「今日は、久しぶりに普通に話せた気がする」
そんな日の夜ほど、なぜか胸がざわつくことがありますよね。
布団に入って、隣の寝息を聞いた瞬間。急に、過去の不倫や暴言の場面が、生々しく戻ってきてしまう。
すると、言いたくなかった言葉が喉まで上がってきたり、逆に涙が止まらなくなったりします。
そして翌朝。「またやってしまった」「やり直すって決めたのに…」と、自己嫌悪が追い打ちをかける。
この“自己嫌悪までセットで来る感じ”が、地味にいちばんしんどかったりします。
ここで、まず最初にお伝えしたいことがあります。この「再燃(揺り戻し)」は、修復が失敗しているサインとは限りません。
むしろ、関係が少し落ち着き始めたからこそ、心が“保留していた痛み”を処理し始める途中で起きることも多いんです。
検索窓に、こんな言葉を打ち込みたくなる夜もあるはずです。
「不倫を思い出して苦しい 夜」
「許したのに苦しい また責めてしまう」
「再構築 フラッシュバック どうすれば」
「夫婦修復 会話ができない」
この記事は、その夜を「関係破壊」にせずに乗り越えるためのものです。心理療法の専門用語が分からなくても大丈夫です。
日常の中で回せるように、“今夜の止血”→“翌日の前進”→“30日で戻る力”の順番でまとめていきます。
- 「許したのに揺れる」は矛盾ではなく、修復期に起きやすい反応です
- 夜は“解決”より“止血”が合っています(深夜に結論を出さないだけで関係は守りやすいです)
- 責め言葉を「状態共有(いま苦しい、少し一人にしてほしい、などを短く伝える)」に変えると、衝突はかなり減っていきます
- 再構築は“気合い”というより“運用”(時間・議題・連絡ルール)で前に進みやすいです
- 30日で「再燃回数/回復時間/睡眠」を見える化すると、前進が実感しやすいです
- 再燃(揺り戻し)は、起きること自体が失敗とは限りません。
- 大事なのは「起きた夜にどう扱うか」で、夜は“解決”より“止血”が合いやすいです。
- 今夜は「タイムアウト→状態共有→いまここ」を回して、関係を壊さないことを優先します。
- 話し合いは翌日に15分だけ、議題1つで“次の1歩”を決めるほうが進みやすいです。
- 目標は「再燃ゼロ」ではなく「戻る速度」を上げることで、30日で変化が見えやすくなります。
「許したはずなのに思い出す夜」は、修復の失敗ではありません

「前を向きたいのに、勝手に映像が出てくる」
この苦しさを、性格の問題として抱え込んでしまう方は少なくありません。
でも実際には、“人格が未熟”という話ではなく、回復の順番の話であることが多いです。
許す(再構築を選ぶ)のは、ひとつの意思決定ですよね。
ただ、意思決定と、心や体の反応は、同じ速度で進まないことがあります。頭では「やり直す」と決めていても、心はときどき遅れて追いついてくる。そんな感じです。
この記事で得られること
- 「許したのに苦しい」という矛盾の正体が、少し整理できるようになります
- 再燃した夜に、関係を壊しにくい“止血の手順”が持てます
- 再燃ゼロを目標にせず、“戻る速度”を上げる現実的な見方が持てます
読者さんがつまずきやすいポイント
多くの方がつまずくのは、「苦しい=まだ許せていない=自分がダメ」と短絡してしまうところです。ここで自己否定が強くなると、夜が長くなりやすいんですよね。

松浦カウンセラー
【現場のひとこと】
過去の怒り、トラウマ的なものや、許せない気持ちが再燃するのは当たり前のことです。簡単に過去は許せるものではないし、心の奥底に眠っていたと思ってたら、突然起き出すことは自然なことです。ただ、そうした再燃が起きた時には、その意味を考えてみて欲しいのす。
それは「関係を良くしたい気持ち」も同時にあるからこそ、湧き上がる気持ちであって、さらにそうした気持ちに対しては、あとから自己嫌悪が来やすいものですです。でもね、自己嫌悪が出た時点で、すでに“真面目に向き合っている”証拠でもあるんですよね。
なぜ「うまくいき始めた時」ほど、過去がよみがえりやすいのか

荒れていた時期は“感じる”より“生き延びる”が優先されやすいです
関係が不安定な時期、人は日常を回すだけで精一杯になります。
仕事、家事、育児、最低限の会話。これだけで限界、ということもありますよね。
だから当時、涙が出なかったとしても、傷が浅かったとは限りません。
むしろ、心が「麻酔」をかけてくれていた可能性があります。
嵐の海で船を操縦しているような“サバイバルモード”だと、船酔いを感じる余裕がないのと似ています。
安全が戻ると、未処理の感情が“時間差”で上がってきます
相手の態度が少し柔らぎ、生活が少し落ち着くと、心はようやく「感じてもいい」と判断します。
そこで、当時のみ込んだ痛みが時間差で表面化してくることがあります。
つまり再燃は、「今さら蒸し返し」というより、当時処理しきれなかった感情の後処理に近いんですね。
「責めたい」の中身は、怒りだけではないことが多いです
再燃の言葉は攻撃に見えるのに、芯はこういうことが多いです。
- 「もう二度と、あの目に遭いたくない」
- 「また裏切られたら、立ち直れない」
- 「安心したいのに、安心できない」
怒りの仮面をかぶった不安や悲しみが混ざっている、という感じです。
ここが分かってくると、夜の言葉を「制裁」ではなく「安全を取り戻す段取り」に変えやすくなります。
ここで、再燃の夜に“どこまで引き受けるか/どこから守るか”を整理したい方は、『夫婦の境界線(バウンダリー)を整える』もあわせて読むと腹落ちしやすいです。

松浦カウンセラー
【現場のひとこと】
再燃は特に夜に起こりやすいですよね。そして、「分かってもらえない」が重なると、孤独が一気に深くなります。だからこそ、まず“孤独にしない言葉”より先に、“壊さない手順”を持つほうが回復が早いことが多いですよ。
気持ちを抑える方向で考えなければ、どうしても落ち着かず、夜中に相手を起こしてでも、気持ちをぶつけたり、話し合いを強要してしまうことになります。そして、その後にまた自己嫌悪に陥ります。だからこそ、“壊さない手順”を意識してくださいね。
再燃した夜、まず何をすればいいですか?(今夜の止血7ステップ)

目的は「感情をゼロにすること」ではありません。
今夜はまず、関係を壊しにくくすること。ここに絞ると、やることが見えやすくなります。
ステップ1:再燃の兆しを短く言葉にします
「いま、再燃が来ている」
この一言で十分です。言葉にすると、感情の渦に輪郭ができます。
輪郭ができると、衝動のまま言葉が飛び出す前に、ワンクッション置けるんですね。
ステップ2:20分タイムアウトします(その場を離れます)
トイレ、洗面所、別室。どこでもいいです。これは逃げではなく、関係を守るための段取りです。
同じ空間に居続けると、表情や沈黙が刺激になって、再点火しやすいんですよね。
ステップ3:体を先に落ち着かせます(呼吸/水分/足裏)

再燃中は、理屈が入りにくい状態です。だから先に体へ働きかけます。おすすめは、これだけです。
- 4秒吸って、6秒吐く呼吸を8回
- 冷たい水をひと口
- 足裏を床に押しつけて、硬さを感じる
体が落ち着くと、言葉のトーンが変わってきます。ここが大きいです。
ステップ4:責める言葉を「状態共有」に変えます(Iメッセージ1文)
我慢しなくていいんです。ただ、出口を変えます。
- NG:相手を裁く形
「なんで平気で寝てるの?」 - OK:状態+要望(短く)
「いま急に思い出して、胸が苦しい。20分だけ落ち着く時間がほしい」
「いま再燃してる。今夜は結論を出さず、明日15分だけ話したい」
もし会話が“正しさの勝負”になって苦しくなりやすいなら、『ロジハラ気味で会話ができない時の修復の進め方』が具体策の補助線になります。
ステップ5:トリガーを“1行メモ”します
頭の中が渋滞していると、攻撃だけが出てしまいやすいです。
だから、たった1行でいいのでメモします。
例:
- スマホ通知で不安が跳ねた
- 無言の夕食で「見捨てられ」が出た
- 謝罪が軽く聞こえてしまった
メモは翌日の15分会話で、議題を1つに絞る材料になります。
ステップ6:「いまここ」に戻します(簡易グラウンディング)
再燃の記憶は“いま起きている”みたいに感じられます。だから五感で現在地に戻します。
- 部屋を見渡す(壁、時計、窓)
- 手の温度を確かめる
- 温かい飲み物を飲む
- 短く言う:「これは過去の記憶。いまは安全を作り直している途中」
うまくやろうとしなくて大丈夫です。“現在に戻る動き”ができれば十分です。
ステップ7:睡眠を優先して、夜を終えます(勝負は明日です)
再燃の夜ほど、「今夜のうちに分かってほしい」が強くなります。
でも、睡眠が削れるほど、翌日は折れやすくなります。
今夜は100点を目指さなくていいです。0点を避けられたら十分、という日もあります。
止血や会話をひとりで回すのが難しい夜が続くなら、『夫婦修復を進めるためのカウンセリング(教本)』も参考になるかもしれません。

松浦カウンセラー
【読者さんのつまずきポイント】
「止血できなかった=全部終わり」と感じてしまうこと。
実際は、止血が1回でも成功すると、その後の回復はかなり進みやすいものです。
大丈夫ですよ。ゆっくりでいいんです。できるときも、できないときもあります。
できなかったことよりも、またやっていけばいいんだという、そういう心持ちでよいんですよ。
翌日の「15分修復会話」テンプレ──短く、深く、前に進めます

夜に止血したら、翌日に短く話します。
長時間の話し合いは、論点が増え、疲労で防衛が強まり、消耗戦になりやすいんですね。
15分なら議題を一つに絞りやすく、着地点が作りやすいです。
15分会話のルール
- 議題は1つだけ(欲張らない)
- 途中で上がったら休憩(10分でもOK)
- 結論より「次の1歩」を決めます
- 時間が来たら、いったん終えます(続きは次回で十分です)
3文テンプレ(事実→感情→要望)

- 事実:昨夜、〇〇がきっかけで再燃した
- 感情:怖かった/悲しかった/不安になった
- 要望:次に同じことが起きたら、▢▢してほしい
(例)「昨夜、通知音で再燃した。『また起きるかも』が怖くなった。寝る前に5分だけ共有時間を取りたい」
修復を“気合い”ではなく“チーム運用”として組み直したい時は、『夫婦はチームとして立て直せる、という視点』も相性がいいです。
再構築は気合いより運用──関係を守る7つのルール

再構築は、気持ちだけで走ると燃え尽きやすいです。
「今日は頑張れた」「今日は無理だった」に一喜一憂し始めると、修復の土台が揺れやすくなります。
だから、最低限の運用ルールで支えます。
7つのルール
- 22時以降は重い議題を扱いません(夜は誤解が増えやすいです)
- 話し合いは15〜20分で区切ります(長いほど消耗戦になりやすいです)
- 議題は1回1つ(“ついでに”は禁止です)
- 長文LINEで詰めません(夜の長文は翌朝の火種になりやすいです)
- 週1回の振り返り時間を固定します(突発会議を減らせます)
- 再燃時の合図を共通化します(例:「いま再燃」「タイムアウト希望」)
- 「蒸し返しゼロ」を目標にしません(目標は“戻る速度”です)
不機嫌や沈黙で空気が凍って再燃しやすい場合は、『フキハラで関係が凍る時の初動(最初の7日)』もセットで押さえておくと安心感が作りやすいです。
30日で変化を実感するミニプラン(自分で回せる設計)

完璧にやる必要はありません。
大事なのは「変化に気づける」ことです。気づけると、心が折れにくくなります。
Week1:止血を“1回でも成功”させる週
- 止血7ステップを、できる範囲で実行します
- 夜に書いたLINEは送信保留(下書き保存)にします
- 目標:1回でも止血できたら◎です
Week2:15分会話を週2回だけ固定する週
- 曜日と時間を決めます(例:火曜と日曜の朝)
- 3文テンプレだけで話します
- 目標:1回でもテンプレ通りに話せたら◎です
Week3:再燃トリガー上位3つを特定する週
- トリガーをメモします
- それぞれ予防策を1つだけ決めます
Week4:前進を“数値”で確認する週
記録するのは4つだけでOKです。
- 睡眠(中途覚醒の回数)
- 再燃回数
- 回復までの時間
- 会話後の消耗度(10点満点)
それでも迷いが出た時
離婚か修復かを“整理”する場所を持ちます。再燃が続くと、ふと心が言うことがあります。
「もう無理かもしれない…修復は…」。
この言葉が出る夜は、疲れと孤独が重なっていることが多いと思います。
そんな時ほど、勢いで結論を出すより、整理が助けになります。
再燃が続くと“もう無理かもしれない”が出てくることもあるので、迷いが強い時は、『離婚か修復かで迷う時の整理』に一度戻って整えるのも手です。

松浦カウンセラー
【現場のひとこと】
迷いが出るのは、弱さというより真剣さの裏返しと考えてください。真剣に考えていない時に迷いや悩ましさが出ることはあまりないはずです。私の相談者の方々は皆さん葛藤していますし、気持ちのアップダウンも1日単位等ではなく、数時間おきに起きている苦しさを話されています。それだけ一生懸命考えているのだと思います。いずれにせよ、迷いを“整理”できると、どちらを選んでも崩れにくくなることが多いということは覚えておいてくださいね。
相談現場でよく見る「回復の小さな兆し」

大きく変わった、より先に、こういう“小さな回復”が出ることが多いものです。
- 再燃しても、回復までの時間が短くなります
- 責め言葉が出ても、途中で止血に切り替えられます
- 「今日は明日にしよう」が言えるようになります
- 15分会話が、1回でも成立します
- 睡眠が少し戻ります(ここは本当に大事です)
一人で抱えないほうがいいサイン(相談を検討するタイミング)
次の状態が2週間以上続くなら、外部支援を使う判断が安全です。
- 眠れない(入眠障害/中途覚醒)が続きます
- 日中の仕事や育児に強い支障が出ています
- 威圧/暴力/監視など安全不安があります
- 話し合いが毎回、罵倒や脅しで終わります
- 食欲不振、体重の急変が続きます
- 危険な思考が出るほど追い込まれています
FAQ(よくある質問)
Q1. 許すと決めたのに思い出すのは、まだ許せていない証拠ですか?
A. そうとは限りません。許す(再構築を選ぶ)は意思決定で、感情の回復は時間差で進むことが多いです。思い出すこと自体を失敗だと決めつけないほうが、修復は進みやすいです。
Q2. 再燃した時、何も言わないほうがいいですか?
A. 黙って抱えるより、「状態共有」を短く伝えたほうが安全なことが多いです。「いま再燃して胸が苦しい。20分だけ落ち着く」が基本形になります。
Q3. 夜に話し合ってはいけませんか?
A. “重い議題”は避けたほうがいいことが多いです。夜は疲労で誤解が増えやすく、消耗戦になりやすいからです。夜は止血、話し合いは翌日の短時間へ回すのがおすすめです。
Q4. 相手に「いつまでその話をするの?」と言われます。
A. その一言で再燃しやすくなります。時間枠(15分)と議題1つのルールを作り、「終わる時間が見える話し合い」に変えていくと前進しやすいです。
Q5. 相手が協力的ではない場合はどうすればいいですか?
A. まず自分だけでできる部分(止血、状態共有、15分会話の提案)からで大丈夫です。反応が変わると相手の反応が変わることもあります。それでも難しい時は、一人で相談を使う選択も有効です。
まとめ──今夜、最初の一歩だけで十分です

「許したはずなのに思い出す」夜がある。
それは、意思が弱いからでも、執念深いからでもありません。
修復期に起きやすい“揺り戻し”で、ポイントは「起きた夜にどう扱うか」です。
今夜の最初の一歩は、これで十分です。
- 「解決は明日。今夜は止血」と決めます
- タイムアウト20分を取ります
- 状態共有を1文だけにします
迷いが出た時は、勢いで結論を出さずに整理をしたい場合には、『離婚か修復かで迷う時の整理』を読むことで、一歩の進め方の参考になると思います。
一人で止血が難しい夜が続くなら、外部支援を使っていいのです。苦しさで動けなくなる前に頼ってください。
この記事は、現在お悩みの方に情報を提供し、ご自身の状況を客観的に理解するための一助となることを目的としています。しかし、これは個別の医学的診断や治療に代わるものではありません。深刻な心の不調や、ご自身の安全に危険を感じる場合は、決して一人で抱え込まず、速やかに専門の医療機関や公的な相談窓口にご相談ください。公的機関等に相談すべきかが不明な場合等はその旨をご相談ください。
参考文献/参照元
- NICE(英国国立医療技術評価機構)『Post-traumatic stress disorder: NICE guideline NG116』https://www.nice.org.uk/guidance/ng116
- WHO(世界保健機関)『ICD-11:PTSD(Post-traumatic stress disorder)』https://icd.who.int/browse11/l-m/en#/http://id.who.int/icd/entity/2070699808
- SAMHSA(米国 保健福祉省系)『Post-Traumatic Stress Disorder (PTSD)』
- U.S. Department of Veterans Affairs(米国退役軍人省)National Center for PTSD『Coping tools / Grounding(フラッシュバック等への対処)』https://www.ptsd.va.gov/gethelp/coping_tools.asp
- Gordon, K. C., Baucom, D. H., & Snyder, D. K. (2004). An integrative intervention for promoting recovery from extramarital affairs. Journal of Marital and Family Therapy.(PubMed)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15114949/










