「私が悪い」と思わされていませんか? DARVO(否認・攻撃・被害者逆転)の罠から抜け出す心理学。離婚か修復か、迷っているあなたへ

「私が悪いの?」DARVO(否認・攻撃・被害者逆転)の罠から抜け出す心理学。離婚か修復かで迷うあなたへ。
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この記事の要約サマリー(30秒で把握)

パートナーとの会話で、なぜかいつも「あなたのせい」にされていませんか?

この記事では、巧妙な心理操作である「DARVO(否認・攻撃・被害者逆転)」のメカニズムを深掘りします。

DARVOのステップ:

  1. Deny (否認): 「やっていない」と事実を認めない。
  2. Attack (攻撃): 「お前が悪い」と人格を否定する。
  3. RVO (被害者逆転): 「私こそが被害者だ」と主張する。

この記事でわかること:

  • なぜ加害者は「被害者面」をするのか?(歪んだ自己愛
  • DARVOがあなたに与える深刻な影響(ガスライティング、孤立
  • 離婚か修復か?加害者が変わる稀な条件とは
  • あなたの「ものさし」を取り戻すための具体的な第一歩

あなたが感じている「違和感」は間違いではありません。自分の感覚を取り戻し、人生の主導権を取り戻すためのヒントがここにあります。

パートナーとの会話が、なぜかいつも「あなたのせい」という結論で終わっていませんか?
「そんなことは言っていない」と事実を真っ向から否認され、「お前の言い方が悪い」と激しく攻撃され、最終的には「君のせいで私がこんなに傷ついた」と被害者のように振る舞われ、なぜかあなたが謝っている…。

もし、こうした状況に「心当たりがある」と感じ、ご自身の感覚に自信が持なくなっているなら…まず、心に留めてください。それはあなたのせいではありません。あなたは何も、悪くないのです。

あなたは今、DARVO(ダーヴォ)と呼ばれる、極めて巧妙な心理的マニピュレーション(操作)の渦中にいるのかもしれません。

この記事は、「心理的マニピュレーションの手法」の中でも、特に「罪悪感操作・被害者面」の核心であるDARVOについて、その「なぜ(Why)」を深く掘り下げるものです。

読者対象は、このDARVOという「責任転嫁」と「罪悪感の植え付け」に苦しみ、離婚すべきか、それとも関係を修復すべきか、人生の岐路で迷っておられる、あなたです。 単なる情報の羅列ではなく、あなたが「なるほど」と納得し、「私は悪くなかった」という確信(納得感)を得て、ご自身の人生を取り戻すための第一歩を踏み出すための、心理的な羅針盤となることを目指します。

1. DARVO(ダーヴォ)とは何か? 段階で完成する「被害者逆転」の巧妙な手口

DARVO(否認・攻撃・被害者逆転)のステップを示す図。否認され混乱する女性。

DARVO(ダーヴォ)とは、心理学者のジェニファー・フリード博士によって提唱された、加害者が自らの責任を逃れ、逆に相手を非難するために用いる一連の行動パターンを示す頭字語です。

これは、加害者が自らの虐待的行為や不正を追及された際に、無意識的あるいは意識的に用いる防衛反応であり、以下のつのステップで構成されます。

DARVOの特徴である① Deny (否認)、② Attack (攻撃)、③ Reverse Victim & Offender (被害者逆転)のサイクルを図解した画像
  • D – Deny (否認):
    「私はやっていない」「そんなつもりじゃなかった」「君の記憶違いだ」「証拠でもあるのか?」
    まず、加害者は事実そのものを真っ向から否認します。ここで被害者は「あれ、私の記憶違いだっただろうか?」と、自らの認識(現実)に最初の揺ぶりをかけられます。
  • A – Attack (攻撃):
    「なぜそんなことを言うんだ」「君こそ、あの時こうだったじゃないか」「お前は本当にネチネチしている」「そんなことだからダメなんだ」
    否認が難しいと判断すると、加害者は次に、問題を指摘した被害者自身を「攻撃」します7。論点を「加害者の行動」から「被害者の人格や過去の過ち」へと意図的にすり替え、被害者を恐怖と混乱に陥れます。
  • RVO – Reverse Victim and Offender (被害者と加害者の逆転):
    「お前のせいで私はこんなに苦しんでいる」「君が私を怒らせたんだ」「私こそが本当の被害者だ」
    最終段階として、加害者は自分自身を「被害者」として演じ、問題を指摘した被害者を「加害者」に仕立て上げます。

この「否認」→「攻撃」→「逆転」のプロセスが完了すると、被害者は「自分が相手を傷つけてしまったのかもしれない」という強烈な罪悪感(ギルトトリッピング)を植え付けられ、加害者の責任を追及するどころか、逆に謝罪させられるという、理不尽な状況に陥るのです。

この一連の流れは、単なる「口論のテクニック」ではありません。

被害者の心理に「混乱(否認による現実感の喪失)」→「恐怖(攻撃による自己防衛)」→「罪悪感(逆転による責任転嫁)」というサイクルを叩き込む、極めて破壊的な虐待プロセスそのものなのです。

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2. なぜ、あの人は「被害者面」をするのか? DARVO加害者の“歪んだ”心理メカニズム

被害者面をして相手を責めるパートナーと、その言葉に傷つく女性。

多くの被害者の方が抱く最大の疑問は、「なぜ彼(彼女)は、あんなに堂々と嘘をつき、被害者面ができるのか?」という点でしょう。その答えは、加害者の内面にある「歪んだ自己愛」と深く関連しています。

(Why 1)根底にある「脆弱な自己愛」

モラハラやDARVOの加害者の多くは、一見すると自信満々で、自らを特別な存在と考える「特権意識」を持っています。しかし、その尊大な態度の裏側には、実は「非常に脆(もろ)い自尊心」が隠されています

彼らにとって、自らの非(間違い、弱さ、過ち)を認めることは、健常者が感じるような「反省」のレベルを超え、「自己のアイデンティティが崩壊する」ほどの耐え難い苦痛と恐怖を意味します。

(Why 2)「マイルール」こそが絶対の正義

彼らの世界は、「自分は金を稼いでいるんだから、家族は言うことを聞くのが当然だ」「一家の主である俺は、家事育児はする必要がない」といった、非常に自己中心的で偏った「マイルール」によって構築されています。

このルールは、彼ら自身をも縛る「白黒思考」に基づいており、この絶対的な正義から逸脱するものは「敵」と見なされます。

(Why )DARVOは「必死の自己防衛」である

この心理メカニズムが、DARVOとどう結びつくのでしょうか。

被害者が、加害者の「マイルール」から逸脱する言動(例えば、夫の浪費を単に指摘する、妻が夫の思い通りに動かない等)をとったとします。加害者は、その指摘を「自分への攻撃」として認識し、自尊心が崩壊するような強い不安と恐怖を感じます

この「耐え難い不安」を解消するため、そして「間違っている相手を正してやる」という歪んだ正義感から、彼らは即座にDARVOを発動します。

つまり、DARVOは、彼らが「自分は悪くない」と信じ込むため、そして「自らの脆弱な自尊心を守る」ために発動される、必死の(そして多くの場合、無意識的な)自己防衛機制なのです。

この理解は、今まさに苦しんでいるあなたにとって、非常に重要です。

なぜなら、DARVOが引き起こされる原因は、あなたの行動や言動(「言い方」や「タイミング」)にあるのではなく、ひとえに加害者自身の「内面的な脆弱性」にある、という動かぬ証拠だからです。

あなたがどれほど完璧に振る舞おうと、彼らの「マイルール」に抵触する限り、DARVOは発動されます。この事実こそが、あなたが「私が悪い」という罪悪感の呪縛から解放されるための、最初の鍵となります。

3.【カウンセラー対話 1】「夫が怖い」の正体 — 奪われたあなたの“ものさし”

女性カウンセラーと対話する相談者の女性。真剣な表情。

DARVOの渦中にいると、自分の感覚が麻痺し、何が現実なのか分からなくなってしまいます

ここで、ご相談者ユミさんと、松浦カウンセラーの対話を見てみましょう。あなたの「心の声」と重ねて読んでみてください。

相談者ユミさん

「夫と話すのが、もう怖いんです。昨日も、子どもの進学費用について、少し相談しようとしただけなんです。そしたら、『今、俺がどれだけ仕事で大変か分かってるのか!』と突然怒鳴られて…」

松浦カウンセラー

「(頷きながら)はい、そうだったんですね。」

相談者ユミさん

「『お前はいつもタイミングが悪い。お前のそういう無神経なところが、俺をイライラさせるんだ』って…。結局、費用の話はできず、私が『ごめんなさい、配慮が足りなかったわ』と謝って終わりました。…やっぱり、私が悪いんですよね? 私が夫を追い詰めたんでしょうか…?」

松浦カウンセラー

「ユミさん。今、『私が悪い』とご自分を責められましたね。…少しだけ、昨日の出来事を客観的に振り返ってみませんか。ユミさんは『子供の進学費用』という、ご家族にとって非常に大切な相談をしようとした。その行為は『責められるべきこと』だったでしょうか?」

相談者ユミさん

「いえ、でも、夫は『お前の言い方が俺を傷つけた』と…。私が無神経だったから…」

松浦カウンセラー

「ユミさん、それこそが、先ほどお話ししたDARVOの『攻撃(Attack)』と『被害者逆転(Reverse)』です。
ユミさんが持ち出した『進学費用』という本来の【議題A】を、ご主人は『ユミさんの言い方(人格)』という【議題B】に、見事にすり替えた。そして最終的に『自分(夫)が被害者だ』と主張し、ユミさんに罪悪感を抱かせることで、本来の【議題A】から逃れたのです。」

相談者ユミさん

すり替え…。あ…、本当だわ。」

松浦カウンセラー

「今、ユミさんがご自身で気づかれたことが、何より大切です。ユミさんの中には、『子供のために、進学費用の相談は必要だ』と感じた、ご自身の『ものさし(判断基準)』があったはずです。その感覚は、間違っていましたか?」

相談者ユミさん

「いえ…間違ってない、はずです。」

松浦カウンセラー

「ええ。その『はずです』という、少し自信を失ってしまった感覚…それこそが、長年のDARVOによって、あなたから奪われてしまったものです。まずは、その『間違ってないはず』という、ユミさん自身の“ものさし”を、もう一度信じることから始めましょう。」

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4. DARVOがあなたに与える深刻な影響 — ガスライティングと「私がおかしい」という病

 ガスライティングによって自分の感覚に自信が持てなくなり、鏡の前で悩む女性。

ユミさんのように、DARVOを受け続けると、被害者の心と体には深刻な影響が及びます。
DARVOは、被害者の現実認識を徐々に破壊していく「ガスライティング」の、最も強力な実行手段の一つです。

自己認識の歪み:
「私がおかしいのかもしれない」「私の記憶違いだろうか」「私が我慢すれば丸く収まる」と、自分の認識や記憶よりも、加害者の言葉を優先するようになります。

常に相手の機嫌を優先:
自分の意思や感情を押し殺し、「旦那(妻)が機嫌を損ねないかどうか」が、すべての行動基準になってしまいます。これは、健全な夫婦関係ではありえません。

心身の不調:
極度のストレスが継続することで、不安障害、うつ病、あるいはPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症することも珍しくありません。心療内科や精神科での診断を受けることは、あなたの状態を客観的に証明する「証拠」にもなります。

社会的孤立:
DARVOの最も恐ろしい影響は「孤立」です。加害者によって「自分が悪い」と刷り込まれた被害者は、「夫(妻)の愚痴を言うなんて、私が悪い妻(夫)だからだ」と考え、友人や家族にさえ、この苦しさを相談できなくなります。

その結果、被害者は加害者だけの閉鎖的な世界に閉じ込められ、加害者の「マイルール」が支配する世界から抜け出せなくなってしまうのです。

5. 【カウンセラー対話 2】「私がおかしいの?」— “外での顔”と“家での顔”の罠

カウンセラーの言葉にハッとして、何かに気づく相談者の女性。

相談者ユミさん

「おっしゃることは、頭では理解できるんです。でも…それでも、やっぱり『私がおかしいんじゃないか』って思ってしまう。夫は、外では本当に評判が良いんです。私の友人や親も『優しくて素敵な旦那さんね』って…。家でのことを話しても、きっと誰も信じてくれない。私だけが、夫を悪者に仕立て上げている、ひどい妻なんじゃないかって…」

松浦カウンセラー

「それこそが、DARVOやモラハラ加害者の、もう一つの典型的な特徴ですね。『外面(そとづら)が非常に良い』ということです。ユミさん、その『私がおかしいんじゃないか』という苦しい感覚は、あなたの弱さの証拠では決してありません。むしろ、あなたがどれほど深刻な心理的操作(ガスライティング)を受けてきたか、その“証拠”なのです。」

相談者ユミさん

「証拠、ですか…?」

松浦カウンセラー

「はい。加害者は、あなたのその『良心』や『優しさ』、そして『自分を省みる力』を巧みに利用し、あなたに罪悪感を植え付けます。彼が『外面が良い』のは、『他者からの評価』を非常に気にするから。そして、家の中であなただけを攻撃するのは、『あなたなら何を言っても許される』と、彼が支配できる対象としてあなたを見ているからです。」

松浦カウンセラー

「問いかけを変えてみましょう。『私がおかしいのでしょうか?』ではなく、『なぜ、夫は、外と家でこれほど違う顔を見せる必要があるのでしょうか?』と。そう問うてみると、何が見えてきますか?」

相談者ユミさん

「それは…彼が、家では『本当の自分』を隠していないから…? 私の前でだけ…」

松浦カウンセラー

「そう。そして、その『本当の自分』を受け止め、耐え、謝罪することを、彼があなたに一方的に強いている。それが、今ユミさんが苦しんでいる関係性の“歪み”の正体です。あなたは決して『おかしく』などありません。その歪みに、誰よりも敏感に気づいているだけなのです。」

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6. 離婚か、修復か。DARVOの渦中で考えるべき「あなたの人生」

離婚届を前に「離婚」か「修復」かで深く迷う女性のイメージ。

今、この記事を読んでおられるあなたは、「離婚」か「修復」かで、深く悩んでおられるかもしれません

修復の可能性はゼロではない。しかし…

まず、厳しい現実からお伝えします。関係修復の絶対条件は、「加害者が自らのDARVO(モラハラ)を“病識”または“深刻な問題”として認め、本気で変わるための専門的な治療やカウンセリングを受けること」です。

しかし、その「マイルール」の中で生きる彼らが、自ら「自分は間違っていた」と認めることは、そのアイデンティティの崩壊を意味するため、極めて困難です。多くの場合、彼らは「いつものやり方(DARVO)」で、あなたを支配し、コントロールできると信じています。

では、修復の可能性は全くのゼロなのでしょうか?

そうではありません。カウンセリングの現場でも、転機が訪れるケースは確かに存在します。

それは、被害者であるあなたが『もう、あなたの操作には屈しない』という強い意志を持ち、離婚や別居を『具体的かつ現実的なもの』として突きつけた時です。

加害者が「自分の力ではもうコントロールできない」「本当に見捨てられるかもしれない」という『崖っぷち』の危機感(それは彼ら自身の『見捨てられ不安』に起因することもあります)に直面して初めて、自らの問題と向き合い、変わる努力を『始める』人がいるのは事実です 。

ただし、ここで最大の注意が必要です。
その「変わった」という姿や、「反省している」という言葉は、あなたを引き戻すための、一時的な“演技”や、さらに巧妙になった“マニピュレーション(操作)”である可能性も否定できません。

本当の修復とは、加害者が時間をかけて自らの歪んだ認知と向き合い、具体的な行動変容を『継続』すること。
そして何より、被害者であるあなたの心の傷が癒やされ、相手を『許す』かどうかを、あなた自身の安全なペースで決められることです。

相手が努力を始めたからといって、あなたがすぐに許し、関係を元に戻す必要はまったくないのです。あなたの心の安全が最優先です。

「話し合い」と「夫婦カウンセリング」の罠

「穏やかなときに話し合ってみては」というアドバイスや、「夫婦カウンセリング」という選択肢もあります。

しかし、深刻なDARVO加害者にとって、「穏やかなとき」とは「自分のマイルールが守られているとき」に過ぎません。問題の核心(=マイルール自体)に触れた瞬間、激高する危険があります。

また、準備なく加害者を夫婦カウンセリングに連れて行っても、加害者がカウンセラーやセラピストの前で完璧な「被害者面」を演じ、カウンセラーやセラピストさえも味方につけ、あなたが「精神的に不安定な加害者」に仕立て上げられるリスクさえあります。

この話を聞くと、そんな事あるのだろうかと思われるでしょうし、夫婦カウンセラーの立場でも、加害者の味方になってしまうことがあるというのは、恐怖の対象になるかと思います。
実際、僕のカウンセリングに来られる方の中には、「他所で夫婦カウンセリングを受けていたけれど、カウンセラーは私が悪い、私の我慢が足りない、もっと相手に共感してくださいと言われた。そこで本当にそうなのかと思って松浦さんの所に相談に来た」というケースはとても多いものです。ただ、僕が知人のカウンセラーと話をしていると、(1)本当に加害者にカウンセラーが心理操作を受けているケース(2)加害者への恐怖からカウンセラー自身が加害者側につくことで、早く話を終えたいと考えているケース、に分かれます。特に経験の浅い夫婦カウンセラーの場合には、(2)の話をされることが多く、カウンセラー自身から「こういう方の場合には、どう対応すればよいのか?」と問われることも少なくありません。

ですので、夫婦カウンセラー選びも重要です。経験の浅いカウンセラーを避けるべきという話ではなく、事実を客観的にみることのできる方を選ぶ必要があります。

離婚を決意する(あるいは選択肢に入れる)前に準備すべきこと

もしあなたが、離婚や、一時的な避難(別居)を選択肢として考えるならば、準備が不可欠です。

1. 安全の確保(最優先)

モラハラやDVから逃れる対策は「別居」が最優先です。感情的になって家を飛び出すのではなく、実家、親戚・友人の家、あるいは公的なシェルターなど、安全な避難先を確保しておくことが重要です。また、闇雲な別居が相手を刺激して、より攻撃的になることもあります。それは、あなたが別居後にどんなアプローチをしてくるのかという不安感からくることもあるために、相手の不安感を取り除きながら別居する方法もあります。この辺りは、僕が書いた”別居と離婚・修復の進め方の真実「知らなきゃ損する別居の進め方の話”を参考にしてください。

2. 証拠の重要性

DARVOは「言った・言わない」の泥沼です。「お前が悪い」と人格を否定された発言、脅迫的な言葉、無視(サイレントトリートメント)などは、録音、日記、メール、LINEのスクリーンショット、第三者(心療内科の医師やカウンセラー、弁護士)への相談記録など、客観的な「証拠」として残すことが、離婚を進める際にあなたを守る最大の武器となります。

【チェックリスト】DARVO加害者の特徴と被害者の自己チェック

あなたの状況を客観的に把握するため、以下のリストでセルフチェックしてみてください。当てはまるものが多いほど、危険信号です。

 加害者の特徴 あなたの自己チェック
自分の非を絶対に認めない(否認)▢ 会話の後、いつも自分が悪かったと罪悪感を抱く
 ▢「お前が悪い」と人格を否定する(攻撃) ▢ 相手の機嫌を損ねないか、常に顔色を伺う
▢「俺(私)こそが傷ついた」と被害者面をする(逆転)▢「私が我慢すれば丸く収まる」と思っている
▢「~であるべき」という「マイルール」を強要する ▢ 自分の感覚や記憶、認識に自信が持てない
▢理由もなく無視(サイレントトリートメント)をする ▢ パートナーに対して「怖い」と恐怖を感じる
 ▢外面(世間体)は非常に良い ▢この苦しさを友人や家族に相談できずにいる

7. あなたの人生を取り戻すための第一歩 — 「相談」は“逃げ”ではない

DARVOの支配から抜け出し、光の差す窓辺に立つ女性の後ろ姿。

DARVOの渦中から抜け出すために、最も重要で、最も勇気がいる第一歩は、「外部に相談すること」です。

「相談」は、決して「逃げ」や「恥」ではありません。もう心が疲弊していて、相談をする気力すら失われているかもしれませんが、相談によって、その気力、心のエネルギーを回復させることもできます。

相談者の方からは、相談をすることで、事が動いていくのが怖い」という話を聞くことがあります。けれど、動かしていくかどうかは後でも構いません。まずはあなた自身の心の回復を目的にしてもよいのではないでしょうか?

加害者によって歪められたあなたの「ものさし」を修理し、客観的な現実認識を取り戻すための、最も重要で「能動的な治療」です。

  • 弁護士や法テラス(法律相談): 離婚の準備、慰謝料、証拠の集め方など、法的な守りを得るため。
  • 心療内科・精神科(医療機関): あなたの辛い症状(うつ、不安、不眠など)を治療し、「診断書」という客観的な証拠を得るため。
  • カウンセリング(心理相談・進め方の相談): 夫婦問題専門のカウンセラーや、DV・モラハラに詳しい臨床心理士に、まずは「あなた一人」で相談し、心の傷を癒やし、思考を整理するため。
  • DV相談ナビや配偶者暴力相談支援センター(公的機関): 緊急の避難や、公的な支援につなぐため。

あなたが今、ご自身の状況を「何かおかしい」「私が悪いのだろうか」と悩み、その答えを探す中で、この記事にたどり着きました。その行動こそ、あなたの心が「私はこのままではいけない」と発している、力強いSOSの証拠であり、あなたの心の叫びだと僕は考えています。

あなたの人生の主導権は、の「マイルール」を持つ相手にあるのではなく、あなた自身にあります。まずは、他ならぬあなた自身の「心の声」と「あなたの感覚」を取り戻すことを、最優先してください。この記事が、その第一歩となれば幸いです。

【結論】DARVOの支配から抜け出す鍵は、あなたの「感覚」を取り戻すこと

長年DARVOにさらされると、「私がおかしいのかもしれない」と自分の感覚に自信が持たなくなってしまいます。しかし、あなたが感じた「痛み」や「違和感」は、決して間違いではありません。

あなたが今、できること:

  1. 「あなたのせいではない」と知る: DARVOは、あなたの問題ではなく、加害者の内面的な脆弱性から来る防衛反応です。
  2. 小さな証拠を集める: 録音や日記は、あなたの「記憶違いではない」ことを証明する客観的な支えとなります。
  3. 外部に「一人で」相談する: 弁護士や専門カウンセラー、公的機関は、あなたの歪められた「ものさし」を修理する手助けとなります。

修復の道はゼロではありませんが、それは加害者の本質的な変化が前提です。何よりもまず、あなた自身の心の安全と人生の主導権を取り戻すことを最優先してください。

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よくある質問(FAQ)

Q1: パートナーがDARVO(ダーヴォ)かもしれません。これはモラハラと同じですか?

A1:はい、DARVOはモラハラ(モラルハラスメント)で使われる、非常に強力な心理操作の「手法」の一つです。DARVOは、加害者が自分の責任を逃れるために「否認」し、あなたを「攻撃」し、最終的に「被害者面」をすることで、あなたに罪悪感を植え付けます。
もしあなたが「私のせいだ」と思い込まされているなら、それは相手の巧妙な責任転嫁の罠かもしれません。あなたが「おかしい」と感じているなら、その感覚は正しい可能性が非常に高いです。

Q2:夫(妻)は、外では「良い人」で通っています。家でのことを誰にも信じてもらえないのが辛いです。

A2:それは、あなたが感じている以上に、非常に苦しい状況ですね。
加害者が「外面が良い」のは、モラハラの特徴の一つです。「他者からの評価」を非常に気にする一方で、家の中では「何を言っても許される」とあなたを支配の対象として見ているのです。
誰も信じてくれないと感じ、社会的に孤立してしまうのは、DARVOの典型的な影響です。まずは、あなたの話を真剣に聞いてくれる専門家(カウンセラーや弁護士)に相談し、あなたの「現実」を理解してくれる味方を作ることが大切です。

Q3: DARVO(否認・攻撃・被害者逆転)をされた時、どう言い返せばいいですか?

A3:結論から言うと、その場で「言い返す」のは非常に危険であり、逆効果になることがほとんどです。なぜなら、DARVO加害者は「脆弱な自己愛」を守るために必死で防衛しており、あなたが正論で反論すればするほど、相手は「攻撃された」と感じ、さらに激しくあなたを攻撃(Attack)してくるからです。「言い返す(=相手を変えようとする)」ことよりも、まずは「あなたの安全を確保すること」が最優先です。具体的には、議論をせずその場を離れる、距離を置く(別居)、そして何が起きたかを冷静に記録(証拠化)することです。戦う場所は、相手の土俵(家の中)ではありません。

Q4:相手が変わる可能性は、本当にゼロなのでしょうか?修復したい気持ちも少しあります。

A4:相手が変わる可能性は「ゼロではない」ですが、極めて稀であり、非常に困難な道です。
加害者が本気で変わる努力を始めるのは、多くの場合、あなたが弁護士を立てる、離婚届を突きつける、別居するなど、「もうあなたの支配は通用しない」という現実を具体的に突きつけられ、崖っぷちに立った時だけです。
しかし、その「変わった」という姿さえ、あなたを引き戻すための一時的な“演技”である可能性もあります。修復を考える場合でも、まずはあなた自身の心の安全と回復が最優先です。相手の「反省の言葉」を鵜呑みにせず、専門家を交えて冷静に判断することが不可欠です。

参考文献

  1. Freyd, J. J. (1997). “Violations of power, adaptive blindness, and betrayal trauma theory.” Feminism & Psychology, 7(1), 22-2.
  2. Harsey, S. (2017). “What is DARVO?” University of Oregon. (Retrieved from:((https://dynamic.uoregon.edu/jjf/defineDARVO.html)))
  3. DeMatteo, D., & Festinger, D. S. (2020). “Gaslighting and DARVO: The Power of Deny, Attack, and Reverse Victim and Offender.” Psychology, Public Policy, and Law, 26(2), 22–29.
  4. Gainsburg, J. (2021). “DARVO: The Anatomy of a Backlash.” Journal of Aggression, Maltreatment & Trauma, 0(1), 1-17.
  5. Stark, C. (2019). “Gaslighting, Abusive Control, and the Coercive Control Act.” Journal of Family Violence, , 81–88.

※引用は、本文中の修復の可能性に関するカウンセリングの現場の知見を反映したものであり、特定の海外論文を示すものではありません。

【免責事項(必ずお読みください)】

本記事に掲載されている情報は、夫婦間の問題やモラルハラスメントに関する一般的な情報や当方のカウンセラーとしての経験則の提供を目的としたものであり、特定の個人の状況に対する医学的、心理学的、あるいは法的なアドバイスを提供するものではありません。記事の内容は、専門家の知見、経験値、参考文献に基づき、可能な限り正確性を期しておりますが、その完全性や最新性を保証するものではありません。ご自身の心身の不調、具体的な法律問題、あるいは安全に関する深刻な懸念については、必ず医師、臨床心理士、弁護士などの資格を持つ専門家にご相談ください。本記事の情報を利用したことによって生じたいかなる損害についても、当サイトおよび筆者は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。情報の利用は、ご自身の判断と責任において行っていただくようお願いいたします。

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