③DV加害者から逃れるための知識
「DV加害者から逃れるための知識「日常の暴力も怖いけれど、逃げた後のことを考えるともっと怖い」
―― きっとそんな苦しい悩みもありますよね。
まず、少し安心していただきたいので、保護制度などをいくつかご説明します。
DVのいろんな場合
DVとは、“殴る、蹴る、大声でどなる、見下す、生活費を渡さない、セックスの強要、子供に暴力を見せる”など、身体への直接的な暴力から、精神的、経済的、性的、また子供を利用するなど様々な暴力のことを言います。
身体的暴力はイメージしやすいでしょうから、それ以外の例をあげてみましょう。
裁判所が関与する保護(下の2つをまとめて保護命令といいます)
- 接近禁止命令
加害者が被害者(子どもも含みます)の身辺に近づくことを6ヶ月間禁止する命令
- 退去命令
加害者を被害者と同居していた住居から2ヶ月間退去させる命令
※保護命令は身体的DVのみに適用され、精神的DVの場合には出されません
配偶者暴力支援センターがする保護対応
- 相談・・・この相談が非常に重要です。上で紹介した保護命令を出してもらうためには、支援センターでの相談実績が必要になります。
- 被害者と子どもの一時的保護
- メンタルケア
- 保護命令を出してもらうための支援
- 保護施設の利用支援(シェルターなど)
このように、DVの被害から逃れるためのサポートとして“支援センター”や“裁判所の関与”がありますし、シェルターのような保護施設もあります。離婚を決意されている場合は、安全なところに身をおいたうえで準備をすることもできます。
【1.DVに潜む本当の怖さとは】や【2.ちょっと待って!それDVですよ!】を読まれて心当たりがあるのでしたら、まずは支援センターへご相談されてください。
※保護命令は「近づくな」「家から出て行け」と裁判所から相手に命令するわけですから、間違えた保護命令は許されません。ですから証拠に基づいたうえでなければ、命令は出せません。支援センターへの相談は、その証拠としての意味を持ちます。くどいようですが、DV被害に悩んでいる場合は手遅れになる前に、ご相談ください (緊急を要する場合は、すぐに警察へ!)。

DVは紛れもなく、刑法上の犯罪です。DVなどと言ってしまうために加害者側に傷害罪や暴行罪という意識を弱めてしまっているのでしょうか。外で人に暴力を振るえば捕まることが、家の中では許されるとでも思っているのでしょうか。
緊急を要する場合はすぐに警察などへ相談していただきたいのですが、余力がある場合は、次のページで紹介している、4.逃げる前のかしこい準備とは!をお読みになって、DVの証拠を確保できるとよいでしょう(あくまでできる範囲で)。DVでも、不貞行為(浮気)などでも、証拠のあるなし、準備のあるなしでは、離婚の条件が変わってくる可能性があります。ご参考いただけると幸いです。
※証拠集めなどの準備は、相手にみつかると危険です。あくまでできる範囲でという点を注意してください。