を知ることから

壁一枚を隔ててそれぞれ孤独を抱えて座る夫婦のイメージ

第3章では、夫婦関係修復のきっかけについて考えます。それは特別なテクニックではなく、パートナーの孤独や痛みに心を寄せ、相手の気持ちを理解することから始まるのです。

今あなたが感じている胸が張り裂けそうな痛みは、もしかするとパートナーが離婚を切り出すまで何ヶ月も独りで抱えていた孤独と同じものかもしれませんね。自分だけが被害者だと思っていた視点をそっと変え、お互いの気持ちに寄り添えたとき、それが夫婦関係を修復するための大きな一歩となるでしょう 。

3-1:あなたが今感じている「痛み」の正体-被害者という席から一歩だけ降りてみる

相談者ケンジさん

「『どうしてこんなに苦しまなきゃいけないんだ』って、正直、自分ばかりが被害者だと思っていました。急に離婚を突きつけられたのはこっちなんだからって。」

松浦カウンセラー

「それだけ急で、一方的に感じられる出来事でしたもんね。“理不尽だ”と感じるのは、とても自然なことです。」

相談者ケンジさん

「でも、言われてみれば、あの人も前から悩んでいたのかもしれないとも思えてきて……。
どれくらいの間、あの人なりの“夜”を過ごしていたんだろうって。」

松浦カウンセラー

「もし、パートナーが『離婚』という決定的な言葉を口にするまでに、
半年とか一年とか、“分かってもらえない苦しさ”を一人で抱えていたとしたらどうでしょう。
今あなたが感じている胸の張り裂けそうな痛みを、相手はずっと前から一人で抱えていたのかもしれない。その“もしかしたら”を一度だけ受け取ってみることが、修復に向けての大事なスタートラインになります。」

あなたに離婚を切り出すまで、パートナーは一人で悩み、苦しみ、孤独に戦っていたのではないでしょうか。その 妻(夫)の気持ち に思いを馳せることが、実は夫婦関係修復の大きな きっかけ になります。自分だけが被害者なのではなく、相手もまた長い間傷つき悩んでいた――そう気づいた瞬間、あなたの中で何かが変わり始めるはずです 。

心理のポイント
  • 「急に離婚を切り出された」と感じるケースでも、パートナー側ではかなり前から、少しずつ諦めや絶望が積み重なっていた可能性が高いと指摘されています 。
  • 不機嫌・沈黙・ため息・小言など、一見ささいに見えるサインは、本当は「助けてほしい」「分かってほしい」というSOSだったかもしれません。それが受け取ってもらえないと悟ったとき、人は心を閉ざし、身体は一緒にいても心は離れた「情緒的離婚」の状態に入っていきます 。
  • 今あなたが感じている孤独や見捨てられたような痛みは、もしかするとパートナーがずっと前から一人で抱えてきたものの「追体験」なのかもしれない——その視点が生まれると、修復に向けてのスタートラインが少し変わってきます 。

3-2:想像力という名の「愛」を持つ

では、どうすればパートナーの孤独に寄り添えるのでしょうか。それは、 想像力という名の愛を持つことです。今あなた自身が「こんなに辛いことだったのか」と痛感していますよね。その自分の痛みを通じて、過去にパートナーが感じていたであろう痛みを追体験してみるのです。「あの人も、こんな重い気持ちをずっと抱えていたのだろうか」「どんなに孤独で、絶望的な夜を過ごしていたのだろう」と想像してみてください 。

対話:あの沈黙の裏側を想像してみる

相談者ケンジさん

「過去の場面を思い出そうとしても、“あの時のあの顔”を思い出すと胸が苦しくて…。そこから先を考えるのが怖くなってしまいます。」

松浦カウンセラー

「その怖さの奥には、『本当は分かってあげられなかったかもしれない』という痛みも隠れていそうですね。」

相談者ケンジさん

「たぶん、あのとき本当は『もう限界なんだよ』ってサインだったんだろうな…と今なら思うのに、当時は“機嫌が悪いだけ”って片付けていました。」

松浦カウンセラー

「今だからこそ見える“サインの意味”ってありますよね。
その気づきは、過去を責め直すためではなく、これから同じような沈黙や背中を見たときに、どう受け止め直すかを変えてくれる“材料”になります。それが、想像力という名の愛の、最初の一歩です。」

これは決してテクニックではありませんが、実は夫婦修復において最強のアプローチと言えます。あなたが自分の痛みをもとに相手の痛みに心を寄せられたとき、そこには真の共感が生まれます。その瞬間、夫婦の関係性は「被害者と加害者」といった一方的なものではなく、「同じ痛みを分かち合うパートナー」へと変化するでしょう。

よくある話としては「あなたは結局何も変わっていない!あなたは自分のことばかり!あなたが一番好きなのはあなたなんでしょ!」というものです。それは先程の共感を寄せずに、自分の辛さを解消するために、謝罪をしつつ、その言葉の裏側には修復という要望ばかりをぶつけてしまっていたからかもしれません。

お互いの孤独と苦しみを共有できたとき、初めて二人は同じチームとして問題に立ち向かえるのです。修復の第一歩は、パートナーの心の痛みに寄り添い、「自分たちは共に苦しみ、共に乗り越える仲間なのだ」と気づくことにあります 。

心理のポイント
  • 共感(エンパシー)は、単に「話を聞く」ことではなく、「相手の立場に自分を置き、その感情の靴を履いてみること」と定義されます 。
  • 「あの沈黙の裏には、こんな寂しさがあったかもしれない」「あの時の背中は、これほど心細かったのかもしれない」と、過去の具体的な場面を一つひとつ思い出しながら想像してみることが、心の距離を縮める練習になります 。
  • 自分を「切り出された側の被害者」とだけ位置づけるのではなく、「同じような痛みを、形は違っても二人とも抱えてきた仲間」として捉え直せたとき、夫婦は「加害者vs被害者」の構図から、「問題に一緒に向き合うチーム」へと少しずつ戻っていけます 。

第4章:なぜチーム意識が崩れたのか? 自分を振り返る内省ワーク

夫婦の公平さや勝ち負けにこだわってきた自分を振り返る内省のイメージ

第4章では、一度立ち止まって自分自身の考え方を振り返り、どうして夫婦というチームの意識が崩れてしまったのかを見つめ直します

離婚を回避するためには、これまでの自分の思考パターンや相手への向き合い方を見直すことが大切です。夫婦生活で「自分ばかり損をしている」といった不公平感を抱え続けると、いつしか二人はチームではなく対立する存在になってしまいますよね。本章では、紙とペンは使わなくてもできる小さな内省ワークを通じて、過去の二人の出来事や感情を静かに振り返ってみましょう。公平さを求めるあまり見失っていたものに気づき、再びパートナーとチームの絆を取り戻すきっかけを探っていきます 。

4-1:公平さを求めた結果、見失ったもの-勝ち負けを気にしていませんでしたか?

相談者ケンジさん

「確かに、最近は喧嘩をするたびに『私の方が正しい』『俺の方が頑張っている』って、頭の中で点数をつけていた気がします。負けたくなかったんです。」

松浦カウンセラー

「誰だって損はしたくないですからね。ただ、夫婦関係の不思議なところは、“議論で勝てば勝つほど、チームとしては負けに近づいてしまう”ところなんです。」

相談者ケンジさん

「言い争いに勝ったあとって、たしかに空気は最悪でした。『やり込めてやった』というより、虚しさだけが残る感じで。」

松浦カウンセラー

「心の中でスコアボードを見つめていると、目の前の相手が“敵”に見えてきます。
でも本来、隣にいるのは同じ船に乗っている“味方”だったはずなんですよね。
公平さを大事にしつつも、『この勝ち負けは、チームとしてプラスかマイナスか』という視点を一枚重ねてみると、関わり方が少しずつ変わっていきます。」
僕が見てきたご夫婦の中には、常にパートナーにマウントして、勝ちを誇って、相手が疲弊していても、それには無関心という方もおられました。それをモラハラというのでしょうが、少なくともあなたはそうじゃない。

ここで少し、あなた自身の心の動きを振り返ってみます。夫婦関係が悪化する過程では、お互い「自分ばかり損をしているのではないか」という 不公平感 が膨らんでしまうことがあります。あなたも心のどこかで「自分はこんなに頑張っているのに、どうして分かってくれないんだ」と感じてはいなかったでしょうか。期待が大きい分、相手が応えてくれないと失望し、「こんなに尽くしている自分ばかり報われない」という思いが募っていく…。その繰り返しで心に余裕がなくなり、いつの間にか夫婦という チーム ではなく、互いを責め合う敵対関係に陥ってしまったのかもしれません 。

場合によっては、仕事が大変だとか、子育てが大変だという問題があったのかもしません。そうした時には特に心に余裕がなくなります。先程別の章で「準備が重要」と話をしましたが、心に余裕がなくなることがあるというのも夫婦であるかぎり想定内のことです。そうした事がおきた時にどうしていく必要があるのかと事前に考えておくことも準備なのです

いずれにせよ、公平さを求める気持ちは決して悪いことではありません。しかし、「自分ばかり我慢している」「相手は何も分かっていない」と不満を溜め込みすぎると、大切な何かを見失ってしまいます。それは、本来二人は 同じゴールに向かう仲間 であったはずなのに、その事実を忘れてしまうことです。夫婦は本来味方同士であり、損得では測れない絆で結ばれているはずです。もし今までに「自分はこんなにやっているのに…」という思いが強くあったなら、少し視点を変えて、「お互い様の部分もあったのではないか?」と問い直してみてください 。

心理のポイント
  • 「私はこれだけ頑張っているのに、あなたは…」と、心の中で自分と相手の点数を数えてしまう状態は、心理学ではスコアキーピングと呼ばれます 。
  • 「関係はいつも公平であるべきだ」という思い込みが強くなると、自分の「損」には敏感になる一方で、相手が払っている見えにくいコストや努力には鈍感になり、「相手が悪い」「相手ばかり得をしている」という認知の歪みが起きやすくなります 。
  • 夫婦は本来、勝ち負けを競う関係ではなく、同じ船に乗るチームです。どちらかが「勝てば勝つほど」、口論という局面では勝てても、チーム全体としては「負け」に近づいてしまう——そんな逆説を意識しておくことが、関係を守るうえでの知恵になります 。

4-2:内省――二人の「歴史」と「感情」の棚卸し

では具体的に、失われたチーム意識を取り戻すために 内省のワーク をしてみましょう。紙とペンを用意する必要はありません。ただ、静かに心の中で自分に問いかけてみてください 。

  • 問1 :二人の過去を振り返ってみてください。あなたが「察してほしい」と思いながら沈黙してしまったとき、パートナーはどんな気持ちだったでしょうか? 本当は何か感じ取ってほしくて黙っていたのに、相手はきっと戸惑い、不安を感じていたかもしれません 。
  • 問2 :パートナーが発していた小さなSOSに気づけていたでしょうか。例えば沈黙や不機嫌というサインを、あなたは「ただ機嫌が悪いだけ」と受け流していなかったでしょうか? 本当は「助けてほしい」「わかってほしい」というメッセージだった可能性はないか、想像してみてください 。

対話:正しさよりも、あの時の気持ちに光を当てる

相談者ケンジさん

「振り返ろうとすると、つい『あのとき相手がこうしてくれなかったから』って、原因探しになってしまいます。」

松浦カウンセラー

「“誰が悪いか”を決めるモードが自動的に立ち上がってくる感じですね。」

相談者ケンジさん

「はい。でも、本当に知りたいのは『どちらが悪いか』じゃなくて、『これから変われるのか』なんだと思います。」

松浦カウンセラー

「だからこそ、出来事そのものよりも、『そのとき二人はどんな気持ちだったのか』に光を当ててみるんです。気持ちに名前がつき始めると、『同じ歴史を生きてきた二人』という感覚が、少しずつ戻ってきますから。」

ここで大事なのは、正解を見つけることではありません。過去の出来事を細かく分析して善悪を決めることでもありません。
ただ、 パートナーの心情に思いを馳せる 時間を持ってみることです。「自分は正しいはずだ」「相手が悪かったんだ」というジャッジを一旦脇に置いて、二人が歩んできた歴史とそこで生まれた感情を静かに見つめてみましょう。この内省によって、あなた自身がいかに相手の立場に立てていなかったか、逆に相手がどれほどあなたを想ってくれていた瞬間があったかなど、新たな発見があるかもしれません。そうした気づき一つ一つが、再び 夫婦をひとつのチーム へと近づける貴重な糧になるのです 。

心理のポイント
  • 過去を振り返るとき、「どちらが正しかったか」「どちらが悪かったか」を裁き直すことに意識が向きがちですが、内省のポイントはそこではなく、「あの時、相手はどんな気持ちだっただろう」と感情に焦点を当ててみることにあります 。
  • ため息、視線をそらす、口数が減る、早く寝てしまう——こうした小さな変化を、「ただの不機嫌」と片付けず、「何か言葉にできないSOSかもしれない」と受け取る習慣をつけていくと、これからのコミュニケーションは大きく変わっていきます 。
  • この内省は、自分を責めるためでも、相手を断罪するためでもありません。「二人の歴史」とそこに流れていた「感情」を、丁寧に棚卸しする作業です。その中で生まれた気づきが、これからのあなたの言葉と態度に、静かな深みと優しさをもたらします 。
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第5章:これから「チーム」として生きていくあなたへ

金継ぎのように傷を抱えたまま新しいチームとして生まれ変わる夫婦のイメージ

第5章では、これから夫婦という「チーム」として歩んでいくために大切な視点についてお話しします。離婚したくないと願うあなたにとって、夫婦をやり直す本当の意味とは何でしょうか? それは決して過去に戻ることではなく、お互いの弱さも折り込み済みで受け入れ、新たな関係を一緒に築き直すことにあります。ここでは、10年後の未来の自分から今の自分を見つめる視点も交え、いつか「あの苦しい夜があったからこそ、今の二人がある」と心から言える日が来ると信じて、共に前に進んでいきましょう 。

5-1:修復とは「元に戻る」ことではなく「新しく作る」こと

ここまで見てきたように、夫婦関係の危機は「本当の意味での夫婦」になるための試練でありチャンスでもあります。では、具体的に関係修復に向けて何を目指せば良いのでしょうか。それは、 過去の関係にただ戻るのではなく、新しい関係を二人で作り上げること です。今の危機は過去の延長線上に起きています。悲しいことに、過去と同じ在り方に戻ったところで、また同じ問題が繰り返されてしまう可能性が高いでしょう。

過去に一度離婚の話が出たけれど、その後にお互いに忙しくなってしまって、夫婦の問題に向き合わず、なんとなく離婚の話は立ち消えてしまったというご夫婦もいると思います。実際、そうした話を聞くことがあります。けれど、数年経った頃に、また離婚の話が浮上してきます。こうした問題は、僕のところによく持ち込まれる話です。
こうしたことが起こり得るからこそ、「元に戻りたい」と過去を追い求めるのではなく、お互いのエゴや弱さもすべて 折り込み済み と理解した上で、それでも支え合える 新しいチーム を一緒に作っていくことが大切です 。

対話:壊れた器をどう直すか

相談者ケンジさん

「やり直したいとは思うんですが、一度入った亀裂はもう消えないんじゃないか…って不安があります。元通りにはなれないんじゃないかって。」

松浦カウンセラー

「おそらく、“完全な元通り”にはならないと思います。でも、それでいい、という考え方もあるんです。日本の『金継ぎ(きんつぎ)』ってご存じですか。割れた器を漆と金で繋いで、傷を隠すのではなく、むしろ模様として生かしていく技法です。」

相談者ケンジさん

「傷を隠さずに、模様にしてしまう…。夫婦関係も、そうやって新しく作り直していけるってことですか。」

松浦カウンセラー

「そうです。今の危機は、“同じ相手と第二の結婚を始めるチャンス”と捉えることもできます。
一度割れたからこそ、人の痛みが分かる、強くて優しいチームになれる。『前と同じに戻す』より、『傷を含めて新しい器として育てていく』―そんなイメージで、これからの関係を設計していけるといいですね。」

「夫婦をやり直す」という意味は、単に仲直りして以前の状態に戻ることではありません。そうではなく、お互いが今回のことで学んだこと・気づいたことを活かして、新しいルールや思いやりの形を築いていくことです。例えば、「ちゃんと気持ちを言葉で伝える」「定期的にお互いの不満を聞き合う時間を持つ」といった小さな約束でも良いのです。過去には戻らない。でも未来は変えられる。それが 離婚を回避し夫婦関係をやり直す 本当の意味だと心得ましょう 。

心理のポイント
  • カウンセリングの世界では、「多くの人は人生の中で何度か“結婚”を経験するが、そのいくつかは同じ相手との“第二の結婚”である」とよく語られます。今の危機は、パートナーを変えるためではなく、同じパートナーと第二の結婚に踏み出す入り口だと考えることもできます 。
  • 「元の幸せだった頃に戻りたい」という願いは自然ですが、その「元の状態」の延長線上に今の危機があるのだとすれば、そこに戻るだけでは、同じ問題が繰り返されるリスクがあります 。
  • 日本の伝統技法である金継ぎのように、一度割れた器を漆と金でつなぎ、その傷を隠すのではなく「味わいのある模様」として生かしていく発想が、これからの夫婦を考えるヒントになります。関係もまた、傷を含めて新しい形に作り直すことができるのです 。

5-2:未来の自分から、今の苦しむ自分へ

最後に、少し時間の流れを超えて考えてみましょう。もし10年後、あなたとパートナーが穏やかに笑い合って過ごせているとしたら…未来のあなたは、今この苦しい夜をどう振り返っているでしょうか?きっと、こう思っているはずです。「あの夜、逃げずに自分と向き合って本当によかった」と。あるいは「 あの痛みが、本当の意味で私たちを夫婦(チーム)にしてくれた んだ」と。今は信じられないかもしれませんが、未来のあなたから見れば、この経験は夫婦として生まれ変わる大切な転機だったと思える日が必ず来るのです 。

だからこそ、どうか諦めないでください。未来の幸せな二人がここから始まるのだと信じて、今夜は自分自身と静かに向き合ってみましょう。焦って完璧な解決策を見つけようとしなくて大丈夫です。大切なのは「これからどう“夫婦になっていく”か」を二人で創造していく姿勢です。

対話:未来の自分は、今の自分に何と言うだろう

相談者ケンジさん

「10年後の自分なんて、正直まったく想像がつきません。そもそもそのとき、一緒にいられるのかどうかも分からなくて。」

松浦カウンセラー

「その“分からなさ”ごと、いったん横に置いてみましょう。もし仮に、一緒にいられている未来があるとしたら……その人は今のあなたに、どんな一言をかけていると思いますか。」

相談者ケンジさん

「『あのとき、ちゃんと向き合ってくれてありがとう』って言っているかもしれません。結果がどうなったにせよ。」

松浦カウンセラー

「その一言が浮かんできた時点で、心のどこかには“向き合いたい自分”がちゃんと生きているということですね。その声をどう扱うかが、今夜のあなたに委ねられているテーマなのかもしれません。」

心理のポイント
  • 心理療法の世界には、「未来の自分の視点から今を眺めてみる」イメージワークがあります。10年後の自分が、今の自分に手紙を書くとしたら、どんな言葉をかけるだろう——と想像してみる方法です 。
  • 多くの人が、後になって夫婦の危機を振り返るとき、「あの時期があったからこそ今の関係がある」「あの痛みが自分たちを夫婦にしてくれた」と語ります。苦しみの真っ只中では意味が分からなかった経験が、時間を経て「転機」として物語に組み込まれていくのです 。
  • 今の段階で完璧な答えを出す必要はありません。ただ、「この夜の痛みを、未来の自分はどう物語るだろう?」と一度だけ問いかけてみること。それが、この経験を単なる絶望で終わらせず、成長と再構築の物語へとつないでいく心理的な土台になります 。

まとめ:今日から始まる「夫婦になっていく」時間

苦しい夜を越えて新しいスタートラインに立つ夫婦が並んで歩き出すイメージ

最後にお伝えしたいのは、この経験の意味についてです。夫婦関係が下降線をたどってしまったのは、決して愛情がなかったからではありません。もしかすると、 「夫婦を作っていく」というチーム意識 が少し足りなかっただけかもしれないのです。問題が深刻化して初めてそのことに気づくのは、とても辛いことです。しかし、裏を返せば 今気づけたこと自体がすでに大きな一歩 でもあります 。

どうか今夜は、無理に具体的な解決策を探そうとはせず、そっと心を落ち着けてみてください。そして静かにパートナーへの「敬意」と「愛しさ」を思い出す時間を持ってみましょう。あなたが感じているその重い夜は、決して絶望の淵ではなく、新しいスタートラインに立っている証です。夫婦になっていく長い旅路は、実はここからが本番です。あなたとパートナーが本当の意味でチームとなり、支え合って歩んでいけることを、心から応援しています 。

読者への問いかけ

今夜、もし一瞬だけ、あなたの心に「パートナーへの感謝」や「ごめんね」という気持ちが浮かんだとしたら、それはどんなことに対してでしょうか?
まずはその小さな灯火を、あなた自身の胸の中で大切に温めることから始めてみてください。

結論:夫婦は「完成品」ではなく、時間をかけて「なっていく」もの

  • 今あなたが感じている苦しみは、関係の終わりを告げる鐘ではなく、二人が真の運命共同体(チーム)になるための「通過儀礼」です。

  • 修復のゴールは、過去の幸せな日に戻ることではありません。お互いの弱さや違いも含めて受け入れ合う、「傷つきながらも支え合う新しい関係」を二人で作ることです。

  • 「自分ばかりが辛い」という視点を手放し、パートナーが一人で抱えていた孤独に想像力を働かせたとき、修復への道は必ず開かれます。10年後のあなたが「あの夜があったから、今の私たちがいる」と笑える日が来ることを信じて、まずは今夜、自分自身の痛みを優しく認めることから始めていきましょう。

【免責事項(必ずお読みください)】

本記事に掲載されている情報は、夫婦間の問題やモラルハラスメントに関する一般的な情報や当方のカウンセラーとしての経験則の提供を目的としたものであり、特定の個人の状況に対する医学的、心理学的、あるいは法的なアドバイスを提供するものではありません。記事の内容は、専門家の知見、経験値、参考文献に基づき、可能な限り正確性を期しておりますが、その完全性や最新性を保証するものではありません。ご自身の心身の不調、具体的な法律問題、あるいは安全に関する深刻な懸念については、必ず医師、臨床心理士、弁護士などの資格を持つ専門家にご相談ください。本記事の情報を利用したことによって生じたいかなる損害についても、当サイトおよび筆者は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。情報の利用は、ご自身の判断と責任において行っていただくようお願いいたします。

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Q&A:この記事を読んだ方のためへ-迷える夜に、もう一つの灯りを

Q1. パートナーの態度が氷のように冷たく、もう手遅れに思えて心が折れそうです。

A. その冷たさは、パートナー自身が長い間抱えてきた「諦め」や「孤独」の裏返しかもしれません。 記事でお伝えした通り、人は理解されない苦しみが限界に達すると、自分を守るために心を閉ざします(情緒的離婚)。その冷たい壁は、あなたを拒絶するためだけにあるのではなく、彼ら自身が傷つかないための鎧でもあります。「冷たい」と感じるその奥に、かつてSOSを出していた寂しいパートナーがいると想像してみてください 。その視点を持てたとき、氷を溶かすきっかけが生まれます。

Q2. 「新しく関係を作る」と言われても、また同じ過ちを繰り返すのが怖いです。

A. 怖さを感じるのは、あなたがそれだけ真剣に「次は絶対に失敗したくない」と思っている証拠です。 「元の関係」に戻ろうとすると、同じ問題を繰り返しますが、今回は違います。あなたは今、痛みを伴う内省を通じて「期待やエゴは折り込み済みである」という視点や、「勝ち負けよりもチームであること」の大切さに気づき始めています 。この「気づき」という羅針盤がある限り、二人は以前とは違うルートを歩めます。恐れは「慎重さ」という武器に変えていけますよ。

Q3. 相手ばかり責めていた自分に気づき、今度は罪悪感で押しつぶされそうです。

A. 自分を責める必要はありません。それは「愛し方」のボタンを少し掛け違えていただけなのです。 過去の振る舞いは、あなたがあなたなりに一生懸命だった結果であり、悪意があったわけではないはずです 。大切なのは「どちらが悪かったか」という犯人探し(裁判)ではなく、「あの時、どうすればチームとして機能したか」という検証(作戦会議)です 。罪悪感に沈むエネルギーを、これからパートナーを理解するための想像力に使ってみてください。

Q4. 「チームになる」というのは、私が我慢して相手に合わせることなのでしょうか?

A. いいえ、違います。一方的な我慢は「チーム」ではなく「主従関係」を作ってしまいます。 チームとは、お互いの弱さや凸凹を認め合い、補完し合う関係です 。あなたが無理をして感情を押し殺すことは、長い目で見ればチームの戦力を落とすことになります。目指すのは、我慢することではなく、「私はこう思う、あなたはどう思う?」と、お互いの違いをテーブルの上に並べて、二人でベストな答えを探せる関係です。それが「新しい夫婦を作る」ということです 。

Q5. 修復できるまで、どのくらいの時間がかかるものでしょうか?

A. 焦る気持ちは痛いほど分かりますが、心の傷の回復には「近道」はありません。 骨折が治るのに時間が必要なように、信頼関係の修復にも物理的な時間が必要です。パートナーが「離婚したい」と口にするまでに長い年月がかかったのなら、その氷解にも同じくらいの時間がかかるかもしれません 。でも、今日という一日は確実に未来へ繋がっています。「早く結果を出そう」とするのではなく、「今日は少しだけ相手の気持ちを想像できた」という小さな一歩を大切に積み重ねていきましょう 。

参照元

  • Eisenberger, N. I., et al. (2003). Does rejection hurt? An fMRI study of social exclusion. Science.
  • Gottman, J. M., & Silver, N. (2015). The Seven Principles for Making Marriage Work. Harmony.
  • Nolen-Hoeksema, S. (2000). The role of rumination in depressive disorders. Journal of Abnormal Psychology.
  • Clark, M. S., & Mills, J. (1979). Interpersonal attraction in exchange and communal relationships. Journal of Personality and Social Psychology.
  • Brown, B. (2012). Daring Greatly: How the Courage to Be Vulnerable Transforms the Way We Live, Love, Parent, and Lead. Gotham Books.

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