サイレントモラハラとは?「何もしないモラハラ」の特徴とチェックリスト

サイレントモラハラとは?夫婦間の冷たい壁と孤独を感じる妻と無関心な夫のイラスト
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この記事の要点サマリー
  • サイレントモラハラとは:暴言・暴力がないため周囲に理解されにくいが、「無視・不機嫌・非協力」で相手を追い詰める精神的DVの一種。
  • 主な手口:家事育児の放棄、わざと失敗する「武器化された無能」、会話の拒絶(サイレントトリートメント)、情報の非共有など。
  • 被害者の心理:「私が悪いのかも」という自責や、終わりのない孤独感・無力感に襲われる。
  • 対処法:被害の「見える化(記録)」、生活を守る「仕組み化」、そして第三者への相談が重要。我慢は解決にならない。

何も「していない」のに、心がじわじわと傷ついていく――そんな夫婦関係に思い当たることはありませんか?
例えば暴言も暴力もないのに、家庭内に冷たい空気が流れ続け、「なぜか私はこんなにも孤独でつらい…」と感じてしまうような状況です。実はそれ、夫婦間における「何もしないモラハラ」に該当する可能性があります。

一般的にモラハラと聞くと、怒鳴る・罵倒する・人格否定をする・威圧するといった分かりやすい攻撃を想像しがちですが、このタイプのモラハラは一見すると何も起きていないために非常に分かりにくいのが特徴です。しかし、だからこそ被害者の心に与えるダメージは深刻で、専門家の間でも“見えない関係破壊”とも言われています。

松浦カウンセラー

【松浦カウンセラーのコメント】

あなたのパートナーは何もしていない。でも、あなたの心には何か大きな穴が開いていく…。言葉にならない違和感や悲しみが積もるとき、それは決して「気のせい」ではありません。その分からない苦しみに、どうか耳を傾けてあげてください

サイレントモラハラは、本人に悪意や自覚がないまま「いつも通り」「当然」で続いてしまうことが少なくありません。ところが受け手には、沈黙や放置が“精神的な虐待”として蓄積していきます。結果として、ある日突然「精神的虐待だ」と指摘されて離婚を切り出されても、言われた側が「何のこと?」と本気で分からないケースもよくあります。だからこそ大事なのは、夫婦の“当たり前”を定期的に見直すことです。無言の圧力や放置が日常化していないか、感情のやり取りが止まっていないか。小さな違和感の段階で点検して調整できれば、修復の選択肢は増えます。

「何もしないモラハラ」では、加害者になりうるのは男性でも女性でもあり得ます。ただ、多くの場合で家庭内の役割分担(家事・育児・感情ケアなど)の偏りが背景にあります。本記事では、この「何もしないモラハラ」の具体的なタイプと、それによって被害者が抱えがちな心理的影響をまとめました。当てはまるものがないか、ぜひチェックしながら読み進めてみてください。

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家事・育児の“不作為” – 協力しないパートナーの重圧

家事と育児の負担が片方に極端に偏っている天秤と、何もしないパートナーのイラスト

家事や育児に非協力的な態度は、家庭生活の基盤を静かに蝕みます。共働き世帯が増えた現代でも、「家のことは妻(夫)がやって当たり前」という意識を持ち、手伝いを拒んだり、何もしないで当然という態度をとるケースは少なくありません。

また、うちの実家では、家のことは母親が全部やっていたから・・というように、自分の家庭環境を、そのまま自分の家庭環境にも当てはめてしまい、結果として、自分が何もしないことに悪気がありません

ただし、自分の家庭環境だけが理由というわけではありません。
このような“不作為”の中には、「頼まれない限り動かない」「頼まれても後回しにする」「やっても雑にやって二度と頼ませない」など、巧妙な拒否の形が含まれます。一見すると単なる怠慢や不器用さにも見えますが、その裏には支配や無関心、相手を疲弊させる意図という隠れた心理が潜んでいることもしばしばです。それは受動的な攻撃という形で表面化し、夫婦の信頼関係を少しずつ崩していきます。

家事を一切手伝わない/してもらって当然視する

要点:家事の負担が一人に一極集中し、自分の努力がまったく評価されていない無力感や怒りが積もります。

相手は「手伝う」という発想すら持たず、まるで家事は配偶者の義務であるかのようにふるまうため、被害者は次第に「私は家政婦なのか?」と感じてしまうのです。周囲から見れば円満そうな家庭でも、実はこうした見えない不満が渦巻いているケースは珍しくありません。

共働きでも育児を丸投げする(夜泣き対応・送り迎え・通院など子どもの世話を常に相手任せ)

要点:育児の責任を感じている側は孤軍奮闘状態になり、心身ともに疲弊していきます。

相手は「俺(私)は仕事で疲れているから」「子どもはママ(パパ)が見るもの」といった言い分で育児参加を放棄し、負担を当然のように押し付けます。本当はほんの少し手を貸してくれるだけで救われるのに、その助けが永遠に来ない絶望に、心が静かに悲鳴を上げています。

また、少しでも能動的に助けてくれない姿というのは、愛情も実感できなくなり、共感もかんじなくなりますので、絶望と共に、諦め感も生まれてきます。

自分(加害者)が多忙・体調不良でも家事育児を代わらない(こちらが熱を出したり忙殺されていても、看病や家事の代替をしない

要点:体調不良や多忙で限界のときに助けてもらえないのは、精神的に非常につらいものです。

「夫婦なのに支え合えない」という現実に直面し、孤独感と絶望感が深まります。例えば高熱で寝込んでいても、「俺(私)も忙しい」と言ってご飯も作らず放置される。そんな状況が続けば、どれだけ心が折れてしまうでしょうか

また、こうしたタイプの方は、自分自身が辛い時は、当然に助けるべきでしょ・・というような態度を取りつつ、こちらの体調不良については、自分事のようには考えてくれません。この話は、カウンセリングの現場では特によく出る話です。

離婚理由としても「私が風邪で辛い時にに、何もせず、子どもも任せっきりで、さらに、寝ている私の顔の上をまたいで行った。許せない。」というような話は多いものです。つまりそこには、興味関心を持たれていないこと、夫婦としての不平等感等、多くの感情が横たわっています。けれど、当の本人は、その重さに気付いていないため、「離婚理由が分からない、納得できない」となっていき、そしてそれを理解できない事へパートナーの怒りはより大きくなっていきます。

支え合いが期待できない関係では、相手への信頼も薄れ、「この人に頼っても無駄なんだ」と心が学習してしまいます。

頼んだ家事を“後でやる”と先延ばしし、結局やらない

家事を頼んでも「後でやる」と先延ばしされ続け、タスクが消化されない様子のイラスト

要点:言われた側は一見反発しないため揉め事にはなりませんが、実は巧妙な拒否です。

頼んだ側は「いつやってくれるの?」と何度も確認しなければならず、そのたびに気を遣い、ストレスが溜まります。結果として「もう自分でやった方が早い」と諦め、頼むこと自体をやめてしまう。

こうして“頼む側が折れる”構造が定着し、加害者は何もせずに済むようになります。このように、何度も繰り返される“受動的な先延ばし”は立派なモラハラ行為であり、頼んだ側の心を確実にすり減らします。

一方で、何もしない側の方は、自分が頼んだことについては、「もうできた?」「いつやってくれるの?」と迫ってきますので、ここでも不公平感が募ってくるわけです。

渋々引き受けても“わざと雑に”こなす(失敗を誘発し、最終的に相手に丸投げする)

わざと家事を失敗して相手に諦めさせようとする「武器化された無能」のイラスト

要点:最近ではこれを指す「武器化された無能」という言葉もあります。

やってほしい家事を頼むと、わざと失敗したり雑にやって「やっぱり自分には無理」「お前(君)がやった方がいい」と言い、結局相手に押し付ける。頼んだ側は「お願いした私が悪かったのかな」と罪悪感を抱き、次第に頼むことすらしなくなります。

その陰で加害者はほくそ笑み、一切手を汚さずに楽をする――まさに狡猾なモラハラの典型です。被害者側は、相手がわざとやっているのか、本当に失敗しているのかが分かりませんから、当初は、「やろうとはしてくれてるんだよね・・」という気持ちでいるわけです。ただ、注意点は、そのあなたの優しさが、自分の気持ちを知らない間に抑圧してしまい、気付いた頃には回復が困難な程に疲弊してしまうということです。

たまに家事をすると恩着せがましい態度(「やってあげたんだから」と見返りや賞賛を要求)

要点:普段しない人が年に一度くらい家事をしただけで「俺(私)ってすごいだろ」「感謝しろ」と言わんばかりの態度を取るケースです。

やってもらった側は本来ならありがたいはずなのに、恩着せがましさによって心がモヤモヤします。「手伝うのは当然では?」と思っても言えず、逆に感謝しなければならない空気ができると、被害者は萎縮し、相手に主導権を握られてしまいます。

時には「ありがとう」と言わないと不機嫌になるため、被害者はますます気を遣い、家事をしてもらうこと自体がストレスになります。こうして家庭内の主導権がじわじわと相手側に移り、ますます不公平が固定化してしまいます。

「俺が稼いでるんだから」と経済力や性別役割を盾に家事・育児からの免除を宣言

要点:家族を養うために働いていること自体は尊いことです。

しかしそれを理由に「自分は家事をしなくていい」「お前(君)が全部やれ」と言い放つのは、明確な支配と不公平です。経済力を盾にすることで、被害者は「逆らえない」「文句を言えない」と感じ、発言権を奪われてしまいます。

また、互いの収入に差があるような場合でも、同じだけの生活費負担を強いてきて、機嫌のよいときは少し多めに負担してくれることがあります。そうなると、機嫌よく居てもらいたいために、余計に自分の気持ちを話せなくなっていきます。

こうした態度によって、夫婦のパートナーシップは崩壊していきます。「自分ばかりが犠牲になっている」という被害感と、「家庭内で発言権がない」という萎縮感から、相手に支配されている感覚が心に刷り込まれてしまうわけです。

配偶者の食事だけ意図的に用意しない/自分の分だけ作る

要点:これは非常に露骨な行為ですが、「制裁」として相手を無視するモラハラの一種です。

一緒に暮らしていながら相手の存在を無視し、生活の中で意図的に排除する。食事は人間の基本的な営みですから、それを奪う行為は相手の尊厳を踏みにじります。「あなたは家族ではない」「あなたに配慮する必要はない」というメッセージが強烈に突きつけられるため、被害者は深く傷つきます。

なお、カウンセリングに来られた方が「私はもう夫の食事は作っていません」と言うことがあります。けれどこの場合の多くは、離婚問題、家庭内別居状態が深まり、相手方から「俺の食事は作らなくてもよい」という話があり、同時に「作らなくてもよい代わりに、食費は出さない」というような話もついてまわります。ですので、こうしたケースと本件とでは違うということを付け加えておきますね。

いずれにせよ、このような扱いを受けると、「自分は愛される価値がないのかもしれない」と自己否定感が強まり、心がどんどん痩せ細ってしまいます。

松浦カウンセラー

【松浦カウンセラーのコメント】

家事や育児を一手に引き受けていると、「相手に期待しちゃいけないんだ」といつしか諦めが芽生えることがあります。でも、本当は違いますよ。あなたの負担が偏っているなら、それは関係の異常を知らせるサインです。頑張り続けて耐え続けていると、心は悲鳴を上げてしまいます。あなたが感じている不公平感や孤独感は、あなたがあなた自身に気付いてもらいたいための、かけがえのないサインです。それをどうか無視しないでください。

この章の対処ポイント

  • 「やっている家事・育児」を見える化する(タスク一覧にして、負担の偏りを“事実”として共有する)。
  • お願いは「いつまでに/どこまで」を1回で伝えられる形に定型化する(先延ばしや曖昧返事に巻き込まれない)。
  • “わざと雑”や恩着せがましさが続くなら、第三者や外部リソース(家事代行・実家/友人の助け・相談機関)も視野に入れて、自分の消耗を止める。
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コミュニケーションの遮断・サイレントな圧力

話しかけても無視され、言葉が届かないサイレントトリートメント(石壁)のイラスト

表面上は「何も言わないだけ」なのに、実は相手をコントロールする強力な武器になるもの――それがサイレントトリートメント(沈黙の虐待)です。会話を拒絶したり、冷たい態度で無視したりすることで、相手を不安にさせ、罪悪感を抱かせ、従わせようとします。暴言のように明確な言葉はないため、加害者は「何もしていない」と言い逃れしやすい。

しかし沈黙という行動は目立ちませんが、その影響は言葉の暴力にも匹敵するほど大きく、被害者の心には「見えない不安」が積もっていきます。

パートナーからコミュニケーションを断たれると、家庭内には常に緊張感が漂います。ちょっとした声かけにも返事がなかったり、ため息ひとつで不機嫌を察しなければならなかったりするため、被害者は常に相手の顔色を伺うようになります。

「自分が何か悪いことをしたのだろうか?」と自問自答し、自己嫌悪や不安、恐怖にとらわれるケースも報告されています。以下に、その典型的なパターンをいくつか挙げます。

完全無視(話しかけても返答ゼロ、目も合わせない)

要点:これは相手に与えるダメージが非常に大きい心理的制裁です。

挨拶をしても無視され、質問しても黙殺されると、被害者は「自分は存在しないのか?」という感覚に陥ります。無視は相手の尊厳を否定する行為であり、繰り返されることで自己価値感が大きく損なわれます。

「なんで挨拶をしないの?」と聞いても「うちでは挨拶をしない家だったから」とだけで、それ以上の答えが返ってきません。

そして「何を言っても無駄」「どうせ伝わらない」と思わされると、被害者は次第に無力感に飲み込まれていきます。

石壁のような冷たいひと言応答(「別に」「勝手に」「知らない」など短い言葉で会話を遮断)

要点:普通に話しかけても、「別に…」「はいはい」「知らないけど」と素っ気なく返されると、会話はそこで終わってしまいます。

こうした冷たい応答が続くと、被害者は話しかけること自体が怖くなります。「何か言えばまた冷たくされる」「拒絶される」という学習が進み、自然にコミュニケーションを避けるようになります。

その結果、夫婦関係は形だけ残り、心の交流が途絶えていきます。

コミュニケーション不全状態が続くと、離婚の話になっていくケースもあります。こちらとしては、何らの会話もできない相手とは一緒にいられないわけですが、離婚を言われた側は、ちゃんと答えていたという認識があるために、離婚理由に”コミュニケーションを取ってくれない”と言われても、「俺はちゃんと返事してただろ!」となることもあります。

修復を望む方については、返事とコミュニケーションは違うということの認識を改める必要があります。コミュニケーションは関係を作り、同じ方向を向いているという感覚、同時に安心できる空間を作るために特に重要な要素です。今までの自身の態度を見つめ直して、自分への理解を進めてみて欲しいところです。

ため息・舌打ち・冷たい視線など、非言語だけで不機嫌を表す

要点:言葉では何も言わないものの、露骨なため息や舌打ち、鋭い目つきでプレッシャーを与えるパターンです。

家の中で常にこうした不機嫌のサインが飛び交うと、被害者は「何をしても怒られる」「何か気に障ったのか」と不安になり、緊張状態が続きます。言葉で理由を説明しないため、被害者は原因が分からず、常に自分を責めたり相手の機嫌を取ろうとしたりします。

常に機嫌を取らせるというのは、上下関係を作り、相手の尊厳を奪うものだと僕は考えています。

このような環境は、心を慢性的に消耗させていくのです。

長期間にわたるサイレントトリートメント(数日〜数週間、ひどい場合は数ヶ月も口をきかない)

要点:これは被害者の尊厳を深く傷つけるモラハラです。

挨拶も会話も完全に遮断されると、家庭内に孤独が広がります。何が原因で怒っているのかも分からず、謝ろうにも話せない。被害者は「許されるにはどうしたらいいの?」と追い詰められ、精神的に極限状態になります

こうした沈黙は、相手を従わせるための強力な支配手段であり、被害者は自分を無力な存在だと感じるようになります。

問題の話し合いから常に“逃げる”(「後で」「忙しい」で先延ばしし、結局向き合わない)

要点:何か夫婦間で課題が生じても、相手が「今は無理」「また今度」と取り合わず、話し合いを避け続けるケースです。

問題は放置され、被害者だけが悩み続けます。話し合いができないと、夫婦の問題解決能力が奪われ、被害者は「何を言っても無駄」と感じてしまいます。

結果として関係修復の可能性が閉ざされ、被害者は孤立し、無力感を深めていきます。

「お好きにどうぞ」と決定権を丸投げし、後から非難する

要点:例えば旅行先や子どもの習い事などを相談しても「君の好きにしていいよ」と言われる。

しかしいざ決めた後になって「なんでそんなのにしたの?」「失敗したじゃん」と後出しで責められる。このパターンは、被害者に「選択を任されているようで、実は責任を押し付けられている」という矛盾を感じさせます。

決める側は不安とプレッシャーを背負い、しかも決めた後に責められるため、「どうしても正解がない」状態に追い込まれます。こうして被害者は意思決定への自信を失い、さらに相手に従属していくことになります。不安というのは、相手を孤独に追い込むものだという理解をしてくださいね。離婚を考えている方にとって、不安=孤独、という理解は、自分を客観視させてくれます。一方で、修復をされたい方にとっては、自分の態度が相手を孤独に追い込んだんだという理解ができます。

デジタル沈黙(家族LINEやメールを見ていながら無視・既読スルー)

重要な連絡を既読スルーし続けるデジタル沈黙のスマホ画面イラスト

要点:現代ならではのモラハラとして、オンライン上での無視も挙げられます。

家族の連絡事項をグループLINEで送っても既読が付かない、あるいは既読スルーされる。大事な確認事項に返事がないため、被害者は不安になります。「見ているのに返さない」という態度は、相手を軽視し支配するためのものです。

被害者は「返事を求める自分がしつこいのか?」と自責し、次第に連絡すらできなくなっていきます。

この状況が続くと、返答をもらえない側の方は、「既読を付けずに読んでいて、なのに返答をしないのではないか?」という疑心暗鬼が強まります。

家の中で露骨に距離を取り続ける(別室にこもる、共有スペースを避ける)

要点:同じ家に住んでいながら、意図的に顔を合わせないようにされるケースです。

例えば常に自室に閉じこもり、食事も別々、リビングにも現れない。こうした距離の取り方は、被害者に「私は家族じゃないのか?」という孤立感を植え付けます。

家庭内での交流が断たれると、被害者は自分の存在価値を疑い、心が消耗していきます。

被害者にとって沈黙の圧力は、声にならない分かりづらさゆえに周囲から理解されにくく、結果的に「自分がおかしいのでは」と自分を責めてしまう傾向が指摘されています。

「相手は何も言っていない」「怒鳴られていない」という事実があるため、相談しても「それくらい我慢したら?」と言われがちです。しかし、沈黙や無視は明確な心理的攻撃であり、心の健康を蝕む危険があるということは理解しておいてくださいね。

松浦カウンセラー

【松浦カウンセラーのコメント】

沈黙はときに、言葉以上のメッセージを伝えます。パートナーの沈黙に怯えて本音を飲み込んでいるとしたら…あなたの心は悲鳴を上げているかもしれません。沈黙の裏にあるのは、あなたを支配しようとする無言の圧力です。あなたが悪いわけではありません。どうかその苦しさを、自分で否定しないでくださいね

この章の対処ポイント

  • 無視や沈黙に対して「説明させよう」と追いかけ過ぎない。まずは自分の生活を回す基準(食事・予定・子どもの対応)を決めて消耗を抑える。
  • 連絡は「要点だけ」でいいので返す、など最小ルールを提案する(口頭が無理ならメッセージでも可)。
  • 長期サイレントや恐怖を感じる状況なら、二人だけで抱えず第三者(カウンセリング/相談先)を前提に進める。
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情報共有の放棄・家庭運営の“しない化”

家庭内の重要な情報を共有せず、パートナーを混乱させる様子を表した迷路のイラスト

夫婦は本来、家族として情報や予定を共有しながら生活を営んでいくものです。しかし「何もしないモラハラ」においては、家族運営に必要な情報伝達すらも意図的に放棄されることがあります。これは一見すると「面倒くさがり」「無関心」にも思えますが、実際には相手に主導権と負担を一方的に押し付ける操作であり、結果的に被害者を混乱させ孤立させるモラハラの手口です。

生活に必要な連絡事項を共有しない(子どもの学校・園からの通知、医療の予定、家計情報、大事なイベント日程など)

要点:家族として最低限必要な連絡すら伝えないことで、被害者は常に情報不足の状態に置かれます。

例えば子どもの学校行事を知らされず、当日に慌てる。家計の状況も分からず、支出が不安になる。こうした状況が続くと、被害者は「私は家族なのに知らされていない」と疎外感を抱き、パートナーへの不信感を募らせます。

二人で協力しようにも情報格差があっては不可能であり、家庭運営の歯車が噛み合わなくなっていきます

帰宅時刻や外出予定を伝えない

要点:パートナーがいつ帰ってくるか分からない、どこで何をしているかも不明となれば、家事の段取りや食事の準備もできません。

待つ側は常に神経を尖らせて待機することになります。しかも、帰宅が遅れても何の連絡もないと「事故に遭ったのでは?」と不安になり、心が休まりません。それを伝えても「いちいち報告しないといけないのか?」と逆ギレされることも多く、結局黙って振り回されざるを得ない状況が固定化してしまいます。

一方で、こちらが連絡をしないと、「何故連絡しないんだ。一言LINEでもなんでも連絡くらいできるだろ」という態度をとってくる方もおられるでしょう。夫婦の間に、理不尽さを作らないように心がけてください。たかだか連絡くらいという、そういう意識が離婚の温度を高めていきます。

重要な共同意思決定に参加しない(子どもの進学や引越し、大きな買い物などでも沈黙)

要点:本来二人で決めるべきことにも関わらず、片方が全く意見を示さないケースです。

例えば住宅購入の相談をしても「どっちでもいい」「好きにして」と言う。しかし後から「なんでそんな家にしたの?」「失敗したじゃん」と後出しで責める。このように意思決定に参加しないことで、責任を負わずに済ませ、相手に全てを背負わせます。

被害者は「私だけが決めていいの?」という不安とプレッシャーを抱えながら判断を迫られ、しかも後から責められるため、精神的に消耗します。共同体として機能せず、最終的にどちらか片方が家庭の荷物を全部背負わされている状態は、夫婦というチームが崩壊しているサインです。

実際、自宅が完成した後、責任放棄をしていながらも文句ばかりを言い、その結果、パートナーが子どもを連れて出ていってしまうという例は多々あります。「そんなに文句を言われるなら、そんなネガティブな家には住めない」と言われてしまうわけです。

壊れ物・危険箇所を放置(切れた電球や壊れた錠前、外れたベビーゲート等、安全上問題がある箇所を知っていても直さない)

要点:家庭の中で明らかに修繕が必要なことが起きても、「そのうちね」と言って放置するケースです。

例えば壊れた鍵を直さず、子どもが危険にさらされても気にしない。これは単なるズボラではなく、家族の安全に対する無関心という重大な問題です。

被害者は「家の中が安心できない」という不安にさらされ続けます。安心できない我が家ほどストレスな場所はありません。そうした状況を意に介さないパートナーの姿勢は、モラハラとして見逃せないものです。

こうした情報共有や家庭運営の「しない化」は、被害者に過度な精神的負荷をかけます。常に自分だけが家族全員の予定を把握し、管理し、問題に対処しなければならない状態は、いわゆる「見えない家事(メンタルローディング)」が極端に偏っている状態です。

夫婦として協力できないばかりか、相手が情報を意図的に渡さないことで、被害者は孤立し、より支配されやすくなってしまいます。家族としての一体感が失われ、支え合いがないままでは、結婚生活は単なるワンオペ育児・家事プラス同居人のようになってしまい、心の支え合いなど望むべくもありません。

この章の対処ポイント

  • 「言う・言わない」に頼らず、仕組み化する(共有カレンダー/冷蔵庫メモ/ToDoボードなど)。
  • 意思決定は「期限」「決め方」「後出し禁止」をルール化する(例:保留は◯日まで、反対は理由を一言添える)。
  • 生活の安全や家計に関わる部分は、必要に応じて自分側で守れる線を先に作る(緊急連絡・最低限の備え・家計の可視化)。

愛情・承認・関心の“不作為(何もせずに放置)” – 感情面の枯渇がもたらすもの

愛情や感謝の言葉がなく、心が枯れていく様子を植物で表現したイラスト

夫婦である以上、お互いに愛情や感謝、関心を示し合うことは心の栄養と共に、夫婦を作っていく重要な要素になります。
しかしモラハラ加害者は、この感情的なフィードバックを意図的に与えないという手口で相手をコントロールすることがあります。

どれだけ相手が頑張っても労いもない、成功しても無関心、笑顔もスキンシップもない。そうして被害者は「私は価値がないのかもしれない」と思わされていきます。暴言を吐かずに相手の心を枯渇させる。それが感情面の“不作為”によるモラハラです。

感謝・労い・称賛を一切示さない(どれだけ尽くしても「ありがとう」の一言もない)

要点:人は誰しも、やったことに対して承認や感謝を向けられることで「役に立てたんだな」と安心し、また頑張ろうと思えます。また、自分自身の婚姻関係の中での存在意義も感じることができます。

しかし、どれだけ家事や育児をしても、仕事を頑張っても、「ありがとう」の一言すらない生活が続くと、被害者は「自分は見てもらえていない」「価値がない」と感じ始めます。努力が当然扱いされることで、心は報われず、やる気も削がれます。

やがて「どうせ何をしても認めてもらえない」という諦めが生まれ、自己肯定感がみるみる低下してしまいます。家庭内で積み重ねた努力をことごとくスルーされれば、心が乾いていくのは当然ですよ

相手の成功や努力を“当然”のように受け流す(昇進や資格取得など喜ばしいニュースにも興味を示さない)

要点:本来喜びを共有すべき場面で、「ふーん、それで?」と流されたらショックを受けるのは当然です。

成功した側は「喜んでほしい」「一緒に嬉しさを分かち合いたい」と思っているのに、無関心に扱われると、「私のことなんてどうでもいいんだ」と感じます。努力を称賛されないばかりか成果すら当たり前扱いされることで、次第に「頑張っても意味がない」という学習がなされ、意欲を失いかねません。

パートナーからのポジティブな反応がない結婚生活は、色彩を奪われたモノクロームの世界のように味気なく、孤独なものです。結婚というのは、色々な意味がありますが、その意味の一つは、孤独からの解放というものだと僕は思っています。だからこそ、孤独が募ると、結婚をした意味が分からなくなってもいきます。理想としては孤独から解放されて、自分のステージを上げていけるはずなのに、現実はそうではなく、どんどんと現実と理想とのギャップが広がっていき、いつしか離婚という結末へと近づいていくわけです。

スキンシップや温かな応答を恒常的に欠く(ハグ・笑顔・相槌など一切なし)

夫婦なのにスキンシップも会話もなく、孤独を感じている様子のイラスト

要点:肩に触れる、笑顔で「おかえり」と言う、相手の話に「うんうん」と頷く――こうした些細なスキンシップや応答が、夫婦の心をつなぎます。

しかしこれが常に欠如していると、被害者は深い寂しさを感じます。隣に座っていても距離を感じ、話しかけても無表情で返されると、「自分はこの人にとって大事じゃないのかも」と思い始めます。

触れられない、笑い合えない、反応がない。その積み重ねは、心を枯渇させ、「私は愛されていないのでは」と疑う苦しさを生みます。家庭内に笑顔や優しい仕草が全くない日常は、耐え難い孤独感をもたらします

サイレントモラハラをしてしまっている方には、手遅れになる前に早めにこの事実に気付いてもらいたいのです。短い時間でもよいのです。互いに共有できる時間、空間を持つだけでも、関係は徐々に変わっていきます

「察してちゃん」の強要(理由を言わずに不機嫌になり、「察しろ」とプレッシャーをかける)

要点:自分の感情や要求を言葉にせず、「察して当然」と言わんばかりに不機嫌になり、相手にプレッシャーをかける手口です。

被害者は「何が悪かったのか分からない」「どうすれば機嫌が直るのか分からない」と混乱します。それでも機嫌を取ろうと必死に考え、相手の顔色を読み続ける。

しかし、何をしても「違う」「あなたは分かっていない」と責められる。この繰り返しで被害者は疲弊し、「自分はダメな配偶者なんだ」と自己否定感を深めてしまいます。

愛情や承認の不作為は、目に見えない形でパートナーの心を蝕んでいきます。夫婦なのに温かみが一切感じられない関係は、精神的な飢餓状態を生み、被害者は「自分は透明な存在」「見ても聞いてももらえない」という強い孤独感と無価値感に苛まれると指摘されています。

言葉やスキンシップがない日々に慣れてしまうと、自分でもその異常さに気付きにくくなりますが、心が感じている虚しさや悲しみは確実に積もっているのです。

この章の対処ポイント

  • 「愛してる?」ではなく、具体的な行動で伝える(例:「帰宅時に一言ほしい」「ありがとうを言い合いたい」)。
  • 反応が薄い相手に合わせ過ぎず、自分の回復ルート(休息・人に話す・趣味・支援)を確保する。
  • 長期的に“枯渇”しているなら、関係を保つためにも夫婦の場(面談・カウンセリング)を検討する。
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外面操作・ダブルバインド – 外では好人物、家庭内での二重人格

外面は良いが家庭内では冷酷な態度をとる、二面性を持つパートナーのイラスト

最後に、モラハラ加害者によく見られるのが「外面の良さ」と家庭内態度のギャップです。外ではニコニコと愛想が良く、友人や職場では「いい旦那さん/奥さんだね」と評判が良い。しかし家に帰ると、途端に無口になり、冷淡になり、パートナーにだけ攻撃的な態度を取る。この二重人格的な振る舞いは、被害者にとって非常に苦しいものです。周囲に相談しても信じてもらえず、孤立が深まるためです。

このように、モラハラ加害者は外では良き夫・妻を演じつつ、家庭内でパートナーにだけ冷酷な態度を取ることがあります。その仮面は巧妙で、他人には普通に見えるため被害が周囲に伝わりにくいのが特徴です。しかし被害者の心には確実に傷が刻まれています。周囲に相談しても「そんな人に見えない」と言われ、理解されない孤独感と、自分の味方が誰もいないような絶望感…。この見えづらいモラハラの被害は、決して本人の気のせいではなく深刻な問題なのです。

外では愛想良く家庭内では沈黙・冷淡

要点:被害者にとってこれは大きな苦痛です。

周囲の人から見ればパートナーは感じの良い人なので、家庭内での冷遇を相談しても「あなたの気のせいじゃない?」「そんな人に見えないけど」と言われがちです。被害者は理解されず、ますます孤立します

そして「私がおかしいのかな」と自責し、沈黙や冷淡さを我慢するようになります。このギャップが大きいほど、被害者は現実感を失い、心が混乱しやすくなります。

配偶者の前では沈黙し、代わりに子ども越しに不満を漏らす

要点:例えば家庭内で直接話しかけても無視するくせに、子どもに向かって「ママは本当にだらしないよな」「パパがちゃんとしないから困るんだよ」などと陰口を言う。

子どもを巻き込んでパートナーを攻撃するこの手口は非常に卑劣です。被害者は子どもに悪影響が及ぶことを恐れ、さらに言い返せなくなります。

子どもは親の不満を聞かされることで板挟みになり、家庭全体が不健全な空気に包まれます。こうした状況は、被害者の心をさらに追い詰めます。

親が些細だと思ってした発言は、子どもが大人になっても、ずっと心のどこかに引っ掛かっているものです。場合によっては子どもが結婚してからの二次被害を生むこともあります。誰しもがあるのではないでしょうか。何気ない一言がずっとトゲのように心に残ってしまっていることはあるのではないでしょうか。そうした事を想像してください。自分の子どもが将来に渡って苦しむことになるかもしれないのです。

子どもには、親に対して不満は言えても、実際には経済的にも精神的にも自立できていないわけで、自分で生活ができない以上は、言い方は悪いですが、親の支配下にあると言いえる存在です。だからこそ、親はその親としての責務の気持ちを持って接するべきです。

子どもに、親の顔色を伺わせて、両親の間を取り持つように振る舞わせるような事をさせてはいけません。ここは強く言います。子どもにとっての親という存在は、生きることに直結します。逃げることもできません。また、どんな両親であっても、仲良くしてもらえることを願ってくれている存在です。そんな子ども達に辛い思いをさせないで欲しいのです。

この章の対処ポイント

  • 「外では良い人」に飲み込まれないために、家庭内で起きていることを短く記録して自分の認識を守る。
  • 相談するときは「例」「頻度」「期間」をセットで伝える(“雰囲気”ではなく具体にするほど理解されやすい)。
  • 子どもを巻き込む言動がある場合は、子どもの負担を減らすために第三者の介入(学校・支援機関・専門家)も視野に入れる。
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サイレントモラハラをひとことでいうと…チェックリスト付き

これら「何もしない」モラハラの数々は、要するに暴言ひとつ吐かずに相手をコントロールするための受動的攻撃です。加害者は自分の手を汚さないまま、沈黙や無関心という形でパートナーの心を削り、じわじわと支配していきます。その結果、被害者側には孤独・不安・罪悪感・慢性無力感・自己否定といった負の感情が雪だるま式に蓄積し、家事・育児という生活の土台そのものが静かに侵食されてしまいます。

もし思い当たる節があれば、以下のチェックリスト的な項目にぜひ一度◯✕(マル・バツ)を付けてみてください。「頻度」「期間」「その時感じた苦痛の大きさ」などを点数化して可視化してみると、状況の深刻さが客観的に見えてくるかもしれません。沈黙のモラハラは見えにくいからこそ、一人で抱え込まず、専門家への相談や周囲への共有が大切です。

あなたの心が感じている違和感や悲鳴を、どうか無視しないでください。それは平穏に見える日常への大切な警鐘です。そして何より覚えておいてほしいのは、あなたは決して一人ではないということです。自分の心の声に寄り添い、「おかしいことはおかしい」と認めることから始めましょう。そこから、少しずつでも状況を変えていく道が開けてくるはずです。

チェックリスト(○×)

※本文に対応しています。まずは「当てはまるか」だけ○×で十分です。

家事・育児の“不作為”

  • 家事を一切手伝わない/してもらって当然視する
  • 共働きでも育児を丸投げする(夜泣き対応・送り迎え・通院など子どもの世話を常に相手任せ)
  • 自分(加害者)が多忙・体調不良でも家事育児を代わらない(こちらが熱を出したり忙殺されていても、看病や家事の代替をしない)
  • 頼んだ家事を“後でやる”と先延ばしし、結局やらない
  • 渋々引き受けても“わざと雑に”こなす(失敗を誘発し、最終的に相手に丸投げする)
  • たまに家事をすると恩着せがましい態度(「やってあげたんだから」と見返りや賞賛を要求)
  • 「俺が稼いでるんだから」と経済力や性別役割を盾に家事・育児からの免除を宣言
  • 配偶者の食事だけ意図的に用意しない/自分の分だけ作る

コミュニケーションの遮断・サイレントな圧力

  • 完全無視(話しかけても返答ゼロ、目も合わせない)
  • 石壁のような冷たいひと言応答(「別に」「勝手に」「知らない」など短い言葉で会話を遮断)
  • ため息・舌打ち・冷たい視線など、非言語だけで不機嫌を表す
  • 長期間にわたるサイレントトリートメント(数日〜数週間、ひどい場合は数ヶ月も口をきかない)
  • 問題の話し合いから常に“逃げる”(「後で」「忙しい」で先延ばしし、結局向き合わない)
  • 「お好きにどうぞ」と決定権を丸投げし、後から非難する
  • デジタル沈黙(家族LINEやメールを見ていながら無視・既読スルー)
  • 家の中で露骨に距離を取り続ける(別室にこもる、共有スペースを避ける)

情報共有の放棄・家庭運営の“しない化”

  • 生活に必要な連絡事項を共有しない(子どもの学校・園からの通知、医療の予定、家計情報、大事なイベント日程など)
  • 帰宅時刻や外出予定を伝えない
  • 重要な共同意思決定に参加しない(子どもの進学や引越し、大きな買い物などでも沈黙)
  • 壊れ物・危険箇所を放置(切れた電球や壊れた錠前、外れたベビーゲート等、安全上問題がある箇所を知っていても直さない)

愛情・承認・関心の“不作為”

  • 感謝・労い・称賛を一切示さない(どれだけ尽くしても「ありがとう」の一言もない)
  • 相手の成功や努力を“当然”のように受け流す(昇進や資格取得など喜ばしいニュースにも興味を示さない)
  • スキンシップや温かな応答を恒常的に欠く(ハグ・笑顔・相槌など一切なし)
  • 「察してちゃん」の強要(理由を言わずに不機嫌になり、「察しろ」とプレッシャーをかける)

外面操作・ダブルバインド

  • 外では愛想良く家庭内では沈黙・冷淡
  • 配偶者の前では沈黙し、代わりに子ども越しに不満を漏らす

点数化の目安(本文の表現どおり)

  • 頻度
  • 期間
  • その時感じた苦痛の大きさ

対処のまとめ(安全に進めるために)

まず「安全」と「消耗停止」を優先する

恐怖を感じる、脅しや物への当たりがある、強い萎縮が続く場合は、話し合いよりも安全確保と相談先の確保を優先してください。沈黙が長引くほど、心は疲れて判断力も落ちやすくなります。

次に「見える化」で現実を固定する

日付・出来事・こちらの反応・相手の反応を短くメモしておくと、「私が大げさなのかな?」という揺れに飲まれにくくなります。記事内の項目は、頻度・期間・苦痛の大きさで点数化すると整理しやすくなります。

境界線は短く、具体に

「やめて」よりも「こうしてほしい」を短く具体に伝え、難しい場合は“仕組み”で守る(共有カレンダー、連絡の最小ルール、家事の基準など)。二人だけで回らないときは、第三者の場を前提にしましょう。

自覚がないケースほど「当たり前」を点検する

相手に悪意がない場合でも、受け手が傷ついているなら関係には手当てが必要です。夫婦の日常の“当たり前”を定期点検することで、修復できる幅が残ります。

当事務所では、夫婦関係に悩む方に向けて無料のメール相談を受け付けています。「これってモラハラかも?」と感じたら、一人で抱え込まずぜひご連絡ください。私は19年間、この業務を行ってきました。あなたの状況に寄り添いながら一緒に整理し、次の一歩を考えるお手伝いをいたします。ご事情によりメールでは書きにくい場合はお電話での面談予約も可能です。あなたが一歩踏み出すお手伝いができれば幸いです。まずはお気軽にお問い合わせください。

結論:その違和感は、あなたのせいではありません

「何もしないモラハラ」の最大の恐ろしさは、被害者が「私が我慢すればいい」「大したことない」と思い込まされてしまうことにあります。しかし、あなたの心が痛みや孤独を感じているなら、それは間違いなく「異常な事態」です。

* 相手が変わることを期待して消耗するのは一旦止めましょう。

* まずはメモを取り、事実を客観視してください。

* そして、一人で抱え込まず、私たち専門家や第三者に「その場の空気」を共有してください

あなたが笑顔を取り戻すための第一歩は、その苦しみを認めることから始まります。いつでもご相談をお待ちしています。

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FAQ:サイレントモラハラ(何もしないモラハラ)

Q1: 夫(妻)は怒鳴ったり手を上げたりしませんが、これもモラハラになりますか?

A: はい、該当する可能性があります。モラハラの本質は「精神的な支配と加害」です。大声や暴力がなくても、長期間の無視、不機嫌による威圧、必要な協力をしない「不作為(何もしないこと)」によって相手を追い詰め、支配関係を作っている場合は、サイレントモラハラといえます。

Q2: 「家事を手伝わない」のと「モラハラ」の境界線はどこですか?

A: 「相手への配慮や改善の意思があるか」が大きな境界線です。単に忙しい・苦手なだけであれば、話し合いで妥協点を探れます。しかし、モラハラの場合は「わざと雑にやる」「頼むと不機嫌になる」「君の仕事だと決めつける」など、相手を困らせたり支配したりする意図(または無関心)が見られます。「頼むくらいなら自分でやった方がマシ」と諦めさせられているなら、それはモラハラの兆候です。

Q3: サイレントモラハラを治すことはできますか?話し合いは有効ですか?

A: 加害者に「自分は正しい」「悪いのは相手」という強い思い込みがある場合、二人だけの話し合いは困難なケースが多いです。話し合いを避けたり、論点をすり替えたり(「お前の頼み方が悪い」など)される傾向があるためです。関係修復を目指す場合でも、まずは第三者(カウンセラーなど)を入れた枠組みを作るか、被害者自身が境界線を引いて身を守ることが先決です。

Q4: 証拠がないのですが、相談しても信じてもらえますか?

A: 「何もしない」モラハラは録音が難しいため、証拠がないと不安になる方は多いです。しかし、専門家は状況証拠やあなたの心身の状態から判断できます。日記やメモ(いつ無視されたか、家事の分担比率、言われた言葉など)が立派な記録になります。「こんな些細なこと」と思わず、事実を書き留めて相談にお持ちください。

Q5: 「何もしない」ことだけで、離婚の理由になりますか?

A: 法律上の離婚原因(民法770条:婚姻を継続し難い重大な事由)として認められるには、ハードルがあるのが現実です。しかし、「長期間の会話拒絶(無視)」や「家庭生活への著しい非協力」によって夫婦関係が破綻していることを具体的な証拠(日記や別居の実績など)で示せれば、認められる可能性はあります。そのためにも、日々の記録(メモ)を残しておくことが非常に重要です。もちろん、法的な問題にまでしたい方はあまりおられないでしょう。まずは自身の立ち直りと自立心を取り戻すべく、カウンセラー等の専門家に相談をしてください。

Q6: 子どものために我慢するべきでしょうか?

A: 無理な我慢は、かえって子どもに悪影響を与えることがあります。子どもは親の冷え切った関係や、一方が常に我慢している姿を敏感に感じ取ります。また、加害者が子どもにパートナーの悪口を吹き込むケースもあり、子どもの心が板挟みになる危険もあります。「子どものため」を思うなら、まずはあなた自身が心身の健康を取り戻すことが最優先です。そのための別居や相談は、決して悪いことではありません。

Q7: パートナーが「うつ」などの病気である可能性はありませんか?

Q7: パートナーが「うつ」などの病気である可能性はありませんか?
A: 確かに、うつ病などでエネルギーが枯渇し「何もできない」状態になることはあります。しかし、モラハラとの違いは「他者への攻撃性」や「選択的な行動」にあります。例えば、「自分の趣味には没頭するが家事はしない」「外では愛想が良いが家では無視する」といったギャップがある場合、それは病気ではなくモラハラ(支配や攻撃)の可能性が高いです。見極めが難しい場合も、専門家に相談することをお勧めします。

参照元記事・論文

  1. The Gottman Institute: The Four Horsemen: Stonewalling
    • (心理学者ゴットマン博士による「離婚を予測する4つの危険因子」の一つ、会話拒絶(Stonewalling)に関する記事)
  2. Psychology Today: Weaponized Incompetence in Relationships
    • (「武器化された無能(わざと無能に振る舞い負担を避ける)」に関する心理学的解説)
  3. Healthline: Identifying and Dealing with Emotional Neglect in Marriage
    • (結婚生活における「感情的ネグレクト(無視・無関心)」の特徴と対処法)
  4. Verywell Mind: How the Silent Treatment Is abusive
    • (サイレントトリートメント(無視)がいかに虐待的であり、心理的ダメージを与えるかについての解説)
  5. Medical News Today: What is passive-aggressive behavior?
    • (受動的攻撃行動の特徴と、それが人間関係に与える影響についての医学的・心理学的概要)
【免責事項(必ずお読みください)】

本記事に掲載されている情報は、夫婦間の問題やモラルハラスメントに関する一般的な情報や当方のカウンセラーとしての経験則の提供を目的としたものであり、特定の個人の状況に対する医学的、心理学的、あるいは法的なアドバイスを提供するものではありません。記事の内容は、専門家の知見、経験値、参考文献に基づき、可能な限り正確性を期しておりますが、その完全性や最新性を保証するものではありません。ご自身の心身の不調、具体的な法律問題、あるいは安全に関する深刻な懸念については、必ず医師、臨床心理士、弁護士などの資格を持つ専門家にご相談ください。本記事の情報を利用したことによって生じたいかなる損害についても、当サイトおよび筆者は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。情報の利用は、ご自身の判断と責任において行っていただくようお願いいたします。

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