産後クライシスで夫に離婚を切り出された…離婚したくないあなたが最初に読む「心を守る」

赤ちゃんを抱いた母親が温かい光に包まれているイラスト。「産後クライシスで夫に離婚を切り出された…離婚したくないあなたが最初に読む『心を守る』記事」というタイトル文字。
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夫から「離婚したい」と言われた。
あるいは直接的ではなくても「離婚を迫られる/離婚請求をされた」と感じるような、冷たい言い方をされた。しかも、赤ちゃんがまだ小さいこのタイミングで。

体は回復途中、睡眠は細切れ、気持ちの余裕なんて残っていないわけです。そんな状態で“人生の根っこ”を揺さぶられたら、心が壊れそうになるのは当然です。しかも、これから家族になっていくというタイミングですから。

そして多くの方が、同時に2つの相反する気持ちを抱えます。

「離婚はしたくない。修復したい」
「なんで今、私を置いていくの?勝手すぎる」

この怒りは、あなたが冷たいからでも未熟だからでもなくて――「今この時期に支えが途切れたら、私と子どもの生活が立ち行かなくなる」という、心の必死の防衛反応(SOS)でもあります。また同時に「こんな大変な時期に、よくそんなに無責任な事が言えるね」という気持ちにもなるかと思います。

そういう、防衛反応と怒りが混在する気持ちを持ちながらも、一方で多くの方が、その「怒りを止められない自分」をいちばん責めてしまいます。けれど、そこまで含めて、今のあなたの反応は生き物として自然なことですから安心してください。

この記事は、すぐにハウツーを押しつけません。
今のあなたは、正論やテクニックを“実行できる状態”じゃないかもしれないからです。
だからまずは、あなたの内側で起きていることを整理して、「あなたはおかしくない」を取り戻すところから始めていきますね。

サマリー:この記事でわかること(まずはここだけ)

産後クライシスからの回復3ステップ。「自爆しない」「仕組みを知る」「考えられる状態へ」の流れを示す図解。
  • 産後クライシスで「怒り・不安・罪悪感」が同時に出るのは、脳と体の仕組み上、自然な反応だとわかります。
  • いいま最優先は「自爆しない」こと(追いLINE/詰問/離婚届の署名など、戻しにくい行動をいったん保留)。
  • 夫の心理・実家介入・支援の使い方を整理して、“考えられる状態”を取り戻します。

結論(いま最優先で守ること)

今日だけ守ればいい「やらないこと」リスト。追いLINE、署名、孤立にバツ印がついているイラスト。
  • 離婚を切り出された/離婚を迫られた(離婚請求をされた)としても、今日明日で人生が確定するわけではありません。まずは呼吸を戻して大丈夫です。
  • 日本の法律では、片方の言い分だけで即座に離婚が成立するケースは稀です。焦って動かなくてOKです。
  • いま一番大切なのは、正しい対応より先に、あなたが“自爆しない”こと(追いLINE・詰問・離婚届への署名などを保留)。
  • パニックのまま動くほど、本来望んでいない結果(関係悪化)を引き寄せやすいので、まず「落ち着く順番」を守ってください。
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産後クライシスとは(“あなたのせい”じゃない根拠を、短く)

産後に夫婦の愛情曲線が急激に下がるグラフ。妊娠期から0歳児期にかけて大きく低下しており、その原因として育児や家事の負荷が描かれている。

「産後クライシス」とは、出産後に夫婦の関係が急速に冷え込む状態のことです。特に、妻から夫への愛情がガクンと下がる傾向が示されています。

「私が我慢すればよかったのかな」と自分を責める方がいますが、これは個人の性格の問題ではありませんよ。
ベネッセ教育総合研究所の継続調査では、「配偶者といると本当に愛していると実感する」と答えた妻の割合が、妊娠期74.3%から、子ども0歳で45.5%、1歳36.8%、2歳34.0%と大きく下がることが示されています。

あなたの苦しさは人格の欠陥ではなく、産後という時期特有の負荷が引き起こす“揺れ”の中にあるということです。

なぜ、ここまで愛情が下がるのか?

産後という時期は、ホルモンバランスの激変と育児という重労働を同時に強います。
生き物として「子どもを守る」ことが最優先モードに切り替わるため、夫への配慮や恋愛感情はどうしても後回しになりやすいのです。つまり、あなたの苦しさは「性格のせい」ではなく、時期の構造のせいでもあります。

松浦カウンセラー

現場では、こんな声もとても多いです。「夫がそばにいるだけで、なぜか体がこわばってしまう。触れられるのもつらい。嫌いになったわけじゃないのに、拒む反応が出る」。
これは“愛が消えた”というより、産後の回復期に起きやすい防衛反応(過敏さ)の一つです。だからこそ、あなたを責める材料にしなくて大丈夫です。
産後は睡眠不足や疲労で、心だけでなく体にも余裕がなくなりがちです。その結果、いちばん近い存在(夫)に対して、距離を取りたくなる反応が出ることがあります。それは冷たさではなく、いまのあなたの心と体が「これ以上は無理」と教えてくれているサインかもしれません。

60秒セルフチェック(いまの自分を責めないために)

産後クライシスの3つの反応タイプ別対処法。パニック型は判断保留、怒り爆発型は追わずに吐き出す、凍結型は休息をとることを推奨するイラスト図解。

「正しく動く」より先に、いまの自分がどの状態かだけ分かればOKです。自分の反応を責める必要はありません。

  • パニック型
    涙が止まらない/過呼吸っぽい/眠れない
    → 今日の最優先:安全確保+睡眠+「判断を保留」
  • 怒り爆発型
    責めたくて止まらない/LINEが止まらない/当たってしまう
    → 今日の最優先:追わない・詰めない+第三者に吐き出す
  • 凍結型
    頭が回らない/動けない/ぼーっとする
    → 今日の最優先:食べる・休む・支援を入れる

どれでも大丈夫です。いまのあなたは、まず「生き延びて整える」段階にいます。ここを飛ばして無理に動こうとすると、心が折れてしまいます。

産後に「自分が自分じゃない」と感じるのは、自然な反応

「分かってるのに、できない」「頭では理解してるのに、キツい態度に出てしまう」
このコントロールできない苦しさこそ、産後クライシスの本体です。まず理由を知っておきましょう。

睡眠不足は、心より先に“脳”を削る

睡眠不足とマルチタスクにより、脳のバッテリー残量が低下している女性のイラスト。人格の問題ではなく脳のエネルギー不足であることを表現。

眠れていないだけで、人は“優しさ”を出せなくなります。
これは性格が悪いからではなく、脳のエネルギー不足に近い状態だからです。

人の脳には、ざっくり言うと「理性のブレーキ(前頭葉)」と「感情のアクセル(扁桃体)」があります。産後の細切れ睡眠は、ブレーキ役の前頭葉を弱らせやすく、ブレーキが壊れた車みたいに、怒りや涙が暴走しやすくなります。だから「分かってるのに止まらない」が起きます。

まずは“正しい話し合い”より、あなたが少しでも休める仕組みを作ることが、結果的に夫婦関係を守ります。

松浦カウンセラー

カウンセリングでは、こんな言葉もよく聞きます。
「◯◯さんの旦那さんは優しいから、産後でも元気いっぱいで…。それに比べて、うちの夫は…」
でも、“他の家庭”は外から見える一面だけで、内側の負荷までは分かりません。比べ始めるほど、あなたは孤独になって、自分と夫を責めやすくなります
いま必要なのは比較ではなく、「この家の現実」に合う支え方を探していくことです。

産後は「回復+育児+生活+人間関係」を同時に背負う

体は回復途中。赤ちゃんは待ってくれない。家事も手続きも続く。
ここに離婚の話が乗ったら、心が限界を超えやすいのは当然です。
「私が弱いから苦しい」のではなく、同時タスクが多すぎる時期なんです。

「産後うつ」や強い不安は、誰にでも起こりうる

日本のメタ分析では、女性の周産期うつ病の有病割合は高く、産後1か月時点で14.3%と報告されています。
さらに男性の周産期うつ病も8.2〜13.2%と報告されています。

ここで大事なのは、「診断がつくかどうか」ではありません。いまのあなたが限界に近いことを、決して軽く扱わないことです。

受診・相談の目安(短いチェック)

医療や相談機関へつながるイメージイラスト。救急箱や電話のアイコンで、支援を求めることは安全であることを表現。

次のうち複数が当てはまるなら、夫婦の話より先に“支援(医療や相談)”を優先していいです。
あなたと赤ちゃんの命と心を守るためです。

  • 2週間以上、ほとんど眠れない/食べられない
  • 何度も過呼吸のようになる、涙が止まらない
  • 「消えてしまいたい」が頭をよぎる
  • 赤ちゃんに強い怒りが向きそうで怖い

「まもろうよ こころ」では、電話やSNSなど相談窓口が案内されています。
※医療・心理支援につながるのは“早いほど安全”です。

【夫に見せる】超短文カード(2行)+1分カード(責めない版)

言葉が出てこないときは、そのままコピペしてLINEなどで送って大丈夫です。

2行版(いま送れる最短)
産後の回復と睡眠不足で、いま心に余裕がありません。
離婚の結論を急がされるほどパニックになるので、まず落ち着く時間をください。


1分版(もう少し丁寧に)
いまの私は、産後の回復途中で睡眠も細切れで、脳が休めていません。
産後は負荷が重なって、イライラや不安が強くなりやすい時期だと言われています。
だから「優しくしたいのにできない」「余裕がない」が起きやすい。性格というより、体と脳の限界です。
もし可能なら、いまは“正しさの勝負”より、家の中の火消し(睡眠と負担の軽減)を一緒にしてほしいです。
離婚の結論を急がされるほど私はパニックになりやすいので、まず落ち着く時間をください。

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夫はなぜこのタイミングで離婚を言うのか(“責任放棄”に見える言葉の裏側)

夫の離婚請求の裏にある心理を表した氷山の図解。表面上の言葉は攻撃的だが、水面下には寂しさやキャパオーバー、逃避願望が隠れている。

夫の言葉が身勝手に見えて腹が立つのは当然です。
ここでは夫を擁護するためではなく、産後に起きがちなすれ違いの型を言葉にして、あなたがこれ以上傷つかないための見取り図を作ります。

「俺の優先順位が下がった」と感じて拗ねる(赤ちゃんに張り合う心)

ここ、腹が立って当然です。「あなたは父親でしょ」「もっと父親としての自覚を持って」と言いたくなるのが普通です。
ただ、夫側には「妻を赤ちゃんに取られた」感覚が出ることがあります。
本人もそれを情けないと分かっていて、素直に言えずに不機嫌や距離として出るわけです。その結果、「察してくれ」という態度になることもあります。

だから、あなたが悪いのではなく、夫が父親としての自律に追いつけていないだけのケースでもあります。

夫側のキャパオーバー(男性の周産期うつの可能性)

「夫が冷たい=性格が悪い」だけで片づけられないケースもあります。
男性の周産期うつ病の有病割合は8.2〜13.2%と報告されています。
冷たい言葉が、攻撃というより「これ以上、責任を負えない」という逃避反応(心のシャッター)になっている場合もあります。

※もちろん、だからといって妻を放置していい理由にはなりません。ただ、「私が全部悪いからだ」とあなたが自分を責めすぎて潰れないために、この視点は持っておいてください。

優しくしてくれる女性に目がいく/比較が始まる(現実として起きること)

綺麗事ではなく、現場で起きることです。
産後の妻が余裕を失い、夫も寂しさや不満を抱えたとき、「優しくしてくれる人」が現れると、夫は短絡的に“救い”として寄ってしまうことがあります。これはあなたの価値が低いからではなく、夫側の未熟さや逃避が重なった結果です。

簡単にいえば、夫の心がガス欠を起こしているために、心のエネルギー(ガソリン)を供給してくれる方に寄ってしまっているわけです。

ただし「許すかどうか」は別問題です。ここでは、あなたが自分を責めすぎないための材料として、現実を知っておいてください。

怒りが止まらないのは当然。でも「怒りであなたが燃え尽きない」ことが大事

怒りは、あなたが悪者だという証拠ではありません。むしろ、怒りはあなたを守ろうとする正常な反応です。
ただ、怒りがあなた自身を焼き尽くしてしまうと、いちばん守りたいもの(あなたの心・赤ちゃん・生活)が先に壊れてしまいます。時として、その怒りの矛先が赤ちゃんに及んでしまい、それを止められない自分を責めてしまい、余計に心が削れていく話は私自身もよく聞きます。
心が削れ過ぎてしまう前に、公的機関や医療機関でも相談をしてくださいね。

怒りの正体は「大切にされなかった痛み」と「助けが足りない絶望」

怒りは、あなたの性格の問題ではなく最後の防衛反応です。
「助けてほしい」「大事にしてほしい」「ここで見捨てないで」が叶わないとき、人は怒りとして噴き出します。
怒りを消す必要はありません。
ただ、怒りの下にある本音を一つだけ言葉にできると、あなたの心が少し守られます。

生の声(爆発→罪悪感→また爆発のループ)

「怒りを抑えよう」と意識して接しているのに、夫を目の前にすると嫌なところばかりが目についてしまう。
結局、きつい言葉をぶつけてしまい、夫は悲しそうに外出する。
そのあと強い後悔が来て、『またやってしまった…』と自分が嫌になる。
でも、次も同じことを繰り返してしまう――。

あなたが冷たい人間だからではありません。
産後の心と体は限界の中で必死に踏ん張っていて、夫を目の前にした瞬間に“危険センサー”が過敏に反応してしまうことがあります。
だからこそ、抑えようとするほど反動が強く出る日もあります。
「またやった…」と苦しくなるのは、あなたが家庭を大事にしたい証拠です。自分を責めるより先に、まずはあなたの心を守ってあげてください。

怒りを「翻訳」するだけで、少しだけ自分を守れる

怒りの言葉を本音に翻訳する図解。「ふざけるな」は「助けて」、「勝手すぎる」は「見捨てないで」というSOSのサインであることを示している。

怒りが湧いたとき、心の中で一瞬だけこう翻訳してみてください。

  • 「ふざけるな!」→「私は今、助けが必要」
  • 「勝手すぎる…」→「私は見捨てられるのが怖い」
  • 「全部私に押し付けて!」→「私は限界。分担が必要」

完璧にできなくてOKです。
まずは“自分を守る言葉”を、少しずつ増やすだけでいいんです。ご自身でも自分できる翻訳を見つけたら、メモをしておいてくださいね。

「0歳で離婚?」離婚するか迷うのが地獄みたいに苦しいのは、あなたが“守るモード”だから

赤ちゃんがまだ0歳。あなたの体も心も回復途中。その時期に離婚の話が出たら、世界が崩れる感覚になるのは当然です。

「この子を守らなきゃ」が、あなたをひとりにする

守ろうとする気持ちが強い人ほど、つらいときほど「自分でなんとかしなきゃ」と抱え込んでしまいます。
でも本当に守るには、あなたが倒れないことが条件です。
「助けて」を悪だと思わないでください。それは、家族を守るための“正しい選択”です。

判断が止まるのは普通。「結論を急がない」が正解の日もある

産後は判断力が落ちます。感情も大きく揺れます。だから「決められない」は欠陥ではなく自然な反応です。
今日のあなたに必要なのは、“正しい答え”より、安全な順番です。

焦って結論を出そうとせず、まず心身を立て直す――それで大丈夫です。
いま決めきれないのは逃げではなく、「判断に向かない時期に、無理に結論を出さない」という守りです。

【重要】ハウツーより先に「整える」—離婚回避・修復のための最優先順位

この状態で完璧な対応をしようとすると、心が先に折れてしまいます。
離婚回避や修復のために一番大切なのは、あなたが自爆しないことです。

今日だけ守ればいい「3つのやらないこと」

いまは「何をすべきか」より、「何をしてはいけないか」を知るほうが楽かもしれません。

  1. 焦って結論を出さない(署名・捺印・約束を急がない)
  2. 相手を追いかけすぎない(LINE連打・詰問・長時間の説得をしない)
  3. ひとりで抱え込まない(信頼できる第三者の力を借りる)

追いかければ追いかけるほど、相手の「逃げたい」という気持ちが強まる局面があります(北風と太陽の北風になります)。
いまは「私は離婚したくない」と短く伝えたら、議論の泥沼に入らない。
それが結果的に“回避”につながることもあります。

しんどさが限界のときは、夫婦問題より先に「心と命」

もし暴言・威圧・身体的暴力があるなら、まずあなた自身の安全を最優先に。「DV相談ナビ(#8008)」は、全国共通番号で最寄りの相談機関につながる仕組みとして案内されています。

「消えてしまいたい」「限界かもしれない」という気持ちがあるなら、厚労省の「まもろうよ こころ」で相談窓口が案内されています。
あなたと赤ちゃんの命と心を守るために、使えるものは何でも使って大丈夫です。

産後ケアや地域の支援を“使っていい”

「相談することで、自分が母親として失格だと思ってしまう」と話される方がいます。
でも、相談は“弱さ”ではなく、状況を整えるための手段です。あなたが倒れないことが、いちばんの安全対策になります。

産後ケア事業は、市町村が出産後1年以内の母子に対して心身のケアや育児サポート等を行う事業として整理されています。
あなたが少し休めるだけで、理性のブレーキが戻り、夫婦関係の地盤が変わることがあります。

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実家・義実家が絡むと、こじれやすい(悪い人探しではなく“構造”の話)

夫婦と実家の適切な境界線を示す図解。実家からの介入に対し、夫婦の決定権を守るための線引きが描かれている。

産後は、実家の助けが命綱になることもあります。
一方で、親が入ると“夫婦の問題”が“家同士の問題”に変わりやすいのも事実です。ここは誰かを責める章ではなく、線引きを取り戻すための章です。

親の善意が「戦闘モード」を連れてくる

親は「娘と孫を守りたい」と思うほど、夫に対して言葉が強くなりがちです。そして夫は「自分の居場所がない」「寄ってたかって責められている」と感じ、さらに逃げたくなるわけです。善意が重なるほど関係が壊れやすいのが、産後の怖いところです。

松浦カウンセラー

現場では、こういう形でこじれることもよくあります。 妻の実家のサポートとして、義母(妻の母)が週に何度も家に来てくれる。妻にとっては本当に助かる一方で、夫は「家の中に自分の居場所がない」と感じやすくなります。 さらに義母から「そういうやり方じゃだめ」「あなたも父親なんだから」と“指導”が続くと、夫は反発か萎縮を起こし、家にいたくなくなることもあります。
夫が「お義母さん、来すぎじゃない?」と言うと、妻は「助けてくれてるんだから感謝して」と返し、夫婦の溝が深まる――。 ここで大事なのは、誰かを悪者にすることではなく、支援が“介入”に変わったときに境界線が消えるという構造に気づくことです。 だからこそ、支援は受けながらも、「夫婦で決めること」と「親にお願いすること」を分けて、親は“手伝い役”に戻ってもらうのが大切です。

生の声(実家での愚痴が“介入”に変わる事故)

実家に帰って、夫の悪口(というより愚痴)を言ってしまいます。私は「聞いてほしい」だけのつもりでも、両親は本気で受け取ってしまい、夫に苦言を呈してしまう。
すると夫は「妻が自分の悪口を言った」と受け取り、夫婦の距離が一気に開いてしまいます。
両親もヒートアップして「もっとこうするべき」「娘と孫に愛情を向けなさい」と言ってしまい、夫は追い詰められる。
私はそんなつもりではなかったのに――結果的に、私が状況を悪化させたように感じて、信頼関係が崩れていく気がします。

あなたは、悪意で夫を貶めたわけではないわけですよね。産後のあなたは、ただ「安全な場所で吐き出したかった」だけで、その気持ちは自然なものです。そして両親も、「娘を守りたい」という本能で“戦闘モード”に入りやすいものです。
善意が重なるほど、伝言ゲームは事故になりやすいんです。
大事なのは「愚痴を言うな」ではなく、愚痴が“介入”に変わらない線引きを、あとからでも取り戻していくことです。
(例:「聞いてくれるだけで助かる。夫に直接言うのだけはやめてほしい」)

義実家が絡むと「夫婦の敵」が増える形になる

夫が義母に愚痴を漏らし、義母が焚きつける。あるいは妻が実家に頼り、夫が疎外感を深める――。

親は味方にも支えにもなりますが、夫婦の間に“第三勢力”が常駐すると、修復は難しくなります。
だからこそ、親の支援は受けつつ、最終的な判断と会話は夫婦に戻す。これが線引きの基本です。

1分でわかる「法的な安心材料」──“今日明日で終わり”にはなりにくい

離婚が成立するまでの法的な流れの図解。協議、調停、裁判という段階があり、相手の一存ですぐに離婚が成立するわけではないことを示すフローチャート。

ここは深掘りしません。いま必要なのは、安心できる最低限の知識だけでOKです。

合意できない/話し合いができない場合は「調停」を利用できる

裁判所は、離婚について当事者間の話し合いがまとまらない場合や話し合いができない場合に、家庭裁判所の調停手続を利用できる旨を案内しています。けれど、いきなり申立てをしてしまえば、より夫婦の関係は勝負の話になっていきます。調停は、相手の同意なく申立てることのできるものではありますが、状況に応じて、相手にも承諾をとっておいた方がよいこともありますよ。

協議離婚の離婚届には「成年の証人2名の署名」(押印は任意)

法務省は、協議離婚の場合に離婚届書へ成年の証人2名の署名が必要で、押印は任意である旨を案内しています。
※ 調停離婚の場合には、証人欄への記載は不要です。

「勝手に出されるかも」が怖い人へ:不受理申出という制度

なりすまし等による虚偽の届出を防止する方法の一つとして「不受理申出制度」が案内されています。
自治体の案内では、不受理申出は原則として取下げまで効力が続くこと、そして不受理申出をしていても、調停・審判・判決など裁判で成立した場合の届出は受理される旨が明記されています。

だから、相手が急かしても「今日明日で確定」とは限りません。まずは「焦って決めない」ための時間を確保して大丈夫です。離婚を急かされると、離婚をしなければならないというように思い込んでしまうかもしれません。けれど、裁判でないかぎり、離婚を強制することはできませんし、そもそも裁判をしたい方は少ないものですから、焦らずに「離婚は簡単ではない。自動で離婚になるものではない。」という気持ちでいてください。その方が落ち着いて考えることができますよ。

※個別の見通しや方針は事情により変わります。必要に応じて弁護士等へ相談してください

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よくある質問(FAQ)—「いまのあなた」に寄り添った答え

Q1:夫に離婚を切り出されました(離婚を迫られる/離婚請求された気がします)。今、何からすればいい?

A:まずは「正しい対応」より先に、あなたが“考えられる状態”を取り戻すことが最優先です。睡眠・食事・支援を入れ、追いLINEや詰問、離婚届への署名など取り返しのつきにくい行動は保留で大丈夫です。次に「私は離婚したくない。今は大事な判断ができないので時間がほしい」と短く伝え、議論に入らないのが安全です。

Q2:「離婚したくない」と言うと逆効果ですか?夫が話し合いを拒否するときはどうしたら?

A:長い説得や感情的な引き止めは、相手の逃避を強めることがあります。でも「離婚は望んでいない」という意思表示自体は大切で、短く言い切るだけで十分です。話し合いを拒否される時期は、結論の勝負をせず、子どもや生活の最低限の連絡だけに絞って“枠”を作る方が関係を守りやすいです。

Q3:怒りが止まらず夫に当たってしまいます。私はおかしいのでしょうか?

A:おかしくありません。産後は睡眠不足と負荷の重なりで、脳が“危険を探すモード”になり、怒りが出やすい時期です。大切なのは「怒りをゼロにする」より、「怒りであなたが燃え尽きない」ことです。自分を責める前に、まず休息と支援を増やして、反応が落ち着く土台を作ってください。

Q4:夫の嫌なところばかり目につきます。もう修復は無理ですか?

A:産後は余裕がなくなるほど、相手の“気になる点”が拡大して見えやすいです。それは愛情が消えたというより、あなたの心身が限界に近いサインかもしれません。いまは結論を急がず、休める仕組みを先に整えることで、見え方が変わってくる人もいます。

Q5:産後クライシスはいつまで続きますか?

A:「いつまで」と期限を断言できるものではありません。ただ、産後の一定期間は夫婦関係が揺れやすいことが知られています。大事なのは期間より、支援が入って“回復の余白”ができるかどうかです。助けが増えるほど、落ち着くスピードが上がることは多いです。

Q6:夫が冷たい/逃げるのはなぜ?「俺の優先順位が下がった」と拗ねるのは普通?

A:産後は、夫側にも「妻を赤ちゃんに取られた感じ」や孤独感が出て、拗ね・不機嫌・距離で表現してしまうことがあります。父親としての自律が追いつかず、うまく言葉にできないほど“察してほしい態度”になりやすいのもこの時期の特徴です。あなたのせいでそうなったと抱え込まず、「すれ違いの型」が起きていると見立てるだけでも自責が軽くなることがあります。

Q7:男性の産後うつ(周産期うつ)の可能性はありますか?

A:可能性としてはあります。夫の冷たさが性格の問題だけでなく、キャパオーバーや抑うつ状態の“逃避反応”として出ているケースもあります。だからといって、あなたが耐える義務が生まれるわけではありません。必要なら第三者の力を入れて、あなたの心身が壊れない線を守ってください。

Q8:夫が家に帰ってこない/連絡が減った。追いLINEしたくてたまりません…

A:その気持ちは自然です。見捨てられる恐怖が強いほど、確かめたくなって当然です。ただ、追えば追うほど相手が逃げる局面もあるので、今は連絡の目的を「子ども・生活の要件」に絞り、短く淡々とした連絡に切り替えるのが安全です。あなたの不安は、信頼できる第三者に預ける回路を作った方が回復が早いです。

Q9:別居を切り出されました。これは終わりということですか?

A:終わりと決める必要はありません。ただ、別居は夫婦関係の形を変えやすい出来事なので、軽く扱わない方がいいです。感情的に追いかけるより、子どものこと、連絡の頻度、生活費のことなど“枠”を整えていく方が、消耗を減らしやすいです。必要なら早めに専門家へ相談し、見通しを整理してください。
別居は“落ち着く”面もある一方で、進め方を間違えると固定化しやすいので、地図だけ先に確認しておくのも手です。

Q10:別居になったら生活費はどうなりますか?「婚姻費用」って何ですか?

A:一般論として、夫婦には生活を支え合う義務があり、別居中でも生活費(婚姻費用)を分担する考え方があります。金額や進め方は事情で大きく変わるので、「相手が出すと言わないから終わり」と思い込まず、専門家に相談して手続きを含めて整理するのが安全です。いまのあなたは情報を抱えきれない時期なので、要点だけ拾って“負担を減らす”方向で動いてください。

Q11:離婚届にサインしてと言われました。どうしたらいいですか?

A:焦って署名しないでください。いまは体調や精神状態の面でも、大きな判断に向かない時期です。「今は判断できないので保留にしたい」と伝えて大丈夫です。どうしても不安が強い場合は、不受理申出などの制度も含めて、手続の見通しを専門家や役所で確認してください(個別事情で対応が変わります)。

Q12:夫が「裁判で離婚できるから早く決めろ」と言います。すぐ離婚が確定するのですか?

A:必ずしも「今日明日で確定」するわけではありません。話し合いができない場合は家庭裁判所の手続を利用して進むことになりますが、そこにも時間がかかります。相手の言葉に飲まれて焦るほど、あなたの心が崩れてしまいやすいので、まず落ち着く時間を確保してください。個別の見通しは事情で変わるため、必要に応じて弁護士等に相談して整理しましょう。

Q13:実家や義実家が介入して、余計にこじれてしまいました。どう線引きすればいい?

A:産後は「守りたい善意」が強いほど、親が戦闘モードになりやすく、夫は追い詰められて逃げやすくなります。大事なのは親を悪者にすることではなく、夫婦の問題を“家同士の問題”にしない線引きです。「聞いてくれるだけで助かる。夫に直接言わないでほしい」「決めるのは夫婦でやりたい」と、短い言葉で境界線を作り直してください。愚痴を吐く場所は、親以外にも用意できると事故が減ります。

Q14:限界です。どこに相談すればいいですか?緊急度の目安も知りたいです。

A:暴言や威圧、身体的暴力があるなら、まず安全を最優先にして公的窓口へつながってください。眠れない・食べられない状態が続く、過呼吸のようになる、「消えてしまいたい」が頭をよぎるなどがあるなら、夫婦の話より先に医療や相談機関を頼っていいサインです。市区町村の産後ケアや子育て支援、心の相談窓口など、使えるものは遠慮なく使ってください。

Q15:修復できますか?「気持ちが冷めた」は戻りますか?

A:戻る人もいます。ただし「説得」で戻るより、あなたの心身が回復し、家の中の負荷が下がって“安全と余裕”が戻ったときに、関係が再起動するケースが多いです。いまは愛情の結論を急ぐより、整える順番を守ることが最短ルートになります。修復したい気持ちがあるなら、あなたが一人で背負わず、第三者の支援を入れて土台から立て直していきましょう。

まとめ:あなたの怒りは、家族を守ろうとしてきた証拠

産後クライシスの渦中、夫から離婚を切り出される(離婚を迫られる/離婚請求をされる)と、心の中は「怒り」「悲しみ」「不安」「罪悪感」が嵐のように駆け巡ります。
「離婚したくない、修復したい」と願いながら、同時に夫に腹が立つのは矛盾ではありません。
あなたがそれだけ必死に、傷つきながらも家庭を守っている証拠です。

いまは、正解の言い方や完璧な対応を目指さなくていい。
まずは、あなたが息をして、眠って、“考えられる状態”を取り戻すこと。
それが結果として、いちばんの「離婚回避」への一歩になります。

参考にした公的・一次情報

  • ベネッセ教育総合研究所(産後クライシス関連調査)
  • 裁判所(離婚:調停手続の案内)
  • 法務省(離婚届:証人2名署名/押印任意)
  • 法務省(不受理申出制度)
  • 自治体案内(不受理申出:裁判離婚等は対象外 等)
  • 内閣府 男女共同参画局(DV相談ナビ #8008)
  • 厚生労働省(まもろうよ こころ)
  • 日本精神神経学会誌(男女の周産期うつ病の有病割合)
  • こども家庭庁(産後ケア事業:出産後1年以内 等)

行政書士松浦総合法務オフィス
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