1.内容証明郵便 「知らない、聞いていない、だから払わない」を言わせないために
内容証明郵便とは?
「知らない、聞いていない、だから払わない」そんなことは言わせない。それが内容証明です。
もしあなたの周りにきちんと伝えたのに、「知らない、聞いていない」を繰り返す人がいるようでしたら内容証明という手段が役にたつかもしれません。
簡単にいうと、相手に伝えた内容(伝えたという事実)を郵便局が証拠として保管しておいてくれるものを内容証明といいます。
トラブルの多くは言ったいわないの水掛け論からはじまることが多く、仮に調停や裁判などで争った場合には第三者である調停員や裁判官に、「言ったこと」「請求したこと」を証明しなければなりません。そしてその証明ができなければ勝てないないこともあるのです。
「裁判官は立派な人だから話せばきっと分かってくれる」ということは通用しません。すべて証拠にかかっています。
まだちょっとイメージしにくいですね。
例をあげましょう。たとえばあなたが調停員や裁判官になったつもりで考えてみてください。
Aさんが夫の浮気相手に慰謝料請求をしましたが何の返答もないため調停になりました。けれどあなた自身は第三者なのですから本当に浮気があったのか、慰謝料請求をされた事実があったのかが分かりません。
そんなとき内容証明で慰謝料請求の事実が分かったらどうでしょうか。そして、その請求に相手方が何の反論もせず調停にまでなっているとしたら、夫との浮気があったと推測するのではないでしょうか。もちろんそれのみでは事足りないかもしれませんが、少なくともマイナスの要素にはなりません。
普通なら内容証明で全く見に覚えのない請求をされたら反論するはずです。
内容証明といえば、クーリングオフや時効の中断などに使われることが多いので、離婚や婚姻関係の中ではなかなかイメージできませんね。以下の参考を見ていただいた方が分かりやすいでしょうか。

こんな時こそ内容証明を利用しよう!
- 別居中の婚姻費用(生活するための費用)を請求する場合
- 家を出て行った相手に対して離婚の協議を申してる場合
- 財産分与を請求する場合
- 養育費を請求する場合
- 不倫の相手方への慰謝料請求
- 夫の不倫相手への交際中止を求める場合
- 子供の面接交渉を請求する場合・・・・・・・など

注意点です。内容証明は闇雲に送ればよいものではありません。夫・妻との修復を目指しているのに、相手の不倫相手にいきなり内容証明を送付して慰謝料の請求をすれば、できる修復もできなくなる可能性もありますから、つまり状況によっては、望ましくない結果を生んでしまう場合もあります。
また、離婚関係で利用されやすいのは、婚姻費用の請求をする内容証明かと思いますが、これも何ら話し合いを持たないうえで送付をされれば、相手方の怒りを買う可能性もあるわけです。巷では、すぐに内容証明を勧められるケースも多いようですが、ここでお話しをしたように、リスクを伴う場合もあるわけです。よって、実際の利用にあたっては、その辺りのリスクも含めて、専門家とご相談されながらお決めになるとよいですね。
※内容証明の相談と作成は《安心定額パック》に入っております。
※内容証明はあくまでこちら側の意思を相手に伝え、後々有利に進めるための手段(材料)にすぎませんので、その内容 が確実に実現されるわけではありませんので、ご了承ください。
相手から内容証明が送付されてきた場合
■ 内容が虚偽、根拠のない場合
こちらも内容証明で“そのような事実がないこと”をはっきりと伝えましょう。
※反論しておかなければ「認めたこと」になる場合もあるため、はっきりと相手に伝えておく必要があります。
■ 内容が正しく、請求されてしかたがないような場合
まずは相手に手紙(内容証明ではない方がよい)、電話などで話し合いを求め、必要に応じて対応する必要があります(金銭の要求であれば減額の申し出や、支払いを待ってもらうなど)。 放っておけば法的な対応をとられ不利になります。
Author:行政書士松浦智昌